表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強な賢者様と私の話  作者: 天城 在禾
事件、もしくは秘密
105/134

私が畏れられる話 パート⑤



…どんどん、人が増えてく…!

シェリエは本当は男爵家で働いてたはずの人なんですが、私のミスで騎士団に入隊することになりました。

水属性の魔術が使えます。

自分たちが規格外なことを知っているので、本来の実力は見せてません。





「あぁ?何で俺がそんなことしてやらなきゃいけねぇんだ」

「いや、というかそれってヴェ…賢者様が治せるもんなの?」


私がそう言うと、私以外の人間がキョトンとした。


「…あぁ、そうか、キリヤさんは知らなかったか」

「そういやそうだったか」

「え?何なに!?」


私以外の人はみんな知っているらしい。

何の話だ…?


「こいつ、魔力に滞りがあって女と長時間一緒にいると体調崩すんだよ」

「…なにそれ?」


なにその体質。

私が王子様の魔力を調べていくと、確かに一部停滞している場所を発見した。

私が魔力で干渉してみると、王子様はビクッと反応してぶっ倒れた。


「あ」

「…あのなぁ…女の魔力が体調に差し障りがあるっつったのにキリヤが干渉したらこうなるだろ」

「うーん…なんで女の人の魔力はダメなんだろ?」

「さぁな」

「どうやって治すの?」

「簡単だな。滞りを消してやればいい」


ふうむ。面倒くさそう。

そりゃヴェルトがいやがるわけだな。


「頑張れー」

「面倒くせぇ。自分でどうにかしろよ。訓練すりゃ滞りは無くなるぜ?」

「と言われてやってみましたが全く改善されてる気配はないのですが」


ガゼルに抱えられた王子様にもう一度干渉してみると、少しだけ解れた。

だが、私が干渉すると王子様は辛そうなので、ヴェルトを見た。


「…んだよ」

「んー、いや」


まぁ、別に今すぐじゃなくてもいいよね!

と思っていたら国王に視線で頼む!と言われた。


「…面倒くさい…」

「だな」

「いっそのことドラゴン討伐に連れてって荒療治させればいいんじゃないかな?」

「「…それだ!」」


シェリエの発言に私とヴェルトが声を揃えて同意した。

だって時間ないし、私たちが干渉すりより自分でどうにかするほうが断然いいんだよね。

そうするには実戦が一番だ。


「というわけで、王子様とガゼルさんも連れていこう。守ってくれる人ならシェリエとロウさんが居るしね!」

「ええ?俺たち!?」






王宮に戻ってきた7強と合流して、7強に王子様も連れてくよ、と伝えたら卒倒された。


「う、嘘だろう…」

「本当」

「…そうか、俺たち死ぬんだな…」

「もっとちゃんとお別れしてくりゃよかったぜ…」

「いや、死なないし。もし罪に問われても私とヴェルトが全力を持って守るから安心して。奥さんと子供たちだけど」

「俺らは!?」


どうせみんなで孤児院に立て籠るんだからあんたら守らなくても大丈夫だろ。

じゃれあいを済ませ、私は見送りに来ている国王とその他数人に向き直った。


「それでは、そろそろ出発します」

「息子を頼む」


簡単に挨拶をして、私は全員が集まる魔術陣まで戻ってきた。


「よーし、それじゃ、賢者様よろしく!」

「…ハァ…転移」


ヴェルトが魔術陣に魔力を流し、私たちは王都を去った。





今回ドラゴンの目撃情報が入った場所はアルテルリアの南端で、私は来たことないのだが、ヴェルトはあるらしい。

王子様もいるということで、予定を野宿から宿屋を取ることに変更しアルテルリア南端の街、ハバルの近くへ転移でやって来た。

森の真ん中に出たので、街道まで歩き、それから街道を通ってハバルへ行く。

途中気絶していた王子様が目覚め、状況が掴めず愚痴っていたが、懇切丁寧に説明をしてあげると黙った。

王子様はそこそこ我が儘なお坊ちゃんだった。

悪い子ではないのだが、潔癖症なのか徒歩を嫌がるし、体力なくて直ぐ休憩したがる。

仕方なくガゼルに背負わせ、私たちはハバルへ着いた。


「よし、宿探そう」

「そうだな。うるせぇガキ連れてると面倒臭いからな」


私たちはお互い頷きあい、私とヴェルト、7強、シェリエは動いた。

ロウ、ガゼル、王子様には近くにあった公園で待つように言い聞かせた。

サッと散った私たちはものの30分で宿を探し出し、王子様とガゼルに宿を任せ、ウィルと私とヴェルトとシェリエでギルドのハバル支部へ向かった。

その他には噂とか、情報収集せよと伝えてある。

ヴェルトは今までの老人の扮装を解いて、珍しく金髪に茶色の瞳になり、歳も四十手前のような容姿になった。

シェリエは騎士の正装に身を包み、ウィルは普段身につけないAランクのバッチを胸元に付けていた。

私はそのまま三人の後ろを歩く。

三人とも容姿は悪くないので、視線がバシバシ当たっているが、三人とも気にした様子はない。

え?私?気配消してるし誰も気づかないよ!

ハバル支部に入った私たちは、静まった周りを一瞥してから受付にさっさと向かい、支部のマスターを呼んで貰うように頼んだ。

受付の男性はさっさと奥に入ってきて、優しそうな女性を連れてきた。


「ようこそ、ハバル支部へ。マスターのステラよ。どちらから…なんて聞くのは野暮ね。お待ちしてたわ。ドラゴン討伐の依頼を受けてくださってありがとうございます」


マスターのステラさんがそう言うと、静かだった周りが騒然とし始めた。


「歓迎ありがとうございます。俺はこの依頼を受けたウィルエルドです。こっちは騎士のシェリエ。そしてこっちが賢者様です」

「まぁ…よく来て下さいましたわ騎士様。賢者様まで?わざわざありがとうございます。皆さん宿のほうは?」

「もう見つけてあります」

「そうですか…そちらの方は?」


ステラさんは誰にも気づかれていなかった私を発見した。

ふむ。中々腕の立つ人らしい。


「紹介が遅れました。賢者様の付き人のキリヤといいます」


自己紹介をすると、探るような視線を受けたが無視しておいた。

その時、外野から声がかかる。


「おいテメェら。本当にAランクのメンバーと騎士か?それと賢者様だって?胡散臭ぇ」

「これが陛下からの令状です。ステラ殿、確認をお願いします」


シェリエが外野の声を待ってましたとばかりに令状を出す。

ステラさんに渡し、確認してもらった。

あれは確かに本物なのでどうこう言われるものじゃないだろう。


「…確かに本物ですね。こちらは受け取っておくわ。討伐は何時から始めるおつもりですか?」

「俺らは明日にドラゴンを探しに向かう予定です。正確な居場所を知っていましたら教えてください」


ステラさんはいくつか場所を述べた。

そこらへんで多く目撃されてるらしい。

あとは私が探せばいいだけの話だ。

それから泊まっている宿を聞かれ、討伐に向かう人数や、ドラゴン族との交渉の話など、必要な話を軽くしてからギルドを後にした。






宿に帰ると、宿の前にロウさんが立っていた。


「どうしたんですか?」

「ああ…その、な。殿下が…」


何やら言いにくそうに口を開いたロウさんは宿の中を見た。

我が儘王子様が何やらかしたんだ…

私たちが中に入ると、受付と何やら揉めている王子様がいた。


「だからねぇお客さん、無理なのは無理なんだよ」

「俺はこの…」

「若!部屋に戻りましょう!」


なるほど…ガゼルかわいそうに。


「いやー、ごめんなさいね、うちの若君が。ほら若、ガゼルさんと部屋に戻ってて」

「なっ…分かった」


王子様を部屋に追いやって、店員さんに事情を聞くとどうやら王子様は一人部屋を所望したらしい。

残念、この宿には一人部屋はない。

お金がない私たちなので、二人部屋と大部屋を借りたのだ。

めんどくさいので、二人部屋に王子様一人押し込もうという話になり、私を含めた他のメンバーは大部屋で雑魚寝しようということになった。

ロウやガゼルが私を心配していたが、ニッコリ笑って「手出そうものなら死にますから大丈夫ですよ」と言ったら怯えられた。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ