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78.水使い

【☆★おしらせ★☆】


あとがきに、

とても大切なお知らせが書いてあります。


最後まで読んでくださると嬉しいです。



 新宿の地下を潜っていく俺たち。

 マジで通路、複雑すぎるわ。新宿って……。特に、地下の改札を出ると、地上へ二度と出れない気がする。「出口」って文字があるっちゃあるんだが……。


 咲耶さくやたちは、何度か来たことあるからか、迷うことなく地下へ地下へと進んでいく。


 ……だんだん、人の数が少なくなっているのがわかった。

 そもそもこの通路自体、人が使わないとこなのか。あるいは……呪術的なものがかかっているからか。


 まあ、どっちかって言うと後者の感じがした。


「まだ着かないんかね……妹よ」


「……もうちょっとのハズなんだけど」


 ピタッ。


「……どうしたの、お兄ちゃん」


「害意だ」


「……!? 周りに何も無いのに……?」


 咲耶が魔剣を取り出し、構える。だが……もう遅い。


「敵の攻撃を受けてる。ももかと玉姫がいない」


「!? ほ、ほんとだっ」


 後ろを歩いていたはずの二人がいない。


「……ど、どうなってるの……? まさか、封絶界……?」


 咲耶はどうやら、結界術のなかに俺たちが入ったと考えてるらしい。


「違うな。おそらくトラップだ。踏み込んだ人間を、異空間に飛ばす転移トラップ」


 こういうトラップは、異世界では多々見受けられた。


「……トラップを踏んだのに、私たちは飛ばされず、ももかたちだけが転移したってこと……?」


「まあ、そうなるな」


「……なんでトラップ踏んだのに、転移しないの、お兄ちゃん?」


「【罠避け】の魔法をかけているからな」


「…………罠避け。罠に引っかからない魔法?」


「おう」


「……もう、なんでもありね、魔法って」


 まあ厳密にはちゃんと、魔法にもルールが存在するんだが。

 しかし魔法の知識に明るくない彼女に、ルールを一方的に押しつけても意味はないだろう。


「大事なのは、俺らは誰かしらの攻撃を受けてるってことだ。しかも、罠を張って待ち構えていた。どういうことかわかるか?」


「……敵は、私たちがここへ来ることを予期していた」


「ああ。死花十二刀の誰かか、あるいは、妖魔か。いずれにせよ……俺らをここで殺る気のようだ」


 アホなのは、そのターゲットの中に俺を含めているってことだ。


 ゴゴゴゴ……。


「なに!? なんの音……きゃああ!」


 俺は咲耶を抱きかかえて、飛び上がる。

 【空中浮揚レビテーション】の魔法を使い、宙に浮く。


 正面からは、大量の水が流れ込んできた。


「水!? なんでこんなとこに……!?」


「妖術とやらだろ」


 密閉された空間に大量の水を流して、俺らを窒息させようって魂胆だな。

 無駄なことを。


 初撃で俺らを押し流せなかったからか、敵は水の量を増やしてきた。

 それこそ、この狭い地下道まるまる水で満たすかのように。


「お兄ちゃんどうしよう……」


「【アイテムボックス】、起動」


 俺は転移ボーナスである【アイテムボックス】を使用した。

 物を、無制限に、入れておけるスキルである。


 開いたアイテムボックスは、妖術の水を凄まじい勢いで吸い込んでいく。

 その隙に、俺は着地。


「妹よ、少し下がってろ。出でよ、【反則剣チート・キャンセラー】」


 瞬間、アイテムボックスが……消える。


「!? なんでボックス消すの!? それじゃ水吸い込めないよ!?」


 その通り。妖術の水は、吸い込んで水量が減ってはいるが、吸い込むのを止めれば再び津波のような量で押し寄せてくる。


 俺は【反則剣チート・キャンセラー】を取り出し、一振りする。

 俺の放った斬撃は、妖術の水に触れた途端……消滅した。


「妖術そのものを消さないと、意味ないからな」


「う、うん……そうだね。でも……」


 咲耶は何か言いたげだ。

 まあ、なんでアイテムボックスを消したのかってところに、ひっかかっているんだろう。


「悪いが、それは今言えないね」


「どうして?」


「敵さんが、お出ましのようだからな」



【おしらせ】


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