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最強な賢者様と私の話  作者: 天城 在禾
学園、もしくは再会
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私が通う話、場所は学園 パート⑫

 

 

 

試験は、今回の事件のせいで明日から再開されることになった。

なんてことだ!


という話を、マリアナの部屋でジョットとマリアナとしている。

学園長室から出たあと、ヴェルトとトーマを放って、私はマリアナを訪ねた。

学園は事件があってから休校になったから、暇…いや、ジョットとマリアナはデートだけど…だったらしい。


「げっ…またテストかぁ」

「ねぇ、前も思ったんですけど、そのテストというのは試験のこと?他国の言葉じゃなくって?」

「あー…うん、そうだね。他国の言葉。試験っていうよりテストって感じなんだよなぁ、私的には」

「どういう違い?」

「んー…テストは学校とかでやるもので、試験は資格とか」

「…そうなの?」

「私はね」


テスト、テスト…とマリアナとジョットは呟き頷く。

別に覚えなくてもいいのに。

というか、前から疑問だったんだが、この世界ではどんな言葉があるのだろうか?

カンニングはあったのにテストは無いなんてどんな法則だ…?


「明日は筆記で明後日から実技だそうよ。実技は一人一人やるから時間かかるんじゃないかしら?」

「へぇ。筆記ってことは問題変わるよね。二人は…勉強なんて平気か」


そういえば二人は優秀クラスだった。


「…実は今回は今までで一番難しかったんですよ」

「えっ…」

「キリヤに常識は求めてないわ。どうせ簡単だった、とか言うんだから」

「…はははー。難しかったネ」

「…俺もつくづく思います。どうして君はあのクラスに配分されたんですか?」

「…魔力が少なかったから」

「ですが二千程度でしょう?俺たちの学年が皆高いだけで、他の学年には二千なんて多くいるのに…」

「あー、それはね。学園長が私に期待してたからなんだ」

「期待?」

「何の?」

「魔力が少なくても、強くなれるって知って貰うため、かな?」


魔力が少なくとも、強くなれるのだ。

学園長だって、実はそう魔力が多いわけではない。

彼の魔力量は一万。

学生の平均は五千だが、あくまで平均な話であって一万を越える生徒はざらだ。

かく言うマリアナやジョットだって、魔力量は二万にいくらしい。


「魔力が少なくてもね、勉強して、工夫すれば私相手にだっていいセン行くんだよ。…嘘だーって顔してるな?特別に少し教えてあげるから私に攻撃してみなよ」


嘘言うな!と顔で語る二人に私は階下の庭を指した苦笑した。






庭は花の咲き乱れる庭園と、魔術を練習するための”庭“と二つあり、庭の方に三人で降りてきていた。

あらかじめ教えた魔術を二人に少し練習させ、大体出来たな、と思ってから止めさせた。


「じゃあ私の魔力量を五万にするよ。それから壁を作るから、今の魔術を五百の魔力量で壁に打ってね」


二人は私の言葉に頷く。

私は魔力量を五万に変更し、目の前に壁を作る。

二人は教えた通り、複雑な陣を書いた紙を取り出し五百の魔力をその紙に込めた。


「…貫け!」

「…突き刺せ!!」


紙は圧倒的な早さと堅さを持って、私の作った壁にぶち当たった。

五万の魔力に五百の魔力。

勝てるわけがない、という顔の二人はパリンッという音がして言葉を失う。

ジョットが放った魔術が私の作った壁を貫き小さな穴が空いた場所にマリアナの魔術が吸い込まれるように入った。

私にマリアナの魔術が向かってきて、かざした手に突き刺さる。


「ちょ、ちょっとキリヤ!?」

「大丈夫ですか?!」


慌てて駆け寄る2人に私は片手を上げて制する。


「大丈夫大丈夫。それより、ちゃんと出来たでしょう?」

「…え、えぇ…」

「本当に五百の魔力で…」

「ね?気付いたと思うけどこの陣だって今まで習ったことを組み合わせただけでしょ?」


陣に書いた内容は三つ。

貫くこと、一点に力を集中させること、重力の向きを変えること。

たったそれだけであれだけの力を発揮出来るのだ。

私は手に突き刺さった紙を引き抜き、血を止めて傷を消した。


「…大丈夫だった?」

「ん?痛くもないし傷も残ってないから平気だよ。いやー、それにしても二人のコンビネーション最高だね。確かにいい判断だったよ。ジョットの魔術の方が威力が高いから先に壁を貫けた。それから同じ場所を狙って攻撃…これを一人で出来たら、模擬戦だってどうなるか分からないよね?」

「…本当にそうですね。先程のことが出来れば模擬戦だって俺たちが負けるかもしれない。事実、五万の魔力を打ち破ってしまった」


真剣に今後のことを考え始めた二人に私は微笑む。

君たちには期待してるから、がんばるんだぞー。

 

 




予想も出来ない場所で、予想出来ない事態が動いていた。

そのことを知ったのは、実技試験が始まるころ。

 

 


この世界で使われている言葉は適当です。

本当はこの世界にもちゃんと言葉はあるんですが、キリヤは脳が勝手に翻訳しているので全部日本語に聞こえます。

言い訳ですが、カンニングはどう日本語にすればいいか分からなかったので通じたというか…

要は私の勉強不足ですね!


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