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最強な賢者様と私の話  作者: 天城 在禾
幼少期、もしくは悲劇
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私が捕まる話、そして絶望 パート②

 

ハルトはアルベルト様と一緒に、家を出て行った。

ハルトは泣いて私と離れたくないと言ったが「直ぐに行くから、ハルトはアルベルト様に街を案内してもらって私を案内してね」とか「お姉ちゃんのために面白そうな本を買っておいて」と頼んだらすんなり行ってくれた。

案外アルベルト様に懐いてるから、私たちが行くまで大丈夫だろう。

アルベルト様たちが帰ると、私たちは家の片付けを始めた。

お父さんは工房を、私とお母さんは家の中を片付けた。


「…ふふ、少し寂しいわね」

「…うん。でも、ハルトが居なくなるよりは寂しくないよ」

「そうね。家族は全員が揃ってるのがいいもの。でも、キリヤは本当に良かった?ハルトをアルベルト様の養子にしてしまって」

「…お父さんとお母さんは?私があんなこと勝手に言って、怒ってない?」

「怒ってないわ」


実は、私は不安だった。

お父さんとお母さんの意見を聞かずに早まったことをしたということは分かっている。

それを承知でアルベルト様に言ったわけだし。

多分、二人はハルトをアルベルト様の養子にすることに理解はあるだろう。

でも、それと気持ちは別物だ。


「本当はね、キリヤが言い出してくれて、私たちは安心したの」

「…え?」

「私たちもキリヤと同じことを思ったのよ。ハルトを養子にしてもらって、私たちも領主様のもとに行く。でも、それはハルトとキリヤの気持ちを考えてないんじゃないかと思って…」


…まぁ、正直ハルトの気持ちはあんまり考慮されてないけど。


「…私は全然平気!それに、アルベルト様はハルトを自由に育てるって言ってたからいっぱい会えるよ!」

「そうなの?本当にアルベルト様は優しい方ね。それにね、実はキリヤにも勉強を教えてくれるって言ってらしたのよ」

「…えー…私はお勉強いいよー…」

「もう、そんなこと言って!」

「だって魔術使えないし、アルベルト様のお勉強厳しそうなんだもん…」

「あらあら」


楽しそうに笑う私たちの耳に、村の鐘が鳴るのが聞こえた。






村の鐘が鳴るのは、朝晩6時の時と、火災や危険なことが起こったときのみ。

今は、午後9時頃で、6時の鐘じゃない。

となると、火災か、何か危険なこと。

それに、私とお母さんは直ぐに思い立った。


ハルトを狙った襲撃。


それ以外にない。

お父さんも部屋に入ってきた。

様子を見るからには、お父さんも同じことを思ったようだ。


「あなた!」

「…時間稼ぎは俺がする。リリアとキリヤは森に逃げ、」


お父さんが言い終わる前に、私たちを違和感が襲った。


「…これは!精霊除けの結界!それに魔術封じまで…!」

「…リリア!早く森へ!」

「ダメよ!この結界はこの村一帯を覆ってるわ!相手は私たちのことに気づいてる!結界を抜けるときに感づかれるわ」

「抜ければリリアの魔術で…」

「それではダメよ。直ぐに見つかるわ。私の魔術は弱いの。知っているでしょう?」

「…クソッ!」


お父さんは悔しそうにテーブルを殴った。

お父さんの手にはギラリと輝く剣が握られている。

…無理だ。

気配からして、相手は30人近くいる。

そのうち魔術師は5人。

3人で精霊除けと魔術封じの結界を張っている。


「キリヤは隠れなさい」

「…無理だよ、お母さん。隠れたって見つかる」

「そんなこと…!」

「相手は30人近くいる。魔術師は5人、そのうち3人は結界を作ってて手が離せないけど、二人は自由に動いてる。…それに、相手に相当な手練れが、いる」

「…キリヤ…」


もう、7歳児ぶってたってしょうがない。

…なんで、私の力は封じられてるんだ!

普通、ここは私はみんなを助けるところでしょう!!

なのに、なんでっ…


「おー!見つけた見つけた!ほら、さっさと出て来いよ!」


外から、声がした。






私たちは素直に外に出た。

私はお父さんがくれたナイフを隠し持った。


「出てきたな。…おい、ガキの一人はどうした?」


巨漢の隻眼の男が、この集団のボスのようだ。

相手は15人。

半分は村に残っているらしい。

手練れは、ボスの後ろに立つ3人の男。


「…いません」

「あぁ?馬鹿なこと言ってんじゃねぇよ!テメェらのガキで、魔術師のガキがいるんだろうよ!!」

「いません。あの子はもう、ここにはいないわ」

「ふざけてんじゃ…」

「ボス、本当だ。あの家から人の気配はない」


手練れの男の一人が言った。


「はぁ!?マジかよ!クソッ、先越されたのか!!おい!本当に結界を抜けたとかもねぇのか!?」

「ない。そんな感じはしなかった」


男たちの後ろのほうに立つ男が喋った。

あいつが魔術師の一人か。

あいつに攻撃すれば、結界は切れる。

そうすれば、精霊が助けてくれる…


「チッ!おい、テメェら!こいつらを村まで連れて行け!2人くらい残って家漁ってこい!」




私はここでとても後悔する。

そして、絶望した。



 




賢者様が未だに出てこない小説。

プライスレス!!

たぶん、この私が捕まる話、そして絶望の次から登場する予定。

最強じゃない賢者様が(笑)


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