198.魔法やスキルの生成
それからエリアスからもらったスキルの本を開いた。ルーン文字で書かれているわけであるが、最初のページを読んでみる。
『きっとミリア大帝国が滅亡するだろう。ゼフティアの軍勢は地の利を活かして確実に我々の軍を追い詰めている。コンスタン=デュトワ・ゼフティア、ゼフティア王国を立ち上げた男だ。奴は抜け目がない。我々は少しばかり、うぬぼれすぎていたようだ。私の予想ではミリア大帝国は敗戦し、内戦に突入するはずだろう。すると、せっかく作り上げたこのスキルを味方に使うことになる。それはよろしくない。よって、このスキルは洞窟に封印する。もし、この本を見つけた者がいたら、うまく使うことだ。では、さらばだ。ミリア大帝国に、栄光あれ』
この本を書いた人の名前は書いていなかった。
(えっと……よく分からないのだけれど、ミリア大帝国時代のものであることは確かね。名前は『ゼラ・グラディウス』というらしい。名前に意味はなく響きが良いから付けたと横に書いてある。そうなのね。ひとまず、習得してみましょうか)
このスキルは名前を言わないと習得できないようであるため、リゼは手をかざしながら名前を告げた。
するとスキルの習得を完了する。早速ステータスウィンドウを確認してみる。
【名前】リゼ=プリムローズ・ランドル
【別称】フォルティア
【性別】女
【年齢】十二才
【レベル】13
【職業】侯爵令嬢(ゼフティア王国)、子爵(ブルガテド帝国)
【属性】風属性、氷属性、無属性、聖属性
【称号】運命の開拓者、聖女
【加護】大地の神ルークの祝福(大)、芸術の神ミカルの祝福(大)、武の神ラグナルの祝福(超)、叡智の神アリオンの祝福(小)、水の加護、土の加護、風の加護、火の加護、ブリザード・エスポワール、人魚の祈り、竜羽の盾、ガルムの目、聖女の加護、女神の祝福
【スキル】ルーン解読(固有)、毒耐性(レベル2)、衝撃耐性(レベル2)、毒検知、燕返し、マジックキャンセル、銀糸、火傷耐性(レベル2)、ソードゲネシス、モンスターテイム、アビザル・サンクチュアリ、ウムブラ・ネビュラ、ルミナス・イグニス、グラース・エクレール(固有)、ゼラ・グラディウス(固有)
【状態】健康
【所持金】270120000エレス
【ポイント】2069950000
【メッセージ】「ゼラ・グラディウス(固有)を会得しました」
視線を集中させて詳細を確認する。
『ゼラ・グラディウス(固有) 備考:双剣で発動可能。八連続で切りつけ、最後に強力な一撃を加える』
詳細を確認し、ステータスウィンドウを閉じた。
(なるほど。連撃技ってことね。とすると、グラース・エクレールと少し被るけれど、特徴は双剣状態でしか発動できない点ね。そういえば、お父様からいただいた剣の名前はエドラムにしたから、エドラムとレーシアとか、いずれかの二つの剣を持っているときに発動ね。最近は双剣で戦うことが増えているから使うタイミングは結構ありそう)
その次の日、午後にローラやアデール、コーネリアが訪ねてくることになった。エリアナがローラにも謝罪をしたいということで彼女も呼ぶことにした。貴族の子女が集まるわけであるので、お茶会を開催することにする。お茶会は中庭で開くつもりで、準備などをアイシャやリアにお願いしていて、リゼは料理の真っ最中だ。リゼは日々練習を繰り返していることで、それなりに料理ができるようになってきている。
(よし、良い感じね。みんな喜んでくれるかな?)
周りで見ていた料理長や料理人たちが拍手をしてきた。料理人が質問をしてきた。
「お嬢様、とても素晴らしいですね。クリームブリュレは私も知っておりますが、もう一つのこちらは何でしょうか?」
「これはフールといって、ランドル侯爵領がある島の伝統的なデザートです。家の歴史が書いてる本があるのですが、そこに書いてありました! ピュレ状にしたフルーツをカスタードとかクリームに混ぜ込んだデザートです。沢山あるので皆さんも是非食べてみてください」
料理長や料理人たちは喜んでいた。
それからスノースピアで氷をたくさん出し冷やしたりしつつ、私室に戻り友人たちの来訪を待つ。
「お嬢様、どうされましたか?」
部屋にやってきたアイシャが机で考え込むリゼに質問をしてきた。
現在、何か良いスキルや加護がないか考えているところだ。リッジファンタジアで目にしたことがあるスキルや加護を一覧として書き出してみている。
「えっと、何か良いスキルや加護がないかな~と思って。アイシャはどんなスキルや加護、魔法が欲しい?」
「そうですね……やっぱりお嬢様のインフィニティシールドみたいにみんなを守れる壁のような魔法や回復系の魔法とかがほしいですかね。攻撃系ですと、軌道を操作できる魔法が欲しいかもです。いま私が覚えている魔法ってサンドシールド、ロックニードル、グリーンヴァインメイヘムなのですが、軌道をうまく調整して攻撃する術がないのですよね……」
「ありがとう、アイシャ。えっと、ちょっと待ってね」
リゼは該当するスキルや加護、魔法がないか確認してみた。
まず可能性がありそうなのは、結界魔法のようなものでもなく回復系のスキルだ。モンスターが使っていたためだ。
(なんだったかな……ここに書き出した中にはないよね。キュアみたいな回復量は見込めないのだけれど、確かあったはず。私は見ていないのだけれど、〈知識〉のSNSで見たことがある気がする。SNSが何かは思い出せないのだけれど……。神器さん、モンスターが使っていた回復系のスキルってご存知ですか? 発動に時間がかかるのですが、自分もしくは対象を回復できるスキルだったはずです)
思い出せないため、神器に聞いてみる。
『上級ダンジョンのボスモンスターであるルエルというモンスターが使う、ヴィタリス・エクス・レジェネレーションというスキルがあります。このスキルは発動すると三秒後に対象を治癒します。治癒効果は怪我に有効で、病気や状態異常には効果がありません』
神器が回答してくれた。キュアやヒールの下位互換にはなってしまうが、アイシャに覚えておいてもらって損はない。
(ありがとうございます。何ポイントでしょうか? あと、サンドシールドと違って好きな場所に壁を作れる魔法や土を軌道操作するタイプの魔法はないでしょうか? あとで能力は強化するので初級魔法が良いですね!)
リゼはさらに質問をする。すぐに回答があった。
『ヴィタリス・エクス・レジェネレーションは生成に三千万ポイントが必要で、交換に二千万ポイントが必要です。また、土属性魔法で壁を作る魔法は存在します。アースウォールという魔法で生成に必要なポイントは千万ポイント、交換にも千万ポイントが必要です。そして、土属性魔法に軌道操作できるような魔法はありませんが、一つ提案します。土の鞭を作って、鞭のように操って対象に叩きつける魔法はいかがでしょうか。生成、交換共に五百万ポイントです。共に初級魔法で生成可能です』
ポイントも潤沢にある上に、アイシャが強化されるのは歓迎要素でしかないため、お願いすることにした。そして、スキル交換画面を開き、ヴィタリス・エクス・レジェネレーションをアイシャに付与した。
続いて、魔法交換画面を開く。
【魔法交換画面】こちらは魔法交換画面です。ポイントを消費してお好きな魔法を獲得することが出来ます。
【ライトニングトルネード(光)】18000000
【アースウォール(土)】10000000
【サンドウィップ(土)】5000000
リゼは交換する前にもう一度神器に確認する。
(アースウォールの壁は強固にしていただきたいです。サンドウィップも簡単に壊れるのではなく、かつ、持続時間もある程度の時間が欲しいです。強化可能でしょうか?)
神器曰く可能であると返答がある。
『アースウォールは現在の状態では、初級魔法として生成したため、初級魔法を耐えうる耐久力となっています。上級魔法でも耐えられるようにする場合、二千万ポイントが必要です。また、サンドウィップの持続時間は十秒となっておりますが、五分に伸ばす場合、千万ポイントが必要です』
リゼはお願いした。そして、アイシャに付与するのだった。全部で一億千万ポイントであったが、それなりに使い勝手の良い魔法やスキルをアイシャに付与できたため、リゼとしてはご満悦である。




