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見てくれ『だけ』を魔女に惚れられて  作者: すしひといちなし
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魔王勧誘

「いい加減にしろ!! いったい何なんだ!! お前らは!?」

 俺は思いっきり叫んでいた!!


「それは自分も聞きたいですね! あなた方は一体……?」

 アゼルも聞く。


「何か聞いたら後戻りできそうにないんだけど……でも、ニナを元に戻すためには聞かなきゃいけないのね」

 アーニャもため息混じりに言う……


「まあ別に隠すようなことではないからな。話してやっても構わないが」

 エルライア師匠は手に止めていた魔法を消し去る。同時に板に映っていたこの部屋の絵も光とともに消え去った。


「まずは、何から聞きたいの?」

 ヴェルがいつもと全く変わらない感じで言う。

「じゃあまず、この板何?」

 アーニャがさっきまでこの部屋の絵を映していた板を指差して聞く。

「これはテレビ! 記録した映像を画面に再生する機械だよ。ちなみにこれはアキハバラのスズキさん推薦のプラズマハイビジョン!!」


「どうせこんなところにテレビの電波なんて来ないんだ。ただカメラで撮った画像を再生するだけなら別に液晶でもブラウン管でもよかったんじゃないか? そもそも、もっと小さめのやつだってアキハバラにはいっぱいあっただろ」

「ええっ!! せっかくスズキさんが親切丁寧に使い方を教えてくれてオススメしてくれたんだよ。特にこの大きさが一般的に使われている大きさだって言ってたし」

「スズキさんはあれでも商売人だ。商売人というものは自分が得になるように動くものだと思うが」

「違うよ、スズキさんは多分技術者だよ! それも機械のエキスパートだと思う。だってあんなにも丁寧に私たちにアイテムの使い方を教えてくれたんだよ! そう、ゲームを始める時のチュートリアルのように!」

 スズキという、謎の人物のことで言い争いになるヴェルとエルライア師匠――


「スズキって人はどこかの賢人らしいですね――メタリオム嬢もあの板の小型版みたいな石板を持っていて同じようにスズキって人から貰ったと言っていました。どういう人なんでしょうね?」

 アゼルが呆れて言う――

「あ、スズキさんは日本って国にあるアキハバラっていう電気街――巨大な商業都市ね――そこにあるジュカ’Sカメラって言う巨大電器店の電化製品関連専門店で販売主任をやってる人よ。機械の事に付いてむちゃくちゃ詳しくて教え方も丁寧でわかりやすくいろいろな事を教えてもらったわ」


 まくし立てるように言ってくるヴェル――


「い、いや、スズキさんのことはいいから!! 俺はお前達のことを聞いているんだ!!」


 俺は叫ぶとヴェルはキョトンとした顔した――


「私たち? 私たちは別にそこら辺にいる一介の大魔王だよ」


「大魔王~~?」

 何を言ってるか分からず、聞き返す――そういえば、馬車の中で魔王たちが何かを話し合うという夢を見た気がする――それは、起きた時にヴェルが目の前に手をかざしていたという事実を考えれば彼女は魔法にかかっていたという風に解釈できる――

「そう、俺たちは偉大なる魔の神イリュー様に仕える十二人の大魔王の一員だ――」


「大魔神イリューって、神話やおとぎ話の登場人物じゃないんですか?」

 アゼルが聞いてくる――

「そもそも、魔界なども異世界の存在自体、眉唾ものだと思っていましたけど?」


「異世界ってのはいろいろあるよ――さっき言ってたスズキさんがいるアキハバラも異世界の地球っていう星にある日本っていう国にある場所だし、あなたたちが知らないだけで、異世界はいっぱいあるのよ! わかってくれた、ニナちゃん!」


 まるで幼い子どもに勉強を教えるお姉さんといった感じでヴェルが言う――


「俺はイリュー様に仕えし十二大魔王が一人、獅子王エルライア――そして、ヴェルバーンは半天半魔と呼ばれている魔王だ」

「ハーフエンジェル&ハーフデビルって言ってよ!」


 ヴェルを無視しエルライア師匠は話を続ける。


「他には、堕ちし女神リュディク」

「リュディクお姉さまは、天上界でも高位神の一柱だったのに、イリュー様に惚れて天上界より堕りたという変わった経歴の持ち主なの」


「悪魔王ロンメルド」

「実はロンメルドも、こっちの世界に来てるんだけど……実は彼、人間の姿になることができないのね……魔王候補となる最高級の人間を探してらしいけど、大丈夫かな?」


「阿修羅姫シャシ」

「厳密に言うと、シャシちゃんは魔王じゃなくてラゴラっていう魔王の娘さんなんだよね。お父さんから、魔王としての心構えを教えて欲しいって頼まれてるの」


「スペルエンペラーノーベルマシー」

「物凄く色々な魔法を知ってるおじいさん! 種族はエルフって言う噂があるんだけど本当かどうかわからない――だってしわくちゃなんだもん!」


「覇軍騎士王グランドワガ」

「いつも分厚い鎧を着ているんで、実は私の素顔を見たことがないという謎多き戦士! エルライアとは時々ケンカしてる」


「虎龍王子ジルマ」

「はっきり言ってジルマはおこちゃまだよ。魔王としての自覚なんてものはありはしない――まぁ、私もだけど!」


「真金の凶戦士クラウン」

「クラウンはグランドワガと違ってコレクターって感じがするね――珍しい武器や鎧、技何かを手に入れるためには手段を選ばないって感じがあるわ」


「無双ガイノイドフルルーネ」

「あ、わからないと思うけどガイノイドっていうのは機械でできた人形みたいなものね。いつもニコニコしてるけど、完全な兵器だから気を付けないといけないのよ」


「漆黒龍王ラビクトエルム」

「怒ると怖いドラゴンのラビクトエルム。なんでもエルダードラゴンって言う長命種のドラゴンで神話にも登場しているわ」


「…………全員とは言いませんが、神話やおとぎ話で聞いたことがある名前もありますね……」

「リュディクって、確か、女の子の願いを叶える物語に出てくる女神様の名前じゃ……」

 確かに、今では架空の物されている魔族がでてくる物語では、よくその長としてロンメルドという名前が出てくるときがある。

 聞いたことのない名前もあるが、神話クラス、またはおとぎ話では出てくる名前もある……


「あれ? 十二大魔王って、一人足りなくない? イリューってのも、数に入っているの?」


「イリュー様は数に入っていない……もう一人、レオンアダンというものがいたのだが、この世界では無い別の異世界で勇者と戦い敗れ消滅した――」


「まったく、ドジな話だよね。で、新しい魔王を見つけだそう話なったの!」

 ヴェルは、そこで俺を見て微笑む――


「というわけでニナちゃん、その空席となった魔王の席にあなたが新たなる大魔王としてはいってくれないかな!?」


「いや、絶対無理だ!!」


 それは、今日何度目かわからない俺の叫び声だった――!!

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