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第26話 戦争間近 前編

 あれから傭兵を名乗る男が現れては、処理をすると言う事を五回は繰り返し、もういっその事町の外で座って待っている状態だ。それにもういい加減、ヘイが町にいないってバレそうな気もする。

 ってかこの移動式小型薪ストーブが意外と温かい。上にヤカンを載せて、寒いからお茶を飲みながら、鍋でスープを煮込んでいる。コレはスクリーンショットを撮っておいた。

「おいおい、そんなもん持ち出してどうすんだ? 傭兵なんかに数が集められる代物でもねぇだろ」

 そして俺の前には二十人ほどマスケット銃を持った男達がいる。服装は傭兵のソレだが、確実に訓練された奴等だ。


「で、代表は誰だ?」

 俺はイスに座りながらカップに入っているお茶を飲み、勢いよくカップをテーブルに叩きつけると、全員が一斉に銃を構えた。

 銃口を大人数に向けられるって、物凄く久し振りだ……。そしてこんなんで驚くなよ。どんだけ警戒されてんの俺?

「だんまりか。おい、そこのお前。緊張しすぎだ。引き金に指かけたままだと意図しない時に発砲しちまうぞ? それとお前、人を撃つのは初めてか? 呼吸が荒いし銃口がぶれてるぞ? もっと深呼吸して落ち着け、当たるもんも当たらねぇぞ?」

 俺は右手で指をさしながら注意し、太股の自動拳銃を素早く抜いて一番落ち着いていた奴を撃ち殺し、相手は一瞬にしてパニックになり、緊張していた奴が引き金を引くと、それに釣られるように全員が発砲した。

 俺は撃った瞬間に思い切り走って横に飛びつつ、寝転がりながらも十発ほど撃ち、立ち上がってゆっくりと歩きながらリロードを済ませる。


「ほら、立ってる奴は急いで弾を込めろ。焦るな。そうだ、腰に付いてるカートリッジを取って口で噛み切って、丁寧に火薬と弾を込めろ。ほら、早くしないと死んじまうぞ?」

 俺はマスケット銃から槊杖(さくじょう)を抜いてる奴から撃ち殺し、どんどん歩いて距離を詰めていく。

「そうそう、急いでる時は地面に銃の底を叩きつけるようにして、簡略化しても問題はないって言うよな」

 そして撃てそうな奴から丁寧に狙って撃ち殺す。

「おっと、こいつはいてぇ……」

 気が付くと、横っ飛びして見えていた隊列の角度が変わり、陰になっていた奴が俺の肩に弾を当てていた。

 ゲーム内でよく見た奴で、視界内が多少赤くなり、ライフポイントが減っている。俺は冷静なまま弾込めが終わった奴から撃ち殺し、俺に弾を当てた奴を最後に残す。


「ジャックポットとペイデイ。この場合はどっちの方がいいと思う? とりあえずお前を誉める事にするよ。ジャックポットだったぜ?」

 俺は弾の当たった場所に手を当て、血の付いた手の平を見せてから太股を一発撃ち、そいつが持っていたマスケット銃を拾い、銃口の方を持ってバットのように構える。

「けど、誉める事と楽に死ねるかってのは別だけどな? すげぇいてぇんだわ。撃たれたお前もわかるだろ?」

 そして俺は、思い切りそいつの頭を振り抜くようにしてストックを叩きつけ、イスに戻ってお茶を飲む。

 ライフポイントはあと十秒もあれば全快する。銃傷に指をつっこんで確認をするが、弾は抜けてないが残ってもいない。骨も無事だ。不思議だなぁ。

 もう一度お茶を飲んで傷を確認すると、血は止まって傷は塞がっていた。初ダメージの報告だな。


件名:マスケット銃で撃たれた

 そして先ほどの事をなるべく詳細に書き、送信を済ませると、頭を殴った奴が地面を這っていたので、G36kのスコープを覗いて撃って楽にしてやった。


「早速返信かよ……」


件名:初ダメージおめでとうございます

実銃でも傷が治るって事は、肉体はやっぱりゲーム基準なんですかね? とりあえず威力偵察の頻度も上がってるみたいですし、自分もなるべく早く合流できるようにします。

ヘイさんから歩調を合わせて、帝国に攻めるような文章をこの間いただきましたし。それまで一人でがんばってください。


 賭けのオッズを狂わせるのに、翌日にもう一度別方角からジャベリン撃ち込みまくったくせに何言ってんだ? 多分戻って合流するまでにも、色々な場所で破壊活動するんだろ? もう動画のネタも尽きてるっぽいけど。

 けど、民間人は一人も巻き込んでないのは良い。門だって閉まった後に撃ち込んでたし。


件名:ヘッドショットも気になるね。とりあえず無事でなにより。

アラバスターの刺客だと思われる奴が王国内で暴れている。ご丁寧にスカルマスクをつけて。単独犯だが複数の目撃情報があるから、確実に噂を意識しての情報操作っぽい犯行だね。帝国側に寝返った噂も出てる。

見回りの兵士達には全員偽物だと言い聞かせるように通達済みだけど、国民の情報操作に覆面を利用されたのは非常に不愉快だ。フルスイングみたいに多少やりすぎても良いと思うよ。

それとスカルマスクじゃなくて、狐の面でも装備したら? 情趣(じょうしゅ)があるよ?

追伸、偽物出現で王妃様の笑顔が止まらないし、王様の胃痛がマッハで進行中。例のメイド二人の無事は確認済みだけど、本当に引くくらい王妃様がヤバいので、俺もそちらに向かいます。


 偽物も出始めたか……。そりゃ相手も馬鹿じゃねぇしな。ってか一人しかいないのに、スカルマスクが出たら偽物ってなるよな、けどそれでも人を騙すには問題ないか。

 それと王妃様が楽しそうでなによりです……。


「はぁ。国王様の心労がマジでヤバそうだな。何か別な被り物あったかな?」

 俺は端末を人差し指で操作していると、デフォルメされた歯が三本しかないアニメチックなスカルマスクがあったが、まったく違う物にしないと効果がなさそうなので、お面じゃなくてペストマスクにしておこう。黒い衣装には合うだろう。

 俺はペストマスクを選択するが、お茶が飲めない……。仕方がないので少し上にずらして飲む事にする。

「やべぇ、クチバシに当たる」

 仕方がないので少し体を反らして飲む。

「二つの意味でめんどくせー!」

 俺は叫び、マスクをデフォルメスカルマスクにして待機する。ペストマスクにしてもゴーグルにしても、不思議と視野が阻害されないシステムって素敵だわー。邪魔だったけど。



 デフォルメマスクにしてから十日、そろそろ年越祭って新年を祝う祭りがあり、町が浮ついてるが、俺は特に関係なくいつもの場所で待機しつつ、ふと視線を上げると人影が多く見える。

 俺は一応装備を変える事にした。自動小銃のG36kにグレーネードランチャーを付け、ショットガンのM1216を選択し、弾を増やしておく。


「貴様がスピナ……だよな?」

「あぁ、ドクロじゃなくて悪かったな。気分転換だ。かわいいだろ?」

 俺はイスに座ったまま両頬に指を当てて首をかしげながら、後ろの方で弓を構え、こちらを狙っている奴を注意しておく。

「で、口上はなんだ? 旅の傭兵団か? いい加減死体処理してくれる兵士さんに申し訳ない気がするんだよ。今まで埋めた人数を数えてるらしいから、後で帝国に請求するって言ってるぜ? もう年越祭なんだ、こういうの止めねぇか? 生きてた方が良い事あるぜ?」

 俺は銃のセーフティーレバーをカチリカチリと二回動かし、フルオートにしてからテーブルを足で蹴って倒し、そこに滑り込む。

「で、弓がおっかねぇからしまう様に言ってくれねぇか? 怖くて泣いちゃいそうだぜ」

 そう近づいてきた奴に言った瞬間、テーブルに矢の刺さる音が数回聞こえ、外れた矢が数本地面に刺さった。

「手ぇ出したのはそっちからだぜ?」

 俺はテーブルの右から銃口を出し、弓を持っている奴をどんどん狙い、リロードの為に一回引っ込み、今度は持ち手を切り替えて左から出して撃ち殺していく。


「まぁ、派手に吹き飛べ」

 俺は笑顔で、近づいてきた奴の頭をショットガンで狙って吹き飛ばし、脳みそをまき散らしながら力なく倒れたのを見て、今度は自動小銃につけたグレネードランチャーを押し寄せてきた奴等の真ん中に撃ち込む。

 そしてグレネードランチャーの空薬莢を捨ててからもう一度撃ち、銃をフルオートで薙払い、それでも勢いでつっこんでくるので、ショットガンに持ち替え残りの十五発を連射して撃ち込み、素早くリロードを済ませ、全力で逃げながら、近い奴からどんどん狙っていく。

「クソが! 数だけ揃えやがって!」

 とうとう追いつかれた俺は、剣で切りかかってきた奴の攻撃をショットガンの銃身で受け止め、右手を前に出すようにして剣を受け流して、至近距離から引き金を引いて頭を吹き飛ばすが、囲まれそうになったので、ジャガノ装備に急遽切り替える。

「貴様! 炭坑爆破事件の!?」

「おー、知ってんのか? まぁ見られたからには生かして帰せねぇけどな」

「最初から生かして帰す気などない癖に。ぬかすな!」

 男の斬撃を盾で防ぎつつ蹴りを入れ吹き飛ばした。


「まぁあれだ! お前達は帝国の兵士なんだろ! バレバレなんだよ!」

 そして思い切り踏みつけ、落ちた剣を拾い、見かけだけは重装備兵になる。振った事のない剣を力任せに振り、盾で斬撃を受け止め殺陣のような動きになるが、時代劇のように上手くはいかない。思い切り後ろから切りかかられたし。

 だって殺陣ってあれだろ? ある程度適度に刀とか振ってるところに切られに入るって聞いたし。切られた奴は、倒れる振りしながら走ってカメラの外に逃げてくのを見たことがある。アレには笑った。

 そして一分経ったので、剣を捨てて自動拳銃を抜き、さっきまで打ち合いをしていた奴の胸に二発撃ち込み、後ろから切りかかってきた奴も処理をする。

「こんなに大勢で来やがって! 手前等まとめて穴の中だ! 兵士が荷馬車で運んで投げ捨てるだけ、そんな弔われ方してんだぞ!」

 俺は思い切り盾を振り上げるようにして左側から来た奴を殴り、正面や右から来た奴はどんどん撃ち殺す。

 そして盾で殴って昏倒しそうになってる奴を、最後に撃ち殺した。


「回り込め! 囲むんだ!」

「うるせぇよ!」

 とりあえず指示している奴が目に付いたので撃ち殺し、銃を離して手を腰に近づけ、スタングレネードを無造作に取り、ピンを抜いて投げつけ、フラググレネードは二回目に投げつける。

 爆心地付近の奴等が倒れ、少し離れてた奴等が目を押さえて転がっているので、うつ伏せの奴は肝臓の辺り、仰向けの奴は首を狙って一発撃って放置する。

「死にてぇ奴はかかってこい! 逃げた奴は尻に穴を増やしてやる。どうするんだ?」

 俺は残り十人程度まで減った敵に叫ぶと、全員が一斉に逃げ出したので、装備をG28に変え、一分待ってから全員の腰辺りを狙って撃ち、歩いて近づいた。


「悪ぃ。尻に穴増やせなかったわ。ちなみに正解は、一人を逃がすのに残りが必死になって足掻く。でした」

 装備品をつけたまま全力疾走しても一分でどこまで逃げられるか。ある意味賭けだったが、三百メートルくらいだったな。運動靴やスパイクと軽装で、百メートル十秒切れるかってな世界だしな。

「放って置いても死ぬが、余計な事されるのも面倒だ……」

 俺は銃を斜めにしてドットサイトで頭を狙って撃ち殺し、テーブルの所まで戻り、町の方に向かって赤い旗を二本振って兵士を呼ぶ。

 十人掛ける十人で百人分荷馬車を用意しろという意味だ。他にも二十五と五十の旗があるが赤と一緒に振った事はまだない。

どこで区切っても中途半端で3000と7000とか、6500と3500になるので連日更新ではなく二話同時更新です。

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作者が書いている別作品です。


長いので、気が向いた時に読んでいただければ幸いです。


魔王になったら領地が無人島だった

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