私が成長する話、それか幼少期 パート②
ハルトは3歳なのですが、あんまり3歳児みたいじゃないかもしれません。
賢いです、多分。
3歳児がどんなふうなのか分からないので、リアリティは期待しないで下さい…
お花摘みに必死なハルトはとても可愛い。
どこがって、もう全部。
だって見た目美少女だよ?
それがお花畑で黄色のお花摘んでるとか…
…多分森に掛かってる精霊の加護はハルトがいるからだ、うん。
事実、ハルトには見えていないが、ただの光のような力の弱い精霊たちがハルトに群がっている。
そのお陰で、ハルト自体が光って見えるのだ。
私は一応周りを確認し、お花畑を離れる。
え?お花の輪?あぁ、完成までもう少しかな?
競争と言ったからには、ハルトに負けなければならない。
前回は私が勝ったから。
私は直ぐ近くの泉まで行き、水筒に水を汲んだ。
え?何も入ってなかったのかって?
当然!うちはこの泉から水を汲んできて使うのが日常なのだ。
井戸とかはないし、水を溜めるような場所はあるが、衛生的に毎朝必要な量だけここで汲むのだ。
ハルトには定期的にこの泉の水を飲ませている。
木の精霊の加護を受けやすくなるし、水分補給は重要です。
そこで、巨大な二つの気配が先程のお花畑へ降り立った。
私は水筒を持ってお花畑に駆け戻った。
なんだ、この巨大な気配は。
魔族の上位に位置する存在か、あるいは…
戻ったお花畑で、私は思わずため息を吐きたくなった。
…はい、分かってたけど、やっぱりハルトはチートです。
きゃっきゃっと楽しそうなハルトの前にはキラキラと輝く青年と少女がいた。
彼らはハルトに見えているらしく、ハルトが楽しそうに二人にお花の冠を自慢し、作らせている。
あ、青年のほうが苦戦してるな。
彼らは精霊王。
青年が風の精霊王で、少女が光の精霊王。
青年は白髪に碧の瞳で、色彩はハルトに似ている。
少女は金髪で金の瞳。
無表情だが、瞳に感情が出るようで、今はとても楽しそうだ。
二人は私に気づくと立ち上がり、一礼した。
え、いや、そんなことしてもらうような立場の人間じゃないんですけど。
私もぺこりと一礼し、作りかけの花冠と水筒を持ってハルトの側に来た。
「ねぇね!ボクできた!」
「あ、ほんとだ。負けちゃったなぁー」
「えへん!ねぇねよりもわっか作るの早いよ!」
「次はお姉ちゃんが勝つからね!」
「ボクが勝つもん!」
対抗心剥き出しのハルトは花冠を私にくれた。
くっ…可愛い…
私も残り僅かだったので、さっさと作ってハルトの頭に乗せてあげた。
「くれるの!?」
「うん。ハルトもお姉ちゃんにくれたから、お姉ちゃんもハルトにプレゼント」
「やったぁ!」
無邪気に笑うハルトに精霊王の二人は完全にデレデレである。
精霊王とはそれぞれの属性の精霊をまとめる王だ。
一応7人いて、その上に帝王がいる。
帝王は神様(笑)の補佐として天界にいるから実質、この世界の精霊の頂点は彼らである。
じーっと見てくる二人に値負けした私は声を掛けた。
「…えーっと、あなたたちは?」
二人は待ってました!とばかりに立ち上がり、ハルトの前に跪く。
「僕は風の精霊王。ハルト様にお会いしに参りました」
「…光の精霊王。ハルト様に会いにきた」
ハルトは二人が気に入ったようで、楽しそうにきゃっきゃっと笑っている。
えーっと、それで?
うちのハルトに会ってどうするんだろう?
「僕達はハルト様が15歳になった際、契約をさせていただく所存です。しかし、15歳で急に契約をしてしまうと、ハルト様に何かしらの影響がある可能性があります。そこで、こうして少しずつ慣らしていこうと思いまして…」
あ、はい、そうですか。
…マインドコントロールか?
まぁ、ハルトが嫌がってないからいいですけど。
「ハルト様のお姉様であらせられますか?」
「え、あ、はい」
「どうか、我々がハルト様とこうして会っていることは他の人間には黙っていていただけますか?ハルト様の力はとても強い。厄介な人間に目をつけられるのは困るのです」
「…私は言わないけど、ハルトに注意したほうがいいよ。お父さんとお母さんに話すと思う」
「それでしたら問題ありません。ハルト様には精霊術で記憶があやふやになっていただいておりますので」
や、それヤバくないか?
恐ろしいな、精霊王たちよ。
「…それにしても、お姉様は何者でしょう?我々は誰も来ないように結界を巡らせました。なのに貴方は来た。それに光の精霊王の記憶操作の精霊術も効かない。かと思えば魔力は持っていませんし…」
「ハルト様の本当の姉か?お前はハルト様のように美しくない」
ひでぇ言いようだな、お前ら!!
さて、雲行きが怪しくなってきたぞ?




