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87.戦いにて

 リゼからもらった剣の内容を確認したアイシャは非常に喜んでいた。アイシャがいままで使っていた剣は王都で買ったものらしく、お気に入りではあるので部屋に飾っておくらしい。レピアの方が強いため、そちらを装備することにする。いままでの剣はリゼのアイテムボックスに収納し、帰宅後に渡すことにした。

 ついにボスの広間の前まで到達する。アンドレとも見上げたが大きな扉だ。


「これがボスの広間へと通じる扉ですか……」


 アイシャは扉を見上げながら感慨深げに呟いた。アイシャの目線の先には大きな白い扉がある。


「うん。入って少し進めばボスが出てくると思う」

「リゼにアイシャさん、準備は良いですか?」

「大丈夫です。私の知るモンスターでしたら詳細を叫びます」

「私も大丈夫です」

「助かります。では、臨機応変にいきましょう……!」


 とくに体力を消耗していない三人は日帰りでもあるため、すぐに挑戦することにする。

 エリアスが扉を開け、中へと足を踏み入れた。そして三人は広間の中央へとさしかかる。

 奥の石板が割れるはずだ。リゼは石板を観察したが、良く見るとモンスターの姿形が掘ってあることに気がついた。


(メリサンドの時には気づけなかったけれど、一応判別出来るようにはなっているのね。遠くを見ることが出来るスキルなどがあれば、入口から確認できそうね)


 リゼがふとそんなことを考えていると、部屋の奥の石板が壊れ、煙と共にボスが出現する。その姿は土で出来た巨大な像だ。

 素早く戦闘ウィンドウを表示する。


【名前】ゴーレム

【レベル】12

【ヒットポイント】550/550

【加護】なし

【スキル】なし

【武器】なし

【魔法】ロックショット


「あれは……ゴーレム! 腕に気をつけて! 体力があるのである程度攻撃が必要です!」

「把握です!」

「分かりました!」


 リゼたちはゆっくりと歩き出したゴーレム目掛けて距離を詰めていく。


(アクセス・マナ・コンバート・ウィンドウェアー)


 リゼが疑似無詠唱で魔法を詠唱すると、ウィンドウェアーが発動し、体の周りに風を纏う。動きが素早く軽快になる。


「ファイアーボール!」

(エアースピア! スノースピア!)


 ゴーレムの頭に魔法が命中する。

 そして三人は密集しすぎないように、ある程度距離をとりながら前進していく。


「アイスレイ!」


 足を凍結され、ゴーレムはその場から動けなくなった。リゼがいち早く切りつける。ゴーレムはリゼの動きが素早く、認識できなかったのか、右腕でエリアスに向けて攻撃する。エリアスは剣で受け止めるのは力の差もあり厳しいと判断したのか、身を翻して攻撃をかわす。その隙にリゼとアイシャが攻撃を加えた。うめき声をあげたゴーレムは左腕を振り払いリゼとアイシャを殴りつけにくる。


「お嬢様!」


 リゼは魔法により動きが速くなっているので、素早く二回切りつけた後に、素早くバックステップでアイシャの背後に回った。


「サンドシールド!」


 土の壁がゴーレムの左腕を防ぎきる。エリアスは彼に命中せずに地面を殴りつけた右腕に飛び乗りジャンプして首に攻撃を加える。リゼはアイシャのサンドシールドで敵の攻撃を防げたことを確認しつつ、素早く剣でゴーレムの足を切り付ける。さらに攻撃を加えたリゼたちは一旦距離を置く。

 

 その時だった、唐突にリゼは宙に浮くと広間の壁に思い切り叩きつけられた。

 衝撃耐性のお陰でなんとか意識を保つことが出来たがふと足元を見ると蜘蛛の糸のようなものでぐるぐる巻きにされていた。糸は天井の方へと伸びている。リゼはすかさずインフィニティシールドを発動する。天井へと伸びる糸を切断するように空中に結界を展開し、急いでレーシアで足の糸を切り裂いた。


(まずい、上級ポーションを!)


 そして、アイシャやエリアスが攻撃されないように二人の上空に結界を展開させると急いで上級ポーションを飲んだ。体の痛みがなくなったため、アイシャたちに叫ぶ。


「天井です!」


 天井には黒い蜘蛛のようなモンスターが張り付いていた。宝箱を入手した部屋に一瞬だけ出現したモンスターに似ている。どうやらこっちに転移する仕組みだったようだ。

 動揺するリゼたちにはゴーレムが迫る。


(まずい、まだゴーレムの体力は半分以上残っているのに遠距離攻撃をしてくるモンスターが天井に。どうする……)


「お嬢様! ゴーレムは私たちに任せてください! あの天井のモンスターをお願いします!」

「リゼ! 頼みました! 例の壁をゴーレムと我々の上に展開してください!」


 アイシャたちの提案を受け入れることにする。


「インフィニティシールド!」


 彼らの頭上に念のため大きめの結界を再度展開し、上から糸で攻撃できないようにした。

 そしてすぐさま戦闘ウィンドウで確認だ。


【名前】アラクネ

【レベル】10

【ヒットポイント】270/270 

【加護】なし

【スキル】銀糸、毒耐性(レベル1)、毒検知

【武器】なし

【魔法】ポイズン・ショット


(ポイズン・ショットってモンスター専用の闇属性魔法! 毒レベル1の毒の塊を広範囲に撒き散らすはず。よくわからないけれど、スキルは奪っておきましょう!)


 リゼはひとまず敵のスキルを奪っておくことにした。


「スキルアブソーブ! 銀糸!」

 

 アラクネは魔法を感じ取ったのか天井に張り巡らせた蜘蛛の巣を高速に移動するが、追尾されて魔法が命中した。リゼとしては天井から落とさないとどうにもならないと判断する。


(スノースピア! エアースピア!)


 リゼは氷の粒を大量に天井へ向けて噴射する。アラクネは糸をはいていくつかを撃ち落としたが、何発か命中し、巣を離れて地面に落下してきた。


「ウィンドウェアー!」


 速度を向上させ、アラクネに一気に迫る。スピードが早く糸ではリゼを止められないと判断したアラクネは複数の足で攻撃を仕掛けてきた。


「アイスレイ!」


 しかし、唐突に氷で足を半分程度まで固められ、アラクネは身動きができなくなる。リゼはスノースピアをアラクネに打ち込むと剣を上から振り下ろした。さらにブリュンヒルデを取り出し左手で持つとレーシアとブリュンヒルデで連続して切りつける。アラクネはのたうち回り、無理にアイスレイの凍結から抜けようともがく。しかし、どうしようもないと判断したのか魔法を発動してきた。


「よし!」


 リゼはアイシャたちに毒が噴射されないように自分とアラクネを囲むように結界を張った。視界が遮断されないように顔の前にも展開しておく。アラクネはポイズン・ショットを発動し、リゼに噴射した。毒の塊を全身で受けたが、毒レベル1であるため、問題ない。服はだいぶ汚れてしまったが視界良好だ。

 躊躇することなくリゼは前進すると、再度スノースピアを浴びせつつ、二本の剣で攻撃を繰り広げる。

 そして、アイスレイの凍結から逃れたアラクネは足を振り下ろしてきた。


「燕返し!」


 素早くスキルを発動させ、アラクネの足を受け流すと左右から攻撃を加える。アラクネは倒れて動かなくなった。

 結界を解除し、アイシャとエリアスを向き直る。どうやらゴーレムの体力を残り二割程度まで削ったようだ。リゼは走りながら叫ぶ。


「そろそろ倒せるはずです! 土属性のロックショットを覚えています! 気をつけてください!」

「アイシャさん、注意しましょう……!」

「分かりました!」


 同時にゴーレムの目が赤く光る。すると周りに岩が漂い、エリアスたち目掛けて発射してくる。

 アイシャがサンドシールドを展開したが、万が一ということがある。


「インフィニティシールド!」


 リゼはアイシャたちの目の前に結界を展開した。岩は壁にぶつかり粉々に砕け散る。ウィンドウェアーの効果で速度が上がっているため、エリアスたちのところまでたどり着けた。


「畳み掛けましょう!」


 結界を消滅させ、リゼの合図で距離を詰めに行く。ゴーレムは一歩踏み出すと腕をスライドさせて薙ぎ払いに来る。予想外に腕の速度が速い。


「ウィンドプロテクション!」


 リゼの魔法により、ゴーレムの攻撃は上方に受け流されて、隙ができた。アイシャとエリアスが切りつけると、リゼとエリアスはすぐに魔法を詠唱する。


「ファイアーボール!」

「アイスレイ!」


 ゴーレムは魔法の詠唱に入った。ゴーレムの周りに岩が漂い始める。


「マジックキャンセル!」


 アイシャがスキルを発動し、敵の魔法を無効化する。


「ナイス! アイシャ!」

「すごいです!」


 リゼとエリアスは魔法を無効化され、腕の攻撃に切り替えようとしているゴーレムに向かい攻撃を加える。まずはリゼが切りつけた。


「四連斬り!」


 その後のエリアスのスキルにより、ゴーレムは膝をつくと大きな音を立ててその場に倒れるのだった。

 エリアスが喜びの声を上げた。


「よし! リゼ、アイシャさん、倒せましたね!」

「お二人ともお疲れ様でした。私、ロックショットは初めて見ました」

「倒せてよかったです。私も覚えられる魔法ですか?」

「うん。ロックショットは特殊な魔法ではないから段階を踏むと覚えられるのではないかと思う」


 今回はアラクネという別のモンスターがいたため、かなりイレギュラーを強いられた。こういうパターンもあるため、注意しなければとリゼは思いつつ、アラクネとゴーレムをアイテムボックスへと収納するのだった。 


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