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最強な賢者様と私の話  作者: 天城 在禾
学園、もしくは再会
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私が通う話、場所は学園 パート⑨

展開早すぎて書いてて笑えてきました。

キリヤが自分から全く動かない…

 

 

 

ヴェルトに怒られた私はとても反省した。

そうとも!

とても反省したさ!

…あれからティグザムに村を襲われた話をして、アルベルト様との関係も全て吐かされた。

答えないと殺す、くらいの眼光だった。

酷い話しである。

こっちは一応ヴェルトの話を聞かないようにしてるのにさ!!

…本当はめちゃくちゃ知りたい。

けど、聞いてヴェルトと気まずくなるくらいなら聞かないほうがマシだ。

…きっとそのうち前世の話まで吐かされるぞ…


「キリヤさん、お疲れ様です」


正座して浮腫んでいた足を揉んでいると、エレナさんに笑われた。


「笑い事じゃないですよー。私の足がこれ以上太くなったらどうしてくれるんだって話ですよ!」

「キリヤさんの足は充分細いけれど…?賢者様はとてもキリヤさんを心配してたんですよ」

「分かってますよ…ヴェルトにとって私は唯一だし、私にとってもヴェルトは唯一ですからね」

「…賢者様が大切なのね」

「そりゃあ。…エレナさん、そのニヤニヤやめてくれませんか。私たちはそうゆう関係じゃないって…」

「あら。今の発言はそう聞こえますよ」

「…はぁ。何だろう。リア充の呪いかな…」

「りあじゅう?」

「いえ、こちらの話です」


何故だか知らないが、最近メアリアを筆頭とするサーレスト家の皆、ジョット、孤児院のメンバーが仕切に私の恋愛話を聞きたがるのだ。

…非リアになんて残酷なことをしてくれているんだろう!!

そういうのはリア充を捕まえてやってほしい。

ヴェルトとかヴェルトとかヴェルトとか。

…酒場でお姉様方に囲まれてるからね。

きっと色っぽい話の一つや二つは聞けることだろう。


「キリヤさん、学園はいいの?もう太陽があんな位置に…」

「…うわぁ!!行ってきます!!」


太陽が大分高い位置に来ていたことに気づき、私は慌てて学園に向かった。






「…キリヤ。遅刻だぞ」

「…ぜぇ、すみません…」


サイアス先生に呆れた目で見られた。

ううむ。流石に今日は私が悪いです。


「まあいい。早く座れ」

「はーい…」


席に座って、私は机に突っ伏した。

あー、疲れた。

孤児院から学園まで遠いので、近くまで転移陣で来ているのだが、またそれから走って教室まで行かなければならないので大変だったのだ。

…今度学園内に転移陣作ってやる…


「…それと、知っていると思うが今日から試験だ。健闘を祈る」


と、サイアス先生は言って教室を出て行った。

はーん、テストね。

そうかそうか、頑張…

…テスト?


「…やっちまった…」


すっかり忘れていました。






とはいえ、試験は楽勝だった。

曾々おばあちゃんと曾々おじいちゃんの経験と知識を受け継いだ私に死角はない。

…それどころかトーマにも日頃教えられてるしね。


「…先生!」

「はい?何かしら?」

「こんなものが…」


この学園には筆記と実技、両方の試験がある。

で、今は筆記の試験中。

監督はミーナ先生。

私の斜め前の席の少年…あのピンク色の髪の彼が、先生を呼んで地面を指した。

そこに落ちていたのは紙。

…あー、はい。そこまで私が目障りなのね…

案の定、ミーナ先生はそれを拾い上げ、中を見て表情を変えた。

ミーナ先生は生徒たちから慕われている。

私が編入したときの賢者様拘束疑惑も彼女が生徒を洗脳して広まっていたことで…


「…この紙に見覚えのある人はいる?」


ミーナ先生は、優しげに手元の紙を掲げた。

それには、試験範囲の内容がびっしりと書かれている。


「先生、私、彼女から落ちたのを見ました!」


そこで、私の前の席の少女が私を指してそう言う。

クラスの視線は、全て私に集まった。

…当の私はと言えば、死んだように机に突っ伏していた。


…クラスの空気が少し微妙になったのはとても楽しかったです。

 

微妙な空気の中、先生は私の机の前まで来た。

ミーナ先生は机の高さまでしゃがみ込み、私の顔をのぞき込もうとする。

私は勢いよく顔を上げた。

洗脳、とは魅了の進化版で光属性を必要とする。

彼女は、今それを私に掛けている。

洗脳は声から始まり、視線、仕草によって相手を操っていく。

私はミーナ先生と目を合わせた。

ミーナ先生は笑みを一層深くした。


「…それは彼女のものではありませんね」


私の直ぐ背後から声がした。


「…トーマ。今試験中なんだけど」

「知ってますよ。だからどうだと?私の動きを制限できる者がこの学園に賢者様以外にいますか?」

「…ソーデスネ」


背後に来ていたのはトーマだった。

トーマは茫然とするミーナ先生を冷たい目で見た。


「…どうして…」

「何です?」

「どうして…!どうして洗脳が掛かってないの!?」


ミーナ先生は鬼の形相で私に迫ってきた。

手には光属性の魔力で作られた爆弾が。

彼女は私の顔にそれを放った。

私は溜め息を吐く。


「トーマ」

「…仕方ありませんね」


トーマは私と光の間に入り込み、手袋をはめた左手で光を掴んだ。

そして、握り潰す。


「なっ…」

「何ですか、この軟弱な光は。本当にそれでも教師ですか?ふん…よくそれで生徒に物を教えられますね…」

「そんなっ…!今のは私の魔力を八割も詰め込んだのよ!!握り潰されるなんて!!」

「これで八割?教師の質も落ちたものですね」


私は椅子を引いてトーマとミーナ先生のやり取りを眺めていた。

…トーマって本当に賢者様とエレナさん以外に優しくないよなぁ…



 


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