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第25話 破壊活動と威力偵察 後編

 あれから三十日、俺は下の上程度の銭湯が近い宿に滞在し、目立たない生活をしながら、適度に仕事をしている風の演技をしている。

 俺が出てから十日目にヘイ達も王都に着き、大飯からは五日に一回は動画付きメッセージが届く。しかも毎回違う場所だ。そして今日も届いた。

『ヘイガーイズ。今日は帝都が見渡せる、すばらしい山を紹介するぜ。あそこにあるのが国営の炭坑で、あっちが街中央にある城だ。今からこのぶっとい物で炭坑を吹き飛ばすから、ビール片手に持って大人しく見てろよ? 驚いてビールこぼすんじゃねぇぞ?』

 どこかの大国のノリっぽい感じで、大飯の動画が始まった。動画撮影が癖になっちゃったか?

 大飯がジャベリンを構え、いつも通りに炭坑の入り口を吹き飛ばし、城をロックオンしようとしたら、モニターでロックオンができていない。

『おいおいおい、故障か? あー、有効射程二キロだったわ。いいや。このまま炭坑吹き飛ばすわ』

 ずいぶん面白い事をする……。


『酒と……。何か食える物。できれば食い物は早く出てくるのが良い』

 二本目の動画は、必ずといって良いほど酒場の動画だ。今回もキャラが違う。

『今日帝都に着いたんだが凄く騒がしいな。前に来た時はこんなんじゃなかった。いったいどうしたんだ?』

『炭坑の爆発だよ。一回なら良くある炭塵爆発(たんじんばくはつ)だけど、十回だと色々な軍事施設を破壊してる悪夢そっくりの事件だ』

『悪夢? あぁ。例のアレか。なんだ、ついにココもか』

『あぁ。国境付近から始まって、どんどん帝都に近づいてきてたが、ついにここまで来たって感じだ。次はアラバスター方面に向かうかどうか賭になってるよ』

『そいつは素敵だ。俺は近日中に帝都を出るが、アラバスター方面に向かうから、噂がいち早く手に入る。で、オッズは?』

『別な場所が12倍で、アラバスター側のどこかが1.15倍だ』

『殆ど賭になってねぇな』

 ヘイは目の前に置かれたカップに視線を落とし、持ち上げて一気に飲み干して、料理が来たらさっさと食べ終わらせ酒場から出ていた。


『ヘイガ~イズ。なんと今回は三本目もあるんだぜ? ここはどこだと思う? そう城門の中さ。この跳ね橋を上げる奴となんか網になってる奴、城門の蝶番みたいな奴を吹き飛ばすと面白いと思わないか? 俺は思うね。けどな、ここでプッパなすと俺の身が危険だから、今回はC4だ』

 そんな事を言いながら、投げナイフが刺さってたであろう死体の中を走り回り、C4爆弾を仕掛けたら場面が切り替わって泊まっている宿屋の部屋に場面が映り、遠隔操作用のスイッチを六回押して、小さな爆発音が押した回数だけ聞こえた。


『急遽四本目だぜファッキンガイズ。どうやら帝都から出られなくなっちまった』

 大飯はそういうと、動画には防壁の門が開かず兵士が大量に守っており、犯人が見つかるまで開けられない事を叫んでいた。

『ですよね……。まぁ、出るんですけど』

 そしてどうやったのかは知らないが、五本目の動画には、城壁の外からジャベリンを門に向かって撃ってから逃げているものが送られてきた。

 まったく面白い事をする……。たぶん入る時も出る時も正規じゃねぇなこれ……。それと急に素に戻るなよ。変に笑っちまった。

『これで帝都にも悪夢は事実上降臨しました。後は適当にぶらつきながらジャベリンで吹き飛ばすお仕事(・・・)を続けます』



 そんな動画を見て、今日はダメ人間を装う為に、スラムの一角で顔に土で汚れを付けて酒瓶を片手に座り込んでいたら、俺に近づいてきた浮浪者風な男が隣に座った。

「アラバスターから来たと思われる鎧を着込んだ男が、町の広場で騒いでいる。数名の監視人もいるから、多分偵察の一種だと思う。噂の真意を広めるためにやり合ってくれ」

「あぁ。どう処理すればいい? 悪夢みたいに派手にか? それとも気がついたら死んでいる奴か?」

「既に広場には野次馬が溢れかえっている。派手なのは一般人を巻き込むから避けろ。だから対峙してあっさり殺せ。監視人はこちらで処理するから覆面を忘れるな」

「噂を広めるのは町人に扮装した組織の人間か?」

 男は返事をせずに立ち上がったのでそれ以上聞く事はせず、俺は全身黒の夜戦用の服にスカルマスクを装備し、ホロサイトを乗せた自動小銃のG36kと、自動拳銃のmk23を選択し、両方にサプレッサーだけ取り付け、スモークグレネードを四個装備して移動する。


「貴様が悪夢か。情報通りだな。俺は旅をしながら傭兵(・・)をやってる。貴様を殺せば俺の名が一気に広まる、踏み台になってもらうぞ」

 人混みをかき分けようと思ったら、俺に気がついた町人が逃げるように退いたのでその必要はなかった。

 そしてごちゃごちゃ言っていたので、一言も喋らずに自動拳銃で胴体を撃つと弾がはじかれた。

「馬鹿め! こいつはミスリルの鎧だ! 大抵の攻撃は利かねぇ! 至近距離からマスケット銃で撃っても穴は――」

 仕方がないので、残りの一発になるように弾を撃ちこむが怯まなかったので、マガジンを素早く交換しつっこんでくる男の足を狙って衝撃でバランスを崩して転がし、素早く自動小銃に持ち替えホロサイトを覗く。

 黒色火薬の、先込め式のマスケットと一緒にしないで欲しいなぁ……。一応火薬を増やして、質量のある球状の物だったら威力はあるらしいけど、こっちは貫通力や連射力があるんだよ。

 膝に手を突いて起きあがろうとしている手を撃つと、勢いよく後ろに持って行かれてまた転び、うめきながら頭を上げてこちらを見た時に、フルオートで三発ほど撃つと、回っちゃいけないところまで無理矢理首が回り、その衝撃で首の骨が折れたみたいだ。よく見ると手首も折れてるわ。

 まぁ、弾が抜けないならやりようはいくらでもある。衝撃で気絶させればいい。まぁ結果的に死んだけど。

 この世界に来て、炭坑を出て数時間で思いついた方法だ。もし弾が効かない奴が出たらどうするかと。他には火炎放射で酸欠も試そうと思う。機会があればだけど。


 俺はスリングで繋がってる自動小銃を手放し、スモークグレネードを辺りに三個投げ、十字路の中央辺りに残りの一個を投げ、煙幕があるうちに脱出し、スラム街のぼろい共同住宅に入り、一室の床板を剥がして地下に入って四件隣の一軒家で装備を変え、ハンガーにかけてあるぼろいフード着きのローブを着て組織の人間に軽く挨拶をして裏口から出る。

 そうすると浮浪者風の男が酒瓶を渡してきたのでソレを受け取り、さっきいた場所に戻り、装備変更で綺麗になっちゃった顔に、土を擦り付けて何事もなかったかのように振る舞う。



「男の鎧を兵士が回収し、我々が受け取った。傷の具合や強度を確かめて欲しい」

 少しうとうとしていたら、いきなり浮浪者風の男に話しかけられ、伸びをしてから仕方なくスラム街の一軒家に入り、地下へ下りていく。

 そして鎧一式があったので、俺も録画機能を使いながら独り言の様にさっきあった事を言い、鎧と兜にある傷を指していく。

「これはミスリルの防具だ。着ていた本人の話だけどな。胴体にあるのは俺が使ってるmk23の弾の跡。多少ひっかいたような傷と、ほんの小さなくぼみがある。ひっかいたようなのは弾が滑ったもの。それとエアガンでステンレスを撃ったような感じになってる。そして兜がG36kで頭を撃って衝撃で気絶させようと思ったが、首が回って頸椎損傷で死んだ。傷はハンドガンより尖ったもので刺した感じになってる。弾は滑ったが、町人に被害はなかったからよかったよ」

 俺は対物狙撃銃と散弾銃を選択し、鎧を刺さってる杭に固定して少し離れる。


「今から衝撃で無力化できそうな物で撃つ。散弾銃からだ」

 俺は鎧に向かって引き金を引き、弾が当たると鎧が跳ねて凄い音がした。

「大体十メートルでこれだ。かなりのへこみがあるから、多分骨が折れるくらいの衝撃だろう。折れてなくても、痛みで立てるかどうかだな」

 俺はもう一度下がり、寝転がって対物狙撃銃で鎧を撃つと、親指くらいの穴が開いた。

「この厚さのミスリルなら対物で確実に殺せるな。それと兜のバイザーだが俺の親指が簡単に入る。最悪頭を狙えば中身が死ぬか首の骨が折れる。以上だ。お互い最善を尽くそう」

 俺は録画を切り、早速二人にメッセージで動画を送ってから地上部分に戻る。


「首尾はどうなってる?」

「監視人は排除した。それと町民に紛れた同胞が、敵国にも噂を流すから抑止にはなる」

「了解。俺は浮浪者に戻るぞ」

 そういって俺は裏口から出て、また先ほどの場所に座るとメッセージが二件届いていた。早いな。


件名:ミスリルかー。まぁ頭狙って気絶か中身狙いで良いなら楽だね。

今各国の要人が王都に集まり始めています。噂は移動中でも確認しているらしく、悪夢の事も今回の大飯の破壊工作事も、大抵は知っているとの事。噂の件は上手くいっているみたいですので、スピナはそのまま抑止に徹して下さい。


 ヘイさん。題名と本文が合ってないよ!


件名:ミスリルですか。

夢のある素材ですが、首や間接部分、中身が弱いなら劣化強化アーマーですね。死ぬのは首が曲がるのが悪いと言うことで。とりあえず全身ミスリルの奴を一撃で殺したと噂を流しておきます。

PS・軽いと衝撃に弱そうですね。重さで衝撃や質量を上げないで、防御特化だからこうなるんですよ。それと視界の確保って大変ですね。設定ではバイザーも盾と同じ素材なんでしたっけ? ダメージはヘッドショットと同じ不思議設定。面白可笑しく誇張して噂を流しますね。あ、けど苦戦したって言わないと対策練られちゃいますかね? 分厚い盾とか。

やっぱり苦戦したとか噂流しておきます。


 追伸の方がなげぇ……。ってか二人とも返事はえぇよ……。暇なんだろうなー。俺も本人だとばれないようにしてるから、超暇してるけど。

 手に持ってるの酒瓶だけどジュースだし。

「……寝るか」

 俺は酒瓶に蓋をして、ソレを枕に寝る事にした。



「いって!」

 気がついたら頭を地面にぶつけ、目を開けると若い男四人に囲まれていた。酒瓶はちょっと離れた場所に転がってるので、多分誰かに蹴られたんだろう。

「ようオッサン。ちょっとばっかし俺達に恵んでくれねぇかな?」

「あ? あぁ。ちょっと待て。寝起きで頭が回ってねぇ。――お前達は追い剥ぎか?」

「ちげぇよ。遊ぶ金のねぇ可哀想な若者さ」

「…………ほらよ」

 俺は銅貨や大銅貨の入ってる袋をため息を吐きながら放り投げ、酒瓶を拾い元の場所に寝転がる。

「寝るのに忙しいんだ。そんなんで起こすんじゃねぇよ」

「はぁ? お前屑の癖して何俺等に意見してるわけ? お前みたいな奴がいるとよ、町の治安がわる――」

 俺はイキがってる男を睨みつけると少しだけ怯み、言葉を詰まらせた。

「暴力を振るわなかっただけ誉めてやる。そうやって群れて脅してれば、お互い痛い目を見ないで済むからな。けどな、世の中には手を出しちゃいけない奴がいるって事を知れ。そして散れ、小遣いとしては十分だろ?」

 少し脅したら逆上し、四人は蹴りかかってきたが反撃はせずにただ耐えていた。


「偉そうに語ってんじゃねぇよクズの癖してよぉ!」

 そう言って男達は去っていった。

「追いますか? 重要人物に怪我をさせたので処理(・・)できますが」

 直ぐに物陰から組織の人間が声をかけてきた。やっぱりこの火力は重要だな……。

「町に滞在中に味を占めて、もう一度来たらでいい。目立つのはやばいんだろ? それに処理する場合は悪いが地下にさらってから呼んでくれ。手を出しちゃいけない奴ってのを決して安くない授業料で教える必要がある」

「わかりました……」

 組織の人間はそう言うと、ポーション入りの小瓶を置いて俺から離れていった。

 こういう役って、こうなっても手が出せないのが二つの意味で痛いな。



 俺は散弾銃とマスケット銃を持って組織の住居の地下にいる。目の前にはイスに縛られ、顔に麻袋を被された四人の男だ。

「昨日全員をつけて、素性を調べましたが背後関係は白。この町で生まれ育って小さな不良行為を働いてるだけでした。向かって左から名前と家族構成を言います――」

 組織の人間は全員の家族構成を言い、男達は口に何か詰め込まれてるのか必死に唸っているだけだった。


「生かして帰すと我々の素性がバレます。家族には悪いですが、やはり死んでもらうしかないかと……」

「そうか。訓練して使えるようにならないのか? 殺すのは家族に申し訳なく感じるんだが?」

「確かに病気の母だったり、売られそうな姉妹がいたりと多少同情はできますが、この様な事をしている時点で救いようがありませんし、訓練しても使える可能性は低そうです」

「そうか、胸が痛むな。家族に対してだが。昨日もう少し強く警告してれば……」

「全然感情の籠もってない声で言われましても……。それに殺す気満々じゃないですか」

 俺は全員の頭から麻袋をはずし、一番粋がっていた奴の頭にミスリルの兜をかぶせた。


「運が悪かっただけだ。浮浪者に偽装してて悪かったな。ってか顔付きや体格である程度察しろよな。雑に顔に土塗って、ぼろいローブ羽織ってただけの偽装なのによ」

 そう言ってから引き金を引くと、兜は無事だが首が変な方向に曲がり、アンモニア臭と共に床が濡れた。

「んー!? んーーん!?」

 俺は排莢を済ませ、うるさくしている二人目の体に、穴の開いたミスリルの鎧の前側だけをくくりつけ、引き金を引くと衝撃でイスが倒れ、口の中の布が真っ赤になり呼吸音が少し変わった。

「衝撃で肋骨が折れて肺にでも刺さったか? まぁそのうち死ぬだろ。んじゃ、マスケット銃か……」

 俺は既に弾込めしてあるマスケット銃を構え、引き金を引くと小さな破裂音と共に、火薬が燃焼する臭いが立ちこめ煙で視界がわるくなった。

 そして煙が晴れて男を見ると頭に穴が開いており、綺麗に貫通して鼻や口から血を流して死んでいた。弾が重いから確かに威力はあるな。

「残り一人だが……。処理は任せる。新人の拷問の練習にでも使ってくれ」

 そう言った瞬間に男の顔が恐怖から絶望の色に変わり、必死に何かを言おうとしている。

「思ってた以上にクズで悪かったな。正体を明かせないってこんなもんだ。家族には犯罪奴隷として捕まっていたのを買い取ったと言って、俺の私財から出しておくから適正価格を後で教えてくれ。ミスリルの鎧とマスケット銃で実験できたお礼だ。クズが売れて家族も喜ぶだろうな。んじゃ自分の運の悪さを呪うんだな」

 それだけを言い俺は宿屋に戻った。



件名:久しぶりの会議で疲れたよ


 動画付きでヘイからメッセージが来た。どうしよう、あまり開きたくない。真面目すぎて眠くなる的な意味で。だって夕食後のベッドだぜ? 眠くなりそう。

 そして動画を選択して見てみると、王都で食事会をした時より狭いが、洗練された部屋に物凄く豪華な服をきたり、立派な髭があったりと、見ただけで偉そうと思える奴が多い。実際に多いんだろうけど。

 そして手元にはヘイが作ったであろう書類の模写が配られており、全員がペラペラとめくっている。

 そしてヘイの挨拶後に説明が始まり資料の説明をしている。そして区切りが良くなるとわからなかったら挙手してくれと言っている。そして軍関係者っぽい全員が手を上げていた。上げてないのは王族か?

 そしてヘイは物凄くかみ砕きながら説明をし、終わると納得したかのようにうなずいたり、両隣の人と話をしたりしているのが見える。それが資料分繰り返された。


『以上が帝国を滅ぼす為の案だ。成功したら最後のページにあるように、過去に取られた国土はそのままその国に還り、最初から帝国領だった土地は喧嘩をしない為に、各国の代表が集まって統治し、永続的な中立の穀倉地帯にして、各国の飢餓や災害に備える案を後日出したい。具体案だがそこに住む国民に適正価格で給与を与え、古くなった麦は取り替えるようにして巨大蒸留施設でも造り酒に変える。時間はかかるが、各国に同量を出荷でもしてれば物流の流れもできて、自然と商人が物を売りに来ながら買いつけに来るだろう。税関などは今話すべきではないので避けるが、この辺りが妥当だと思う』

 ヘイが一気に説明すると、会場にいた四分の三が拍手をしている。


『大抵は抜け駆けしようとする国が出てくると思うが、貴官はその辺はどう考えてるのだ?』

『協定を結び、ソレを犯したら制裁が妥当かと。最悪同盟国から脱退、もしくはその国を除いた連合国との戦争になるでしょう。なので各国の代表が集まって統治し、お互いに監視です。仲良くお手て繋いでってのが嫌いな方もいるでしょうし、お互い出し抜けないように、それ以上も以下もなくすればいいんですよ。隷属国ではないですが、最低限の統治で各国から開墾用の道具の貸し出しや、ある程度の税の免除。その土地に行って独立したい場合は、補助金も出すとか言えば畑は広がります。一時的な人口流出はしますが、元々自分の国の土地なら問題はないでしょう。それとも……未来が見えずに数千人分の税金さえも惜しむ馬鹿がいるんですか? 住んでる場所の貴族が気にくわないから、大富豪が他国に引っ越そうかなーって言ったら、国が全力で止めた例がありますけどね』

 あぁ。コレは極端な右だか左が嫌いなあの人の話だな。有名漫画家の為に家の前まで線路通したとかもあるからなぁ。多額の税金払ってる人の発言は強いよなー。

 ってか一気に話すなぁ。論争や会議での説明とか慣れすぎだろう。

 それからはすべての質問に、妥当ではないかと言う案を出しつつ、多少の皮肉を混ぜてマウンティングを取っている。


「えげつねぇなぁ。国王様も苦笑いじゃねぇかよ」

 俺は動画を見終わらせ、今日したミスリルの実験結果と、至近距離からのマスケット銃の威力の報告だけを済ませ、ヘイにえげつないと返事だけしてベッドに寝転がった。

 まぁ、戦争は確実だなこりゃ……。

 俺はグリチネが吸っている銘柄の煙草を紙に巻き、マッチで火を付けて軽く吸ってから残りは灰皿に乗せておく。こうすれば部屋の香りがグリチネの寝室と同じ香りになるからだ。

 俺もハンカチと指輪以外で、香りが出る物でも残しておくべきだったな……。

賭けの部分だけアラビア数字ですが、わかりやすくする為に意図的に変えております。

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作者が書いている別作品です。


長いので、気が向いた時に読んでいただければ幸いです。


魔王になったら領地が無人島だった

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