私が協力する話
クリスマスですね…
この世界にはクリスマスに似た行事があるはずです!きっと!
多分孤児院でパーティーとかするんでしょう。
いつも読んでくださってありがとうございます。
クリスマス…年越し…
行事が目白押しですね。
良いお年をお迎え下さい!
今年の更新はこれで最後になると思います。
次回は1日に投稿したいなぁ…
私はこの真剣な空気を造り出しておきながらぶっ壊した目の前の人物を殴りたくなった。
あ、やっぱりユリアーデに殴って貰おう…
「何か嫌な予感が…」
「ユリアーデさんを呼んできましょう」
「ま、待て!!頼む、やめてくれ!」
「アトゥーロ様、あの会議がどれほど重要なものか分かってますか!?ほんっとうに珍しく多種族が集まった会議なんですよ!?」
「す、すまない…」
「反省したなら温泉はここ二十年くらいは自粛してもらいましょうか。ええ、強制的に」
「なに!?儂の唯一の楽しみが!」
私は押し込めていた魔力の一部を出して、アトゥーロ様に呪いをかけた。
もちろん、二十年温泉に入れなくなる呪いである。
私の魔力の出現に、城にいる人が何人かこちらに向かう気配を感じたが、無視である。
「な…キリヤ殿…それほどの魔力を…!?」
「これぐらいの魔力でよかったと安心してください。はぁ…取りあえず、皆さんがいらっしゃるまでに会議の内容を確認しておきましょうか」
私はニッコリと笑ってそう言った。
「陛下!」
「無事、か?」
「キリヤは!」
「何があった!」
上から順にザクロ、ユリアーデ、ナーダ、ギルである。
彼ら四人は扉を蹴破るように部屋に入ってきな、扉の外にはナクタさんやドーラさんや、ルル、ララや兵士さんっぼい気配もある。
部屋の中にいた私たちと言えば、アトゥーロ様が真剣な表情で深く考え込み、私も真剣な顔をしている。
「あぁ、お前たちか…驚かせたようで悪かった。先程の魔力は気にしないでくれ」
「ですが…」
「それよりも、先日の国際会議だが」
四人はそれを聞いた瞬間、扉の外にいる者に大丈夫だったと告げ、部屋の扉を閉めて結界を張った。
中々に早い動きで私は感心していた。
「今の所の対応を聞きたい」
「はい。国民には合成体のことは伏せてあります。人間の国にて凶悪な事件があり、それに魔族も巻き込まれたと伝え、誘拐などに気をつけるよう促しております」
「犯人については何か言ってあるか?」
「犯人については特には何も」
「ならば犯人は様々な種族の集まる狂信的なグループであると公表しておいてくれ。人間だけに敵意が向かぬようにな」
「はっ」
ザクロはそれを聞いて部屋をさっさと出て行った。
「ナーダは引き続きリタ殿の護衛を。今この国で最も危険なのは彼女であろう」
「分かったわ」
ナーダも部屋を出て行った。
「私たち、どう、する?」
「お前たちはこの件に魔族が関わっていないか探れ。それと、キリヤ殿やリタ殿に接触したという他種族排他思考の魔族についても探ってくれ。少し気になる」
「分かった」
ギルとユリアーデはアトゥーロ様の言葉に頷いて部屋を出て行った。
やっぱり連携が取れている。
行動も早い。
「…はぁ。キリヤ殿、此度は本当に申し訳なかった。わざわざこちらに出向いてくれたこと感謝しよう」
「いえ。この件は私たち人間にも関わる問題ですから」
私はアトゥーロ様についての評価を変えることにした。
自分以外どうでもいいなんて、そんな人じゃなかった。
私はこの人たちと関わりを持てたことがとても幸運だったと実感した。
次の日、ユリアーデとギルは調査の報告を持ってきた。
…早いよ、うん。
「まず、合成体、の、ことについて、だけど」
「魔族が関わってる可能性は高いな。ただし合成体について本当に知っているかは別だ。彼らは合成体について知らないだろう」
「うん、それと、キリヤたちに、接触、した、魔族、名前は、ゾーラ。他種族、排他思考の、魔族、集団に、なって、なんか、不穏な、動き、あり」
「彼らが合成体の件に関わってる。他種族排他思考の魔族のうち何人かが行方不明だ」
アトゥーロ様の部屋でそれを聞く私も自然と眉を顰める報告である。
不穏な動き、か。
「…彼らは儂らが新法律を作った時から暴動を繰り返しておってな。キリヤ殿やリタ殿という護衛対象がいる今、彼らは襲ってくるだろう」
「…確かに、そうだろうな。キリヤやリタを守ることに俺たちは力を裂かなければいけない。その隙を突かれる可能性が…」
「キリヤ、強い、けど。守る、必要、ある?」
ユリアーデがギルの発言に不思議そうに首を傾げた。
それを聞いたギルがため息をつく。
「あのな、キリヤたちは普通の人間だぞ。魔族に勝てるわけが…」
「ギル…」
アトゥーロ様がギルに同情するような視線を向けた。
ユリアーデは昨日の魔力が私のものだと直ぐに分かったらしい。
反対にギルは気づいていないので、ユリアーデからしたら何言ってんだこいつ、的な空気だし、アトゥーロ様はマジかよ、鈍っ!的な空気なのだ。
「…まぁ、キリヤ殿は大丈夫だろう。リタ殿だが…」
「御守り持たせてますから、傷つけることは不可能だと思います。あれを壊せるのはこの世界にいないかと」
「ふむ…賢者殿からか?」
「いいえ。賢者でも壊せません」
「そうか…それは心強い。…それにしても、暴動か…」
憂鬱そうに頭を抱えるアトゥーロ様を見て、つい思わず私はこう口にしていた。
「協力しましょうか?」




