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86.ボス戦へ

 さらに先に進むと今度は二体のノーマルリッチが姿を表す。


「お嬢様、二体いますがどうしますか?」

「そうね……サンドシールドはウィンドプロテクションと違って耐久力があるから二発は耐えられると思う。二体の注意を引いてもらえる?」

「お任せください!」


 念のため確認する。一体は先程と全く同じであったが、もう一体は魔法が水属性だ。


【名前】ノーマルリッチ

【レベル】7

【ヒットポイント】35/35

【加護】なし

【スキル】なし

【武器】なし

【魔法】アクアアロー


 リゼはアイシャに頷いた。

 アイシャはリゼが先ほどやったように剣の先で地面を軽く叩き注意を引く。ノーマルリッチたちは敵に気付き詠唱を始める。そして、ファイアーボールとアクアアローがアイシャ目掛けて発動される。火の玉と水の矢がアイシャめがけて勢い良く迫ってくる。


「サンドシールド!」

 

 アイシャが魔法を発動すると、彼女の前方に土の壁ができ、攻撃を防ぐ。リゼは念のためサンドシールドが破られたときのためにアイシャの目の前にインフィニティシールドを展開したが、サンドシールドで防ぎ切れたため、杞憂であった。

 すかさず、リゼとエリアスは攻撃に出る。


「アイスレイ!」


 リゼは走りながら魔法を唱えつつ敵に向かい突き進むと流れるように一撃を加え、もう一体に向けて即座に走っていく。すかさずエリアスはリゼが攻撃したノーマルリッチに一撃を加えて倒す。そして、もう一体にも一撃を加えるリゼだ。


「ファイアーボール!」


 エリアスが詠唱し、ノーマルリッチに当たると静かに倒れるのだった。

 流石に初級ダンジョンのモンスターは中級ダンジョンと比べると弱い。


「狩猟大会の時も敵のレベルがこの程度でしたら、いまみたいに連動して倒すこともできますし、一人が一体を担当してもいけそうですね。あ、と言いますか、そもそもモンスターではなく動物が相手でしたっけ……それであれば難易度はさらに低いかもしれませんね」

「リゼに同意です。それにしても戦い慣れていますね……」

「あはは……先日のダンジョンでかなりの数のモンスターを倒したので慣れてしまったのかもしれません……」


 こうしてリゼたちは連動して倒したり、一人が一体を担当して倒したりしつつ、先に先にと進んでいく。


(うーん、ダンジョンマップウィンドウで見る限り、宝箱の部屋は一つのみね。そしてその部屋は罠ありの部屋のようね。ボス部屋の手前くらいだから試しに挑戦してみましょうか)


 十体ほど倒した頃合いに、ノーマルリッチとは異なるモンスターが現れる。エリアスの合図で止まり、前方を確認した。ダンジョンマップウィンドウではモンスターの位置が赤い点で表示されるため、敵がいることは察していた。


「あれは……バニー・ソルジャーですね」

「よく知っていますねリゼ。僕は見たことないモンスターです。どんなやつなんです?」

「大きさは私たちくらいのうさぎ型、二足歩行の槍を持ったモンスターで……わりと素早くて、あと、私たちは剣ですからリーチで槍には負けるのでうまく避けるか受け流す必要があります」

「なるほどです。厄介なのは五体もいることですね……」


 アイシャも首を突き出して敵を確認した。五体いるようだ。


【名前】バニー・ソルジャー

【レベル】6

【ヒットポイント】30/30

【加護】なし

【スキル】なし

【武器】バニー・ソルジャーの槍

【魔法】なし


 特筆するべきポイントはとくになかった。むしろノーマルリッチよりもレベルが低い。数が多いのが厄介だ。


「二体を魔法で先に倒しましょう。その後に一人一体ずつで良いですか?」

「分かりました」

「お嬢様、私も分かりました」


 三人は敵に気づかれないように距離を詰める。敵が少し分散するのをじっと待ち、リゼが魔法を発動する。


「アイスレイ!」


 氷の加護の効果もあり、敵全体にアイスレイが命中した。バニー・ソルジャーはリゼたちに気づいて攻撃態勢に入るが身動きが取れない。リゼはインフィニティシールドを発動させ、ターゲットの二匹以外を囲むように結界を展開した。


「ファイアーボール!」

(エアースピア! スノースピア!)


 魔法が命中し、一体を倒し切る。そして続けざまにリゼとエリアスが切りつけて、もう一体も打倒した。すかさずリゼたちは残りの敵目掛けて剣を構える。リゼは結界を消滅させ、ここからは一人一体を担当することになる。バニー・ソルジャーは身動きが取れないが、迫り来る脅威に対抗しようと槍で突き刺そうとしてくる。


(フォンゼルさんに教えてもらった通り……避ける!)


 リゼはバニー・ソルジャーの鋭い突きをかわすと、懐に入り一撃、さらにもう一撃と攻撃を加えると動かなくなった。


「サンドシールド!」


 アイシャもまた壁で攻撃を防ぎ、攻撃を連続で加えることで倒す。エリアスは槍の突き攻撃を型で受けて上方に受け流すと冷静に攻撃を加え、バックステップで距離を取った直後に魔法を詠唱して同様に倒すのだった。

 アイテムボックスへと収納していると、エリアスが感慨深く呟いた。


「僕たち、いつの間にか初級ダンジョンのモンスターとはある程度、余裕を持って戦えるようなレベルになっていたんですね……」

「そうですね……!」

「私もお嬢様たちと同じようにある程度は戦えるようになっていて少し安心しました」


 それから、ノーマルリッチとバニー・ソルジャーの混合部隊と遭遇したが、アイスレイで動きを止め、防御型の魔法を使えるリゼとアイシャが壁になり、エリアスが倒していくなどと臨機応変に対応することで先へ先へと進んでいくリゼたちであった。それからさらに十体ほど倒したところで宝箱がある部屋の前に到着した。


「この扉を開けるとモンスターが沢山出現して部屋から溢れ出てきます。モンスターの数は分かりません。扉を開けたら試したいことがあるので少し離れていていただいても大丈夫ですか? 私としては挑戦して、宝箱の中身を手に入れたいのです。皆さんはいかがでしょう?」

「僕は賛成です。離れるのは構いませんが、リゼは安全ですか?」

「大丈夫だと思います」

「私はお嬢様の意見に従いますので、お好きなようにです。離れる旨も、承知です!」


 エリアスとアイシャは少しばかり部屋の扉から距離をおいた。

 リゼは扉のノブに手をかけると一気に開いた。そしてその瞬間に魔法を詠唱する。


「インフィニティシールド!」


 扉の部分に結界を二枚ほど展開した。すると、ノーマルスケルトンの大群と部屋の奥に大型のモンスターが現れたが何故かそのモンスターは一瞬で消え去った。ノーマルスケルトンたちはリゼを切り裂こうと結界に剣を振り下ろしてくる。剣は結界にあたり跳ね返された。二枚展開したため、すぐには壊されないだろうと冷静に数を数える。


(ダンジョンマップウィンドウを見る限り、十二体ね。さっき、奥に見えた巨大なモンスターは一体……天井にもいないみたいだし、穴をほったわけでもない。どういう原理かな……まさか透明になれるとかそういうこと?)


 戦闘ウィンドウを見てもノーマルスケルトンしか表示されていない。


【名前】ノーマルスケルトン

【レベル】10

【ヒットポイント】43/43

【加護】なし

【スキル】なし

【武器】ノーマルスケルトンの剣

【魔法】なし


 そもそも透明になれるようなモンスターなど聞いたことがない上に、神の作ったウィンドウシステムである戦闘ウィンドウは仮に透明になったとしても確実に敵の情報を捕捉してくれるはずだ。

 よって、リゼは見間違えかと考えた。


「エル、アイシャ! ノーマルスケルトンが十二体です! 部屋から出したら私の魔法で数体ごとに隔離しますので倒しましょう!」


 リゼがそう叫ぶとエリアスたちは頷いてきた。リゼは部屋の前からエリアスたちの元へと向かい、結界を消滅させる。するとノーマルスケルトンたちが部屋から溢れ出てきた。そして先頭三体の後ろにインフィニティシールドで結界を発動させ、敵を遮断する。

 

「三体になりました! 倒しましょう!」


 リゼたちは一体を担当して確実に倒す。そして次の三体も同じように隔離して倒す。これを繰り返すことでノーマルスケルトンは全滅した。


(よし、シミュレーションしてきた通りうまくやれた。本当に便利ね、インフィニティシールド……。さて、見間違えだと良いけれど、巨大なモンスターは何らかの罠かもしれないので慎重に部屋に入りましょう)


 先程見た巨大なモンスターの話をエリアスたちに伝え、警戒して部屋に入ることにする。扉が閉まって開かなくなったりすることがないように、アイシャが外で見張りをしてくれることになった。

 リゼはなにかの罠かもしれないとドキドキしながら足を踏み入れるが特に何も起こらなかった。

 部屋をくまなく見渡したが何もいない。見間違えだと結論づけて宝箱の前に立った。


「さて、何が入っているか……ですね。エルが開けますか?」

「リゼにお譲りしますよ」

「ありがとうございます。実は試しに開けてみたかったのです」


 宝箱はそこそこの大きさがある。宝箱を開けてみた。

 中に入っていたのは剣だ。エリアスと顔を見合わせ、剣を手にとってみる。


『ハンカチ 備考:フォルチエ店のハンカチ。材質は絹』

『クロエス 備考:名匠「コルトン=シメオン・クレバリー」作のペンダント。持ち主は剣を収納可能。持ち主、リゼ=プリムローズ・ランドル』

『レーシア 備考:名匠「コルトン=シメオン・クレバリー」作の宝剣。敵対対象に攻撃する際に、体内へのダメージを相手に蓄積させる』

『カルミネ 備考:ブレスレッド。魔法の威力を増幅させる』

『メリサンドの指輪 備考:魔法の再詠唱を早める』

『ニーズヘッグのお守り 備考:蛇や竜系のモンスターから受けるダメージを低減させる』

『レピア 備考:頑丈な銀製の剣。持ち主の魔法の再詠唱を少し早める』


 アイテムウィンドウで詳細を確認したがレピアという名前の剣らしい。


「えっと、レピアといって、魔法の再詠唱を早める効果があるようです」

「僕は家に伝わるこの剣がありますから、リゼがほしければどうぞ」

「私もこのレーシアと他にも剣があるので……アイシャにあげても良いですか?」

「もちろんです!」


 エリアスは快諾してくれた。部屋を出るとアイシャがノーマルスケルトンをアイテムボックスに収納しやすいようにと綺麗に並べていてくれた。


「ありがとう、アイシャ。この剣、レピアっていうのだけれど、アイシャにもらってほしいの」

「え……良いのですか? なんだか高そうな剣ですけど……」

「大丈夫よ。はい。アイテムウィンドウで確認してみてね。私はその間にノーマルスケルトンを収納しないと」


 アイシャがアイテムウィンドウで確認している間に、リゼは急いでノーマルスケルトンやその武器などを収納した。バニー・ソルジャーやノーマルリッチも収納済みだ。また商会に売却してアイシャやエリアスと分け合うつもりだ。

 アイシャは剣を鞘から出してみた。少し曲線を描いている美しい銀色の剣だった。


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― 新着の感想 ―
>魔法が命中し、一体が消滅する。そして続けざまにリゼとエリアスが切りつけて、もう一体も消滅させた。 >リゼはバニー・ソルジャーの鋭い突きをかわすと、懐に入り一撃、さらにもう一撃と攻撃を加えて一体を消滅…
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