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162.招待

 そして次の日、エリアスは領地に帰るようだ。後日に狩猟大会の表彰式が行われるはずで、その際にまた来ることになっているらしい。


「リゼ、また近いうちに会いましょう。それと、スキルをくれたのはリゼですよね? 使いこなせるように練習しますよ。フォルティア様は何でも出来てしまいますね!」

「あー、あはは……私もまたお会いできる日を楽しみにしていますね!」

「流石ですよ、リゼ。何かありましたらいつでもメッセージをくださいね。すぐに駆けつけます」

「エルもいつでもメッセージをください。私も駆けつけますね」


 エリアスは伯爵や伯爵夫人、リゼ、そしてリチャードに挨拶をすると領地へと帰っていった。

 馬車を見送りながらリチャードは感慨深げに呟いた。 


「とても良い人ですね。少し話しましたが向上心がある人だと思いました」

「リチャード、エルと話していたんですね」

「えぇ。リゼとの関係を聞かれたので、家族だと話しておきました。心はランドル伯爵家の一員ですので」

「ふふ、リチャードがそう思ってくれて嬉しいです。エルとも仲良くしていただけるとさらに嬉しいです」


 それからアイシャやリチャード、フォンゼル、リアと共に北方未開地へと転移した。他の鉱山も稼働させたり、鉱山を見つける作業なども必要になってきたためだ。


(そういえば、家とかも生成出来たりするのかな)


 疑問を抱きつつも大広間から外に出た。

 外に出ると、泥人形たちに山へ向かい洞窟を作り、中から鉱石を取り出し、金が含まれているか選別するようにと指示した。リアは指揮したいようで、先導していった。

 

 リゼは馬で離宮の敷地から出ると、南下する。モンスターの数を減らしておくつもりだ。それなりに数が減ってきているが、それでもまだまだ倒さないとダンジョンの入口まで安全に到達することは出来ない。しばらく進み、木のそばで馬を降りる。リアが置いておいた赤い布の目印が目に入ったからだ。近くの枝に手綱を結んでおいた。

 この赤い布より先はモンスターがいるのだ。それから数分歩くとモンスターたちが視界に入ったため、リゼは手っ取り早く神器に記録している上級魔法を連発し、一気に数を減らしていく。フォンゼルとリチャードは打ち漏らしを確実に倒してくれた。

 爆発音などを聞きつけてモンスターが集まってきてくれるため、かなり効率的に倒していけている。一時間程度で二百体を討伐した。これは最高記録だ。


「そういえば、リチャード。少し良いですか?」

「大丈夫ですよ」

「確か狩猟大会でワイバーンを倒されていると思うのですが、どのような魔法で倒したのですか? 氷属性魔法ですよね?」

「あー、たしかに倒しましたね。結構、密集して戦っていたので、ゼフティア王国の騎士にあたらないように編み出した魔法で倒しました。フロストバーストという魔法ですね。氷の塊を射出して、その勢いで相手を吹き飛ばし、任意のタイミングで爆発する魔法です」


 リゼは「なんだかすごそうな魔法ですね……」と感嘆した。氷属性魔法はリッジファンタジアでも使用していたため、覚えられる魔法は記憶しているがフロストバーストは存在しなかったため、リチャードが編み出した魔法だということが分かる。ワイバーンは中級ダンジョンのボスモンスターであるが、リチャードのレベルを考えれば一撃で倒すことなど造作もないことだったのだろう。


(リチャードって穏やかな人だけれど、本当に強すぎるのよね。いざという時にだけその実力を発揮するというのはかっこいいかも。とにかく私も早くそういうレベルに到達しないと!)


 少しの間、リゼが考え事をしているとリチャードが魔法陣を描いてくれるという話をしてくれた。おおまかに描くため、仕上げはリゼにやって欲しいとのことだ。魔法陣は狂いなく正確に仕上げる必要があるのだが、リチャードはそこは自信がないらしい。リゼは前世の実力を引き継いでおり、線を引いていく作業は得意中の得意だ。完璧に仕上げられる自信がある。よって、リチャードの提案には前のめりで「是非!」とお願いしてしまった。なお、アイスサーベルについても描いてくれるらしい。


 それから離宮に戻り、日課をこなし、ゆっくりすることにした。リチャードは散歩に出てくるとのことだが、フォンゼルは近くで待機している。


(神器さん、生成なのですが、家とかも作れてしまったりするのでしょうか? 例えば、この離宮みたいな感じの屋敷を作る場合、どれくらいのポイントが必要になりますか?)


 ちょっとした興味本位の質問だ。いまの神器が何をどこまで出来るのかは色々と質問して確認しておいたほうが良いためだ。


『作成は可能ですが、更地である必要があります。ポイント数はこの屋敷レベルであれば二千万ポイントです』


 神器は即座に返答してきた。


(安くないですか!? あー、でも交換画面のレアなスキルとかがそれくらいのポイント数だし、それくらいのポイント数というのが妥当なのかな……)


 叡智の神アリオンの叡智にアクセスできるため、どうやらわりと何でも生成できてしまうようだ。この離宮があるため、家などを作るつもりはないが、ちょっとした小物などを作るのは便利であると感じるリゼであった。


(あの、家とか普通の人はちゃちゃっと作れたりしないのですけれど、ルーク様が禁止しているチートではないのですか……?)


 一体、何がチートなのか、そうではないのかということが自分でも分からなくなってきているため、質問してみた。


『チートではありません』


 やはり違うらしい。


(そうですか……。あ! 魔法やスキルを発動できなくする聖遺物の鎖は何ポイントで出来ますか? 確か、狩猟大会の賊たちがそういう鎖で捕らえられていたとヘルマン様からお聞きしまして)


 神器からの返答は生成に千万ポイント、交換画面でのポイントは五百万ポイントとのことであった。ダンジョンで手に入るものであるため、なかなかに安い。こういうところはエリアスに付与したスキルと同じだ。それからしばらく神器との質疑応答を楽しんだが、リアやリチャードが戻ってきたため、転移石で屋敷へと戻った。すると、アイシャが部屋にちょうど入ってきたところだった。


「お嬢様! ちょうどメッセージを送ろうと思っていたのですが、王妃様付きの使用人の方がいらっしゃいまして、伝言がありました!」

「えっ、何事……?」

「明日、急で申し訳ないが第二離宮に来るようにとのことです。第一離宮は大公様やアンドレ様たちがたまにお使いのようですが、第ニ離宮は誰も使っていないところですね。王都から西に少し行ったところにあり、王室直轄領だったはずです。えっとですね、私の知識が間違っていなければ、第ニ離宮は王妃様にとっては安心できる立地だったはずです。なぜなら王妃様の結婚前のお名前はローレ=テレーズ・ヴィッセル様、ブルガテド帝国の友好国で、帝国の北西にある国、ヴィッセル公国をおさめるヴィッセル様の一人目のご令嬢です。そして、第二離宮の近くにはヴィッセル公国との連絡所が作られていまして、あっち方面は必然的に王妃様の影響が強い地域だったはずです。連絡所にはヴィッセル公国と行き来が可能な転移石が設置されていたかと」


 アイシャが知識を披露してくれた。

 第二離宮だとか連絡所だとか知らない話もあったため、アイシャに感謝する。


「ありがとう、アイシャ。ひとまず明日第二離宮に行く必要があるということね」


 予想外の王妃からの招待には驚いてしまうが、行かないという選択肢はない。 


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