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最強な賢者様と私の話  作者: 天城 在禾
事件、もしくは秘密
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私が畏れられる話

全くもって気づいてなかったんですが、このお話、掲載して一年以上経ってたんですね…!?

あれ、いつの間に…!?

ごめん、キリヤ…ヴェルト…全然気づかなかったよ…

そして、いつになくテンションが上がっているため、キリヤのテンションも大分上がってます。





私はナーダとリタと転移陣を使って孤児院の隣の森へ到着した。

リタを抱えたナーダと共に孤児院へ向かう。


「ただい、ぐへっ…」


私が孤児院への門をくぐった瞬間、子供たちにタックルされた。

おかげでぶっ倒れた。

おい誰だよこいつらにこんな躾したの!

…私か!!


「おかえりなさいしすたー!」

「ただいま…頼むからぶつかってきて押し倒すのやめませんか?」


私の発言に子供たちは首を傾げた。

孤児院でも年長の少年…キールが子供たちを退かし、助け起こしてくれた。


「おかえりなさい、シスター」

「ありがとう。ただいま、キール」


頭を撫でると、キールは不満そうな嬉しそうな顔をした。

難しいお年頃なのかね?


「さて君たち!私の後ろにはお客様がいらっしゃいます!」

「あー!リタだ!」

「ナーダもいるー!」

「おかえりー!」

「なんでナーダも?」

「…あー、もう!お客様来てる時は今日のお手伝い当番が応接室に案内して食堂にお茶取りにくるんでしょ!!動かないと今日のおやつ無しにするよ!」


私がそう言うと、騒がしかった子供たちが蜘蛛の子を散らすように四方に去って行った。

リタにナーダを任せ、当番の子供たちに後は任せた。

エレナさんが多分お茶を用意してくれるはずだから大丈夫だろう。

私は気配を辿って孤児院の中を歩いて行く。

とりあえず、早く会いたかった。

その気配は何故か私の部屋から感じられ、私は自分の部屋へ向かう。

一応ドアをノックし、中に入る。

彼は、私のベッドで寝ていた。


「ヴェルトー?」


返事がない。ただの屍のようだ。

じゃなくてだな…


「ヴェルト、お客さん来てるから、てかもうお昼になるよ?早く起きてー」

「…ん」

「…ちょ、」


ヴェルトを揺する腕を捕まれ、ぐいっと引っ張られた。

バランスを崩した私はそのままベッドにダイブ。

そして何故かヴェルトに抱きしめられた。

…何故だ。


「…馬鹿キリヤ」

「ああ?」

「…普通こんな長く出かけるかよ」

「…もしかして寂しかったの?」

「…」


黙り込んだヴェルトは私を抱きしめる腕の力を強くして肯定した。


「…私も寂しかったよ」


だから、私もヴェルトを抱き締め返しておいた。

…あれ、何か寝息が聞こえる。

こいつ寝やがったな!?


「ちょっといい加減起きてよ!!」


てか、私が寂しかったって言った時寝てたんじゃないだろうな!?

なにそれクソ恥ずかしい。

その後の私は先ずヴェルトの腕から抜け出し、起きないヴェルトを引きずって風呂場に放り込むのだが、これに一時間くらいかかってしまったのは全く以て時間の無駄だった。






応接室に行く前に食堂へ向かった。

食堂にはやはりエレナさんがいて、珍しくトーマもいた。


「キリヤさん!」

「エレナさん!ただいまです!」

「おかえりなさい!賢者様には会われました?」

「はい。全然起きてくれないので風呂に放っておきました」

「あら。そういえばお客様ですけど…」

「魔族を連れてくるとは…キリヤさん、貴女は馬鹿ですか」


トーマが呆れたように私を見ていた。


「やっぱり魔族を国内に入れるのは不味かった?」

「貴族にバレた時が面倒でしょう。さっさとお帰り頂きましょう」

「でもリタが隷属させてるよ?」

「…それこそバレた時が面倒です」


まぁ確かにリタが目をつけられそうで面倒だ。


「大丈夫。いざとなったら記憶消すから」


ニッコリと笑って言っておいた。

トーマは、なら大丈夫ですね、と興味を無くしたようだった。

それと、何故トーマは魔族にツテがあるのか聞いてみたところ、15年前の新法律を作って施政する時に知り合ったと言われた。

まぁ結果的に私もツテを作ることができたので良しとしよう。

私は食堂を出て応接間に向かった。

応接室にはリタとナーダと、何故か子供たちが数人いた。


「ナーダさんって子供に人気なんですね」

「…遅かったわね。本当ならあたしの魔力が怖くて近寄って来ないはずなのよ。誰かさんのせいか、この子たちはあたしを怖いとは思わないらしいわね」


うん、きっとヴェルトのことだな!


「とりあえず、今後どうするか考えましょうか」


リタが孤児院で暮らすのか、魔族の国へ行くのか。

それはリタに聞いた。リタは迷わず「ここー!」と言っていた。

で、ナーダがどうするかということに繋がる。

ナーダはできることならずっと一緒に居たいが国での政務もあるし、何より魔族が人間の国にいるのは少し危険だ。

もちろんリタがという意味で。

まぁナーダを隷属させた時点でリタに害が及べば国が崩壊するのはわかりきってるので普通の人なら手出しはしないだろう。

心配なのは学園だ。学園に無理矢理勧誘される可能性が高い。

もちろん学園は15から18歳までを入学の対象としているので、研究員予備として勧誘されるとは思う。


「まぁリタの存在は外に知られてないので当分は安全だとは思います。ナーダさんがリタに会いたいと思った時はあの森でこっそり会うことにしましょう。ナーダさんは今回どれくらい滞在する予定ですか?」

「一週間くらいかしら?大丈夫よ、姿は変えられるから」

「魔力は抑えられませんか?」

「…そうね。出来なくはないわ。但し半分にする程度かしら?」


半分か。魔族の魔力量は人間を遥かに凌駕しているので、ナーダの半分はハルトレベルに匹敵する。

ただしハルトのみの話であって、ハルトには精霊王が二人いるので、通常時のナーダと互角かそれ以上だろう。

ナーダにはそんなこと言わないけどね!


「うーん。なら私が魔具作りましょうか」

「そのブレスレットみたいな?」


魔族の国でリタに貸したブレスレットは今はちゃんと私の手首にはまっている。


「ナーダさんの好きな形で魔具にしますよ?身につける物がいいとは思いますが」

「なら耳飾りにしてちょうだい」


ナーダの要望に頷き、彼女に貸す部屋を整える為にリタや子供たちにナーダを任せ応接室を出た。

流石に私の隣の部屋は日当たりが悪すぎるので、子供たちの部屋の近くの空部屋を整理することにした。

ほとんど物置に使われているため、ベッドも埃を被っている。

とりあえず窓を全開にして埃をはらうためにベッドを外へ持っていき、部屋にある不要な物をちゃんとした物置に運ぶ。

部屋掃き掃除をして雑巾で水拭き、乾拭きをして部屋を綺麗にした。

途中子供たちが手伝ってくれたので日が落ちる前には終わった。

うーん、掃除機ほしい…


「しすたー!ナーダといんちょーがー」


私が部屋を前に満足げに仁王立ちしていると、廊下から子供の声がした。

…あー、忘れてたー





去年は好きなキャラクターの誕生日だったので、お祝いと称して上げました。

今年は完全に忘れてました…

ごめんなさい、私の好きなキャラクター…


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