番外編『戦隊モノ風ダイジェスト』
戦隊モノ風ダイジェスト《第1章〜第5章》
湊花町の空に、ぽてぽてと歩く小さな影があった。
その名も── ラブリークマちゃん。
ぽよんとした体に満ちるのは、無邪気さと勇気。
だがその背後には、孤独を喰らう闇の存在── 色喰らいが忍び寄っていた。
第1章:港に忍ぶ影
夕暮れの港。光は橙に染まり、人々の声が賑やかに響いていた。
だが桟橋に忍び寄る闇の指先が、甘い香りを漂わせる湊花クッキーを狙う。
「ぼくの大事なクッキーを奪わせないぞ!」
ぽてぽてと立ちふさがるクマちゃん。
その姿は小さくても、勇気は大きい。
色喰らいの影は一歩退き、ただ「次こそ奪ってみせる」と誓いを残した。
第2章:港と金の道
海に伸びる夕日の道。メイドちゃんがクッキーを並べ、ミルクティーの彼女が湯気で場を包む。
甘い香り、温かな湯気──友情の光が重なり、影は港に入り込めなかった。
「はい、半分こ!」
クマちゃんの差し出すクッキーを受け取り、メイドちゃんが笑う。
その瞬間、港全体が結界のように守られた。
仲間と共にある限り、影は届かない。
第3章:湖畔の囁き
夜の湖畔。風鈴の音が澄んで響く。
「これを消せば、また孤独が広がる……」
色喰らいが伸ばす影の指。
風鈴の音が掻き消えかけたとき、メイドちゃんの歌声が夜に響いた。
「らら……らら……♪」
緑の癒しに似た声が和音を呼び戻す。
さらにクマちゃんが赤りんごソーダをぷしゅっと開けると、炭酸の音が友情の旋律に加わった。
影は退き、ビニールシートの上には緑りんごソーダがそっと置かれる。
紅葉の葉が寄り添い、結界のように二人を守った。
第4章:祭りの宵
群青の空に提灯の灯りが揺れる。
人混みに不安げなクマちゃんが袖をつまむと、メイドちゃんは笑顔で応じる。
その背に──金色の光の手がそっと触れた。
「……なんか、大丈夫な気がする!」
ご主人さまの加護を得た二人は、宵祭りの賑わいへと歩み出す。
その一方で、屋台の影を彷徨う色喰らい。
孤独のぶどう味を探すが、どこにもない。
緑や赤のソーダばかり……。
紫の渇きを抱えたまま、影は夜のざわめきにかき消された。
第5章:丘の音楽
祭りの喧噪から離れた丘。子どもたちが笛を吹き、ド・ミ・ソの和音が宵空に舞う。
「眩しい……この音は緑のようだ」
色喰らいが笛に触れると、音はばらばらに砕け、孤独な単音だけが残る。
──ドだけ。ミだけ。ソだけ。
不協和に濁った響きが影を喜ばせる。
だが、その場にクマちゃんとメイドちゃんが駆けつけた。
「やめるんだ!」
赤りんごソーダを開けると、炭酸の弾ける音が和音を呼び戻す。
メイドちゃんの歌声が重なり、子どもたちの笛と調和していく。
友情の音楽が丘を満たし、影は耳を押さえて退却した。
「次こそ……必ず奪ってみせる……!」
紫の渇きと共に、色喰らいは夜に消えた。
※色喰らいが「次こそ、奪ってみせる」を連発するので、戦隊モノっぽいな、とw




