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第7章前編:友情のクッキー
第7章:友情のクッキー(前編)
祭りの余韻が消え、湊花町は静かな夜に包まれていた。
灯りも消え、ただ星の光だけが広場を淡く照らしている。
その闇の中に──音もなく揺れる黒い影。
色喰らいが現れた。
「今度こそ……奪ってみせる」
紫の囁きが空気を震わせる。
標的は湊花クッキー。一つだけ。
クマちゃんが一歩前に出て、ぽてっと立ちはだかった。
「これは、みんなの大事なクッキーだ!渡さない!」
その小さな体に、不思議な勇気が宿る。
メイドちゃんは歌を口にした。
「らら……らら……♪」
その声は澄み、闇を退ける光の糸となる。
ミルクティーの彼女は湯気を立ちのぼらせ、白い結界を広げた。
だが──影の力はそれを飲み込むように迫る。
歌は掻き消され、湯気は薄れ、クマちゃんの足は押し戻された。
影の手が、クッキーに届こうとしていた。




