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第30話 非日常から日常へ2/4

 翌朝いつも通りに目を覚ます、三人分の朝食をもらってテントに戻ると、二人共起きており、軽く柔軟体操をしていた。

「おはよう。士気に関わるのに、最前線の飯が普通でカロリー不足だ。後で改善する様に言ってくれ」

「この時代じゃ難しいよ? 雑穀の混ざったパンでビタミン類とか、極力野菜食べさせて、腹一杯食え。おかわりもいいぞ!」

「うめ、うめ、うめ」

 ヘイと大飯は朝食を受け取ると、なんか不安な言葉を発しながら食べている。俺も乗った方がいいの?

「遠慮するな、今までの分も食え」

 俺がそう言った瞬間、大飯が手を出してきたのでパンを渡すと、ヘイが無言でガスマスクを装備し始め、とりあえず全員で笑っておいた。

 食事中にこれくらいの事をやって、士気が上がるならやっておくべきだな。



「さて、今日は門が開かないけど。どうする?」

「破城槌か? 開けた瞬間襲われそうなんだが」

「弾数増やすのに、ランチャー系を装備してないんですよ」

「俺しか装備変えられねぇ……」

 そう言って端末を操作し、盛大にって事でジャベリンを装備して直接門にぶち込み、装備を元に戻す。


「怖いくらい出てこないねー。死角の多い防壁内部ってか、市街戦に切り替えたかな?」

「もう他国の兵士が突っ込んじゃってますよ?」

 言われなくてもわかるが、門を吹き飛ばしたら重装歩兵が門の幅で進軍し始め、どんどん中に入っていくが、どういう作戦なのかがわからない。

「中に入ったらどうするんだ?」

「昨日言ったとおり展開してジワリジワリと包囲網を縮める。多分ハンマーとか持ってる人が、家を破壊しまくってると思うよ。どれ、俺達も行こう」

 ヘイが俺の背中を叩いたので、歩兵の後に続くが、門から半円を描く様に重装歩兵が盾を構えており、工兵がどんどん家屋の破壊をして、凶暴化した市民は足を切り落とされてからとどめを刺されており、徹底してこちらに被害が出ないように最低三人で行動をしていた。


「工兵のハンマーで、頭を潰すのは見たくなかったですね」

「同感だ。散々頭を吹き飛ばしてるけど別物だ」

 俺達もスリーマンセルで防壁沿いを進み、死角から急に飛び出してこないようにクリアリングや、壁から頭を少しだけ出すリーンを多様するが、屋根から降ってきた時は驚いた。けど大飯が7.62ミリ弾を使うSCARの後継機で、体を貫通して俺に当たるのを躊躇せずに吹き飛ばしてくれた。

「上も注意か。屋外で窓を警戒する嫌らしさだなぁ」

 ヘイは比較的小口径のいつもの自動小銃と短機関銃なので、大飯が大口径を一本持つ事になってて良かった。ちなみにいつもの自動拳銃は選択していない。


「梯子を使って屋根で待機してたんですかね? 滑稽ですね」

「まぁ、屋根が低いから効果的ではあるね。槍で串刺しにされないし」

「C4回復したから、ここの壁も吹き飛ばしておくぞ」

 俺は一言だけいい、C4を家の外壁の角に張り付け、黄色いリモコンを握って爆破させる。

 角に穴が開いてれば中も見やすいし、崩しやすいからな。

「クリア!」

「「クリア!」」

 そして家の中を覗いて誰もいない事を確認して叫び、防壁沿いを警戒をしながら進み、上から襲いかかってくる奴はとりあえず盾で受けつつ、落ちたら自動拳銃で四発撃って確実に殺す。

 まぁ、落ちてくる前に大半をヘイが屋根の上で殺すんだけどね。見えた瞬間に頭を瞬時に撃ち抜く腕が欲しいわ。



「連合軍との合流に成功、今から周囲の警戒及び建造物の破壊に徹する」

「「了解」」

 俺は別な門の方角からどこかの国の兵士が見えたので、軽く手を上げてから防壁に背を向けてC4を投げて爆破してを繰り返していく。


「防壁を吹き飛ばして、負傷者用の緊急脱出口でも作るか?」

 急に思いついたので提案してみた。

「……そうだね、多少の修復か、小さい門の作成くらい問題じゃない。やっちゃってくれ」

「MAPに反応なし、お前達も離れろ。勝手口だ」

 俺は連合軍を防壁から離れさせ、導爆線が入っているマットを壁に貼り付けて広げ、内側と外側の二回爆破して無理矢理道を作り出した。

「負傷者及び、伝令はここから出て道ができた事を伝えろ。そこの重装歩兵はここを死守。歩兵は防壁内の通路に入り警戒及び制圧。残りは家屋の破壊をして丁路地に簡易防衛拠点の作成。瓦礫や木材を利用しろ!」

「確かに使い勝手はいいですね。けど勝手口って台所ですけどね」

 俺が叫ぶと大飯が突っ込みを入れてきた。まぁ、確かにそうなんだけどね?

「今はどうでもよくね? 茶室でも勝手口って言葉を使うし、小さな出入り口の方で捕らえてくれよ」

 一応突っ込みだけは返しておく。敵側の一般人を使った強襲で、こっちは無理にでもお互い笑っておかないと、精神的にやばそうだし。


「さて、連合国のどこかと合流したし、ここをある程度拠点にして、じわじわと城に向かうか」

「いや、少し待とう。防壁内部に兵士が張り付いたし、当面の作戦は成功だ。後はじわじわと包囲網を狭めていき、後から来る兵士と合流し、包囲戦に持ち込む事が決まってる。できれば周囲の警戒に留めてくれ。おいそこの部隊長、防壁内の井戸水は絶対に飲むなと部下に厳命しておけ!」

「飢餓計画ですか? 惨たらしいのでさっさと決めて欲しいんですけどねぇ。九百日耐えた英雄都市の再来とか勘弁ですよ。歴史書に名前とか乗りたくないですし」

 ってか帝国の周りの国が全部敵になって、じわりじわりと包囲網を狭めてる時点で、補給線もクソもないだろうな。帝都内に残ってる食料庫の小麦や砂糖でしのぐしかないんだよなぁ。


「そういや、凶暴化した奴って飯食うの?」

 一応気になったので聞いてみた。空腹とか本当どうなんだろうか? やばい薬とか、空腹とか眠気を感じないらしいけど。

「空腹感は無視できるっぽいけど、ハンガーノックを起こす。まぁ、もうどの道無理だよ。殺した方が凶暴化した人の為だ」

「なら食べるのは、残ってるまともな(・・・・)兵士だけですね。市民に食べさせなければ、この規模なら二年以上は持ちそうですね」

「薬を井戸に投げ込んだ時点でまともじゃねぇだろ」

 瓦礫を積み上げて、防衛用の拠点を作ってる前で防衛をしながら、どんどんC4を投げて視界を広くしていき、大飯は自動小銃で撃ちまくって崩し、昼には半円の簡単な防衛陣地ができあがった。


「これなら見渡しもいいし、走ってきても直ぐに対応ができるね。見張りが眠ってなければだけど。さ、ご飯にしようか」

「他の場所の兵士はどうなってんだろうな……」

 俺は食事が届く前に一言呟いた。

「無線とかないですし、構ってられません。自分優先で」

「もっともな意見をありがとう。けどよ、他が全滅してたらやべぇだろ」

「そうしたら連絡は来るでしょ。それに後続の兵が補充される。戦死者より市民の被害や行方不明の方が多いんじゃない?」

 そうだろうな。都市の戦闘だと大抵市民の方が被害が多かったし。


「食料庫の爆破とかしねぇ方がいいな。末期には人肉とか食い出しそうだ」

「そうですね。補給線が絶たれた都市部の一日の食事制限って、肉体労働者で小麦六百グラム、労働者で四百グラム、その他三百グラムだったかな? まぁ数字だけで配給されなかったとか。なので人肉とか食べてたらしいですよ。百万人いた市民が一万人にまで減ったとかね」

 大飯はニコニコとしながら言い、具体的な数字を出している。実例がどこかであったんだろう。

「山の方に逃げた市民とか、包囲網とかくぐり抜けて逃げられそうだな。逃げてて欲しいな」

「一応包囲だからね。山の方にも連合軍の兵士はいるよ。けど市民なら逃がすか保護はできるけど、今がこんな状況だからどうだろうね」

「夜中には情報は入るでしょうね」

 そんな事を話していたら、食事が勝手口から届いたので交代で食べることにした。



 それから夜になり、ヘイが会議に行ったが戻りが遅い。

「遅いな。いつもならもう戻ってきてるだろうに」

「まぁ、何かあったのは確かでしょうね」

 俺達は暗視ゴーグルを付けながら防壁の上で見張りに立ち、夜中の襲撃に備えている。もちろん下にも兵士はいて、勝手口の見張りをしている。

「そういえば、帝都の人口ってわかります? 規模的に十万から二十万人の人口だと思うんですが」

「国境付近の防衛を受け持ってるルチルで三万人程度、前にウェスに聞いた情報では国土差は倍、人口比率不明。防壁から見える規模で大体五倍の大きさとして十五万人としよう。けど後方は山だし、全て半分だとしても人口は多くても約八万から十万。結構現実的な数字だと思うが?」

 流石に多すぎたので口を出してみた。


「二千人から一万人でも都市っぽいのを名乗れた当時を考えるなら、国の首都なら半分でもそのくらいが妥当ですかね。けどそんな物資が調達できるのは、肥大化主義の帝国だからですかね。まぁ問題はどのくらいが凶暴化してるかです」

「防壁沿いの比較的地位的に弱い連中だろうな。本当にやり方が気に入らない」

 防壁に寄りかかりため息を吐く。綺麗事なのはわかってるが気に入らない。

「まぁ、一般人が犠牲にならない戦争ってないですからね。巻き込まれるのは常に市民です。勝つためには肉壁になったり。ね?」

「ゲームで肉壁やってたから洒落にならねぇなぁ……」

「一応兵士って設定でしょう。洗脳された教団物で、一般人()なのを撃ち殺すゲームだってあったでしょうに。手段を選ばずに勝ちに来るってそんなもんですよ。リアルでやられると反吐が出ますけどね」

 大飯も防壁に寄りかかり、大きく溜め息を吐いた。


「本気で戦争に行きたがる者は、大抵ソレを経験したことがない……。ゲームだから良いんでしょうね。実際は、より汚い方が勝つって奴です。進軍前に媚薬生成所を破壊しましたが、アレがルチルの井戸に撒かれてたらこうなってたでしょうね。さらに戦争が泥沼化すると物資が滞り、死傷者が増えて不衛生な環境での戦闘。匂いもまずいですね。考えさせられます」

「正論過ぎてなにも言えねぇな。戦争を宣言したり終わらせるのは老人だが、戦って死ななきゃいけないのは若者って奴だな。ってか寒いしさっさと終わらせて帰りてぇ」

「冬の戦争は薪を大量に使うから、あまりしないんですけどね。放っておくと色々とやばかったっぽいですからね」

 そんな事を話していたら、遠くの方で爆発音が反響したので、急いで銃を構えて無線でヘイに連絡をいれた。


『どうした。何かあったのか!』

『ごめんごめん。会議で勝手口の話になってね、ソレで便利そうだから各所に開けてくれって頼まれて、もう修理の費用とか度外視で開けてるんだ。今まで遠くから開けてたから音が届かなかったんだね。一声かけておくべきだったよ』

『便利ですからね。仕方ないです』

 とりあえず安心して胸をなで下ろし、大飯と目が合ってお互いにニヤついてしまった。

「安心しろー。仲間が壁に穴を開けてるだけだー。明日には負傷者の運び出しや、援軍の到着が早くなるぞ。寒いからって酒飲んだりするなよー。逆に冷えるぞー」

「毛細血管が開いて、そこから熱が逃げて暑く感じるんですよね。そして体温が下がり、外気との気温差がなくなって更に暑く感じると」

「雪山で遭難した奴が、全裸で見つかるのと同じ奴だな。だから雪女が美人とか言われたんだよな」

「昔の人の発想は凄いですよね。タコの触手攻めとか、女性優位で雪山逆レ――」

 大飯がやばい事を言いそうだったので、軽く胸をどついておいた。

 ってか大飯のその発想は妖怪が力が強いとか言われてるから来たんだろうか?



 あれから三日。俺達は正門から大通りをどんどんと進んで包囲網を狭めていき、各所に防衛陣地を作りつつ、どんどん城への距離を縮めていくが、子供がツボみたいなのを抱えながらこちらに走って来た。

 荷物か液体でも運んでいるんだろうか? 助けを求めてき……いや、目つきが子供のソレじゃないな。

「撃ち殺せ!」

 どっちが叫んだかわからないが、俺は子供の足に弾を撃ち込み、俺の十五メートル先で倒れるとツボが爆発したのか、鉄屑と一緒に肉片も飛んできて、ジャガノ装備のあちこちに肉片がくっ付いた。

「ここまでやるのかよ帝国は! どこまで外道なん――」

 そこまで言って俺は自動拳銃を手放してバイザーを上げ、胃の中の物を全て地面に吐き出した。

「クソが! クソが!」

 その場で前屈みになりながら叫んでいると、背中に数発の弾が撃ち込まれた。


「申し訳ないんですけど、立って銃を構えて下さい。あの子供みたいなヤツ(・・)は薬で凶暴化させられ、何らかの手段で自爆する様に命令された兵士にされているんです。殺される前に殺すしかないんですよ」

 大飯が自動小銃のリロードをすませてから俺の両肩に手を置いて、目を見ながら自分にも言い聞かせるように言い、横ではヘイが短機関銃で、どんどん走って来ている子供を撃っている。

 ここでへこんでたってどうにもならない。殺さないと……。

 俺は軽く大飯の胸を叩き、スリングで繋がっている自動拳銃をたぐり寄せ、リロードをしてから盾を構えた。


「爆弾巻き付けた自爆兵より、爆破範囲と威力は低い。ゲームのイージーモードだ」

「……そうですね。いい考えです」

「いいからさっさと処理してくれない!? 数が多いんだけど! ってかあの教会のある方角から来てるんだけどぉ!」

 ヘイがリロードをしながら叫び始めたので、盾の右上から銃口を出し、慣れた感覚でどんどんツボを抱えたモノ(・・)を撃ち始める。

「足を撃て。転んで胴体が爆破範囲を狭めてくれる」

「肉は飛び散るけどな!」

 皮肉を言いながら、ツボを持っているモノを撃ち殺していくと、今度は修道服を着た男女が少し大きめのツボを抱えて走ってきた。


「コレはねぇわ。国民全員を差別なく薬か……。人族の教会から非難されるんじゃね? ってか屑過ぎてその場で皇帝を撃ち殺しそうだ」

「ははは、悪いけど捕らえるから足とか狙ってね」

「あー。アレじゃないですか? もしかしたらギルドの冒険者とかも凶暴化してません? コレ」

 大飯が不穏な事を言い、魔族大陸にもある組合だか協会なのに、非難される可能性が高いのにそこまでやるのか? と思ったが、滅びるならって考えかもしれない。


「冒険者なら囲まれる前に噂を聞きつけて、逃げ出してるんじゃない?」

「じゃあ、あそこにいる不揃いな装備を身につけたヤツの説明頼む」

「全員戦争終わるまで宿屋待機。やっべ、水飲んじゃったよ!」

 おもしろい説明だな……。笑えないけど。

「笑えないですね。実際今までの町とか、冒険者は宿にいましたからね。確実に巻き込まれてますね。これ」

「基礎能力が違うから苦労するだろうな。まぁ俺達は撃つだけだけど」

「鬱にならなければいいんですが」

「誰が上手い事を言えって言った」

 俺は思い切り走り、凶暴化した冒険者に突っ込んで行くが特に斧での斬撃が重い。盾が弾き飛ばされない様になるべく体にくっ付けているが、それでも吹き飛ばされそうになる。


「アーマーの耐久値は報告する。薙払え」

 そう言った瞬間多少背中に弾が当たったが、俺の正面以外の敵が盛大に吹き飛び、ある程度処理できたら後ろに飛びながら背中から着地し、下を見るようにして正面にいた奴等を撃ちつつ、ヘイと大飯もどんどん撃ち殺してくれた。

「いやー、久しぶりに見たなー。スピナの後ろ飛び。どうしてもジャガノだと正面が死角になるからね。よくやってたよね」

「まぁな。誰が付けたか知らないけどダサいよな」

「よくその名称で言われてましたけどね」

 ジャガノ装備も一応強化外骨格だが、重すぎて仰向けでは起きあがれないので、リロードを済ませてからうつ伏せになって起き上がり、盾を拾って辺りを見回す。

 撃ち漏らしというか、生きてるヤツがいないのが凄いな。確実に急所を狙ってやがる。


「そういえばスピナを挟んで敵と遭遇しても、後ろ飛びが出るから、決して正面が安全じゃないって言われてたよ」

「掲示板でも見ましたね。自由度が上がった三タイトル目には、後ろ飛びが一般的になってましたし」

 大飯のその言葉で俺は盾のアンカーを出して自立させ、兜の上からおでこの辺りを押さえる。


「ってか誰がつけたんだよ……。そこまでメジャーなの知らなかったわ」

「掲示板の誰かでしょ? 裏技とかバグ技、システムの穴を発見した時にその人が命名してたのが使われたり。海外でも日本人の名前が付いた技法とか結構その手のサイトで出回ってるよ? 主にレトロゲームのタイムアタック系や、やりこみ系だけど。飛ぶ平賀源内とか」

「なんだ、そのすげぇ名前」

 平賀源内が飛ぶのか? いったいどんなゲームだ? まぁ、あいつならゲーム内で飛行ユニットとか作りそうだけどな。なんか発明家っぽいし。

「初めて使った体操選手の名前が付いたりするアレですね」

 俺は二人の話を聞きながら、装備とは別に用意した水の入った革袋を腰のポーチから取り出し、バイザーを洗い流してから、変に革臭い水で口を濯いでから飲み干す。

 そして盾を回収し辺りを警戒し始める。


「で、もう少し戦線を押し上げるか? ここまでにしておくか?」

「防衛陣地構築もあるからこの辺までかな。どんどん狭めていくって会議……。ありゃ話し合いだな、で決めたし」

「それにお互い原始的な武器だから良いですが、銃が出てきてからの進軍って大変だったらしいですね」

「まぁ、膠着状態とかが続いてたんだろうな。映画で見た。それにスナイパー一人で、五十人くらい半日足止めしたり。もう空爆か迫撃砲要請して建物吹き飛ばしたりで、やっと進軍。俺達がいたから攻城戦なんか速攻で終わってたし。本来は被害をあまり出さないなら、一ヶ月以上兵站切ってやっとだろ? 技術の発達って怖いな」

 三人で背中を合わせ、ある程度辺りを警戒しながら瓦礫での防衛陣地構築を指示し、家屋を破壊しながら敵が潜める場所潰しをさせ、大通りでは昼飯の為に、倒壊させた木材で煮炊きをしている。


「教会の破壊ってどうなってる? 禁止か?」

「こうなった以上、壊しても良さそうな気もしますけどね?」

「兵士に常駐させて、野戦病院にしとけば凶暴化した奴も入り込まないだろ。教会辺りまで戦線を伸ばしても良かったかもしれない」

「なら鐘楼からの見張りだな。どっかの国みたいに、教会より高い屋根の建物造るんじゃねぇぞ、ってなってるかも。ルチルでもそうだった。城は除外だろうけどな」

 俺はどんどん近くなっている城を見て呟き、ツボを持って走ってきた奴をまた撃ち殺す作業に戻った。

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作者が書いている別作品です。


長いので、気が向いた時に読んでいただければ幸いです。


魔王になったら領地が無人島だった

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