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880.教会へ

 その後、リゼは今月中にエリアル神聖帝国を公的に訪れる機会があるということやレガルナス公国の関係者であるということを伝えておいた。エリアル神聖帝国で良くない状況になった時のことを鑑みて脱出ルートを確保しておきたいという話もしておく。ここまでの話をしたのはヴィズルが問題ない人物だと教えてくれたからだ。


「二週間後に開かれる東方未開地を囲む国々の国家元首を招くという会合のこと? となるとレガルナス王国の国王に近い人物なわけだ」

「あ、一応……私がレガルナス公国の大公だったりしますね……。いまはレガルナス王国がレガルナス公国になっていまして……」

「随分と行動的な国家元首だな。分かった。協力してもらう手前、脱出時のリスク、追われてこの旧市街地に逃げ込んでその後に調査があるという系は全然のめる。さて、では暗くなるまで少し待とう」


 その後、姿を変える聖遺物を再度つけて、暗くなるまで少しだけ待った。するとガタイの良い男が来て老婆のことは連れて行ってくれる。ルブという少年についていくと教会のようなところにやってきた。朽ち果てている。旧市街地の外れにあたるところだ。


「ここは第二拠点って呼んでる」


 小声で話してくるので頷くリゼである。正面からは入らずに塀にそって裏手に回ると墓地のようだ。その中の塀の近くにある墓石だが、倒れてしまっているところがあり、その墓石をルブがスライドさせると穴が姿を見せる。人手で掘った穴のようだ。


「ここから降りると昔の防衛拠点につながる通路に出られる。中は迷宮みたいになっていて聖騎士は近づかない。罠も沢山ある」


 確かに危険そうであるし、近づかない理由も分かる。穴の中は真っ暗だが暗視スキルで見ると案外深くなくジャンプしても怪我をしないレベルの高さであった。ジャンプしてみるリゼだ。着地すると靴の音が響き渡る。ルブも「随分と大胆に飛び降りたな」と降りてくるので暗視スキルで見たということを話しておいた。左右を見ると洞窟のようだ。その後、海側に続く道を案内してくれた。かなり入り組んでいるが、メモリーを詠唱済みであるリゼとしては記憶に問題はない。行き着いた先は断崖絶壁の場所で、大人一人が通れる穴があいており、その先が海であった。断崖絶壁であるが、穴の先は足場がそれとなく用意されており、海の下まで道はないが岩を降りれば海に到達することが出来るようになっている。試しに穴を抜けてみるとその場所ではゲートが可能そうだ。なお、崖の下を見ると波が激しく崖にぶつかってきており、なかなかに音が響いてきている。この岩場は大人が三人は立っていられそうなところであり、ルブもやってきた。


「この場所は非常事態が起きた際の脱出用のルートだ。せめて命だけでも、という目的で作られたそうだ。ここに来るまでにいくつも道があったね? 他の道の先には弓矢で攻撃できるようになっていたり、物見用の穴だったり、色々ある。もちろん罠も。ここは自由に使ってくれて構わないが、これを渡しておく」


 渡されたのはリゼの名前が入った丸い金色のコインで裏には模様が描かれている。


「このコインを持っていればこの教会で出入りしていても他の仲間に捕まったりはしない」

「ありがとうございます。恐らく、ルブの仲間の方と遭遇した際に見せればよいということですよね? 名前も彫ってくださってありがとうございます。歩きながら何かされていると思ったらこれだったのですね」

「そういうこと。察しが良いな。アジトを案内する」


 それから穴を通って中に戻ってしばらく歩くと教会の地下に到達した。教会の地下には今は誰も居ないようだ。机や椅子、ベッドなども置いてある。


「ここは孤児が集まったところなんだ。事情のある子が多い。ここ最近は聖騎士の巡回も旧市街地の入り口までしかない。城の周辺や光の神ルーフ様の重要な教会付近、中心地の巡回が中心だ。恐らくは二週間後に控えた東方未開地を囲む国々の会合のために少し前からそういう感じになったんだろうね」

「この教会は光の神ルーフ様の教会ではないのですね?」

「ここは違う。忘れられた神の教会だ」


 意味深な発言で気になるが、この教会の地下には石の壁に絵が描かれていた。とはいえ、判別はできそうにない。


(どういう方なのかな……)


 その後、明日にまた会う約束をしてレガルナス公国に戻ってきた。今は自室でソファに座っているところだ。


「エリアル神聖帝国に侵入、脱出可能な場所が見つかって良かったですね」

「ですね、レノア。お手伝いをすることでエリアル神聖帝国について見えてくるものがあるかもしれません」

「マイマスター、念のために話しておきますが、リッジファンタジアシリーズに登場する者たちがいるかもしれませんし、あのルブという少年が攻略キャラの可能性もあります。そういう観点でも注意して情報収集をしていきましょう」

「あ、そうですね……。あのルブの仲間である女の子が主人公だったりするかもしれませんし。今まではそういう目線で見なかったので色々と状況が変わったりしてしまいましたが、あまり出しゃばらずにこっそり支援するという形でいきたいと思います」


 謎に包まれるエリアル神聖帝国に知り合いが出来たことは良いことである。しかし、リゼの予想ではリッジファンタジアシリーズで作品化されている国だろうと予想しており、キャラ同士のフラグに影響を出さないように行動するつもりだ。


(エリアル神聖帝国はケラヴノス帝国と同様に厄介な国であることは間違いないはず。どういう国なのか、ロプタスの状況、何を目指しているのか、国の内情や派閥などなど、知りたいことは沢山ある。それに主人公たちの邪魔をするのも良くないし、そこは注意をしたいところ! よし、明日から気を引き締めていきましょう!)


 やる気を出してこの日を終えた。


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