私が秘密を話す話
すみません、また本編です。
本編のほうが良い!という方もいると思うのですが…
個人的にはウィルをもっと掘り下げたいんですよね…!
王都の、王宮の中に転移をしたので、国王に凄く怒られた。
ヴェルトは金髪のおじ様のままだったので、国王以外には「誰?」状態だったが、
「そういや賢者様って姿を好きに変えられるんだったよな」
となり、警戒は直ぐに解かれた。
「ただいま帰りましたー」
「…キリヤさん、唐突に現れるのはやめてくれないか」
「いいじゃないですか。王様の執務室だし」
「…」
言外に「それがよくないんだよ」と言われたが、まぁ知らないふりをしておいた。
「陛下、只今戻りました」
「…アレンか。よく戻った」
アレンとは王子様のことである。
「報告を先に、と言いたいところですが、ドラゴン族の王、アイリーン殿がいらっしゃっています」
王子様…アレンがアイリーンを紹介すると、国王はぎょっとして、やっとアイリーンに気づいたようだった。
「お久しぶりです、アルテルリア国王レオナルド殿。此度は我らの同族が大変ご迷惑お掛けしたこと、心よりお詫び申し上げます」
「…謝罪は受けとりました。そちらの騎士やハバルの者とは話はついていると思いますので、それ以上の謝罪は必要ありません」
「…ありがとうございます」
「アイリーン殿はどうされますか?少し滞在されますか?」
「いえ…一度帰り、賠償の品を持って来ようと思います。詳しくはそちらの騎士に話を聞いてください」
「分かりました」
国王とアイリーンは話がついたらしい。
国王は、私たちを見た。
「賢者様、此度はご協力ありがとうございました」
「正直俺はなんもしてねぇけどな」
「存在が役に立ってたよ」
「うるせぇぞシェリエ。お前もそんなに役に立ってないだろ」
「俺は交渉やったじゃん。あ、陛下。ドラゴン族からは宝玉を5つ頂くことになりましたので、好きに使ってください」
「あ、あぁ…何か私の扱いが雑になってないか?」
シェリエは少し考えてから、「…賢者のせいかな?」と首を傾げた。
「それより王様…私、至急家に帰りたいです」
「どうした?」
「ナーダが帰ってしまう…!」
そういえば、ナーダが一週間滞在していたのだ。
それに、孤児院に仕事で空けることを伝えるのも忘れてたし…
「誰だ、それは」
「友達です。早く帰らないと縁切られる…!それでは、失礼します」
私は、呆然とするみんなを放って、転移した。
「ナーダさん!」
「あら…何よキリヤ。早かったわね」
「他のみんなが頑張ってくれたので…いつ頃帰られるんですか?」
「今日の夜には帰ろうかと思ってるわ」
「そうですか…すみません、ろくにもてなしもせずに…」
「いいのよ。あたしはリタが安全であることが分ければ良かったんだもの。それより、人間って面白いのね」
ナーダに貸した部屋に行くと、ナーダは荷造りをしていた。
とはいえそんなに荷物はもともと持ってきていないから、ナーダの荷造りはすぐに終わった。
ナーダの話を聞くと、エレナさんと仲良くなったらしい。
あと、トーマとも会って、新政府創立について聞いたらしい。
「ずるい…みんなばっかり仲良くなって…」
「キリヤはいつでも魔族の国に来れるでしょ。入国も顔パスだし」
「えー、そういう問題じゃないんですよー。だってナーダさんが人間の国をこうやって来るのは中々できないことじゃないですか。…せっかくだったからみんなで観光したかったんです」
「…いつでも来るわよ。だからこの部屋あけておきなさいよ。ちゃんと毎日掃除もするのよ」
「はい!」
「…それと、敬語、いい加減やめなさいよね。人間の友達なんてはじめてなんだから、あたしだって勝手が分かんないのよ」
「…うん…ふへへ…」
「なにその変な笑い!」
私がついニヤニヤしていると、ナーダから手刀を食らった。
痛くて悶絶してると、しばらくしてナーダの笑い声が聞こえた。
だから、私も笑った。
帰って来た私は子供達に酷く怒られ、報告、連絡、相談は必須だよ!と言われた。
ちょっと待って、それ何処の社会人?
そして、その夜。ナーダは帰って行った。
今度は賢者と来なさいと言われ、私はそれに笑ってもちろんと答えた。
次は、トーマとエレナさんも連れて行こうか。
ナーダが帰った後、戻ってきていたヴェルトにいろいろと怒られ、一週間後にまた王様に会わなきゃいけないことを伝えられた。
なんと、パーチー(ここ重要)を行うので、それに招待されたらしい。
「なんで?ちゃんと討伐達成報告したよね?」
「7強の労いとアイリーンの謝罪の場として。後はアレンを皇太子として発表するらしいぞ」
「おー、アレンやっと皇太子として認められたんだね!あれ、それ貴族みんな集まるやつだ…」
「この間ミゼンと知り合いだって言っちまっただろ。それで貴族と繋がりあるなら大丈夫かくらいに思われたんだろ」
「なにそれ、よくない。それに服ないよ!」
「適当でいいだろ。一応色変えていけよ」
「…うーん。色は変える。髪の長さでも変えていこうかな?あ、せっかくだから姿も変えようかな!ヴェルトはどうするの?」
ヴェルトは老人の姿で行くらしい。
確かに、ほとんどの人はヴェルトを老人の姿で認識しているし、格好いい姿で行くと面倒でもある。
「うーん…そうだなぁ…じゃあ私もおばさんとかになろうかな?」
「待て、どうしてそうなる。キリヤは色さえ変えればどうとでもなるだろ」
「えー。これ以上貴族に知り合い作る必要ないから姿変えたほうが…」
「キリヤの弟とかメアリアのところも来るんだろ。そのままのが分かりやすいんじゃねぇか?」
「…踊ったりするの面倒なんだけど」
私のボソッと呟いた言葉に、ヴェルトが反応して、結局、ヴェルトは学園で使っている黒髪黒目の姿で行くことになった。
アイリーンはどうしたのかと聞けば、一週間後にお城で会うまで、ドラゴンの国で仕事があるそうだ。
確かに、彼女は王様だから大変だろう。
それから、何か着て行けそうな服を探し、軽くリメイクしようということになり、エレナさんとトーマの協力で、一週間後には綺麗なドレスが仕上がっていた。
さて、その一週間、何をしていたかというと、ハバルにもう一度行って、向こうで孤児になった子達を預かりに行っていた。
その子供達をこっちの孤児院で馴染ませるのに右往左往していると、一週間はあっという間に過ぎていた。




