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167.寂しさと決断

 話を終えて私室へと向かう。


(やっぱり怪しい。子爵家の令嬢を王妃として迎え入れが、いまの王妃様に対しての当てつけだったとしても、前王妃様は先代の王妃様と何らかの関係があったのでしょうね。ここら辺の話はルイにも関連する話のはず。先代の王妃様は寝たきりで公の場所に姿を表すことはないのだけれど、リッジファンタジアにおけるルイは祖母である先代の王妃様がいらっしゃるガーデリー宮に出入りをしているという描写があったっけ。ルイについてはファンディスクで彼の真実が語られているはずで、リッジファンタジア本編で語られなかった何かの裏事情があるはずよね。いまの私に何か出来ることはないけれど、何か嫌な裏事情のようなものがあると思って日々を生きましょう。あ、いえ……やっぱりガーデリー宮の噂などはちょっと注目してみることにしてみましょうか)


 そう考えながら部屋に戻ると、日記に今日あったことや前王妃に関することを記載しておいた。

 それから北方未開地へ行って、鉱山の状況を確認するが、特にこれといって新しい鉱山が見つかったというような話はなかった。これは地道に探していくしかないだろう。


「あれ、そういえば超上級ダンジョンの位置をワールドマップウィンドウに表示してくれるようになったのよね。見てみましょうか。北方未開地にあると良いのだけれど」


 離宮の部屋で確認してみることにした。ワールドマップウィンドウにはいままで表示されていなかった青白い点がいくつか表示されていることに気づいた。


「えっと、北方未開地にはないみたいね……ブルガテドにもゼフティアにもなし。あ、待って。ゼフティアにはあるかも。南方未開地とゼフティア本土の間にある島に一つ……! ここは確か国の直轄領よね。街などはなく、デイラ聖教国との戦争が起きた場合を想定して、常に騎士団が配置されている場所だったはず。他はデイラ聖教国の西方の海沿いにあるようね。他にも南方未開地の中央付近に一つ。あとはケラヴノス帝国の東方に一つ、西方の海を越えたところにある大陸に一つ、他にもいくつか……あるようね。この中のいずれかに神器があるのだものね。これらを攻略できるようにならないと。神器といえば、他にも一つ、誰かが手に入れて、その方が亡くなって、どこかで忘れ去られているというルーク様の神託があったはずよね。神器さん、その場所ってわかりますか?」


 ダメ元で聞いてみた。


二番目の神器(グランドツー)はレガルナス王国の地下墓地に眠っています』


 即座にワールドマップウィンドウを確認する。

 レガルナス王国はケラヴノス帝国の隣の隣の国であり、相当距離がある。生成した魔法で転移すればすぐに到着できるかもしれないが、どういった国か分からないため、危険かもしれない。リゼとしては情報収集をしてからにすることにした。それに、地下墓地というものだが、簡単に入れるような場所ではないような気がしてならなかった。

 その後、リチャードから貰った絵を見ながらフロストブラストとアイスサーベルの魔法陣を完成させると正常に魔法を会得できた。


(よし、きちんと氷の剣も出た。リチャードには本当に感謝よね)


 リゼがリチャードに感謝しなければと考えていたところで、ヘルマンよりメッセージが入った。


『リゼよ、一つ朗報だ。仮におぬしが聖属性を得た場合、すでにブルガテド帝国の貴族であるため、聖女としてゼフティア王国の管理下に置くという話は適用しないこととなった。おぬしの重要性はゼフティアも理解しているようであるが、それが原因でブルガテドと関係が悪化するのは避けたいようだな。それから狩猟大会の警備を担当した第一騎士団であるが、幸いにも王族や狩猟大会の参加者に死者が出なかったため、厳罰は免れた。どこの隊が担当していても同じ結果になっただろうからな。だが、騎士たちが奮闘したにせよ、陣形に甘いところがあり、そこを的確に突かれた点は改善しなければならない。ということで、次期騎士団長候補であるラウル=ロタール・ドレ公爵令息は帝国騎士学院分校にて研鑚(けんさん)をつんでもらうこととなった。二年間だがな。分校は帝国の北方にあり、アレリードとの戦闘にも参加する。きっと学びはあるだろう。おぬしの友人であったな。それからバルニエ公爵は罪人として指名手配をされた。見つかったとしても、見つからなかったとしても、後日裁判が行われるようだ』 


 聖属性魔法関連はリゼとしてはありがたい話であるが、ラウルが帝国騎士学院分校というところへ行くことになったようだ。寂しくなる話だった。

 続いて、バルニエ公爵については見つかっても見つからなくても裁判にかけられるようで、もはや罪は免れないかもしれない。

 

『ヘルマン様、ご連絡ありがとうございます。もし聖属性を得ましたらご報告させていただきますね。それに第一騎士団が厳罰に処されなかったのは安心です。でもお友達のラウル様が遠くに行ってしまうのは寂しいですね……。そして、バルニエ公爵については状況理解いたしました』


 ヘルマンの話を振り返る。バルニエ公爵の裏には誰かしらがいると予測していた。いくらバルニエ公爵が裁かれたところで真の黒幕がいる限りは安心できない。


(まさかラウル様が帝国騎士学院分校に行ってしまうとは……寂しい……。でも第一騎士団の将来を考えると良いことよね。きっとラウル様も将来を考えてこの話を受けたのだろうし。私としては応援するしかない! うん。えっと、ひとまず、私に恨みがあるバルニエ公爵が裁かれる可能性が高いのは良いことかも。ダンジョン転移事件みたいに狙われることがなくなるのだし。少なくともバルニエ公爵からは……。でも、またジェレミーたちが襲われる可能性は黒幕をなんとかしない限りは続くかもしれない。きっと、今回のことで王位継承権の競わせ方については再考されるでしょうから、その結果をもってしてどうすればよいのか考えないと。何か良い加護とかを作って譲渡するのが良いかな……)


 今後のことを考えると、叡智の神アリオンが神器をアップデートしてくれて良かったと心の底から思うのだった。狙われる可能性がある友人のために色々と加護などを作って付与できるためだ。


 一緒に来ていたリチャードやリアと合流すると屋敷に戻ることにした。

 

 王宮から使者がやってきていた。狩猟大会の優勝賞品授与の日程についてを知らせてくれるのだった。また、バルニエ公爵の裁判についても知らされ、当事者として参列してほしいそうだ。それにどうやら、裁判の日と同日に授与が行われることになったようだ。


 その夜、リゼは机に向かっていた。リアはまた北方未開地に行っているため、部屋には一人だ。


「さて、ついに決断の時が来た。聖属性を入手するか、否か! といっても、もう答えは決まっているのよね。会得しましょう。なぜかというと恐らくルーク様が聖属性への耐性を私につけたのは聖属性の持ち主が脅威になるからかもしれない。交換画面のポイントも随分と安くなっているし、交換しなさいということなのだと思う。よって、聖属性を得た場合に、どのような魔法を使えるのか予め知っていればうまく立ち回って対処できるかもしれない」


 交換画面を開くと、属性交換画面を表示した。


【属性交換画面】こちらは属性交換画面です。ポイントを消費して属性を得ることが可能です。

【氷属性】200000000

【雷属性】200000000

【聖属性】100000000


 最初は五十億ポイントであったわけであるが、いまは一億ポイントだ。


(最初にこの交換画面を見たときは、五十億ポイントが必要で絶対に手に入れることはできないと思ったけれど、まさか一億ポイントになってしまうとは。こうなってくると、私でも手が届く範囲ね)


 改めて随分と安くなったと実感するのだった。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 会得しましょう。『なぜかというと』恐らくルーク様が聖属性への耐性を私につけたのは 独り言のはずなのに誰に解説してるんだろ?(^_^;)
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