75.正々堂々
夕飯を食べ終わった後……。
魔剣使いの異能者たちが、なぜか集まっていた。……俺の部屋に。
「なして?」
「べ、別に深い意味はないよ……」
「そう? あたしはゆーじが普段寝てる部屋に入ってみたかっただけっ!」
玉姫が目をそらしながら答えるのに対し、ももかは逆にキョロキョロと興味津々で周囲を見渡しながら言う。
「ここがゆーじのベッド……とうっ!」
ももかが俺のベッドにダイブする。
ガシッ!
「ちょ!? 何受けとめてんのよ咲耶っ!」
俺の妹、咲耶が【血湧肉躍】を使い、ももかを受け止めていた。
そして、そのまま床にポイ捨てする。
「…………」
邪魔者を排除した咲耶は、我が物顔で俺のベッドに腰を下ろした。なんだったの今の攻防……?
『くく……勇者よ。もう少し乙女心を理解した方が良い』
「え、乙女心を知ってれば、逆に今のやりとりわかったのん?」
『うむ。我のおすすめの少女漫画でも貸そうか?』
現代に染まりすぎでしょ、この魔王さんよぉ……。
「ま、いいわ。あたしゆーじの隣に座るから♡」
床に座る俺、その隣にももかが当然のように腰を下ろす。そして……俺の腕にしがみつこうとしてきた。
ドスンッ!
「さぁ、作戦会議はじめようか」
「ちょっと玉姫ぃい! あんた邪魔なのよぉ!」
俺とももかの間に、玉姫が強引に割って入ってきたのである。
なんなの……? さっきから俺の知り合いの女たちが挙動不審なんですが……。
「ちょっとさー、あんたらに、あたし言いたいことあるんだけどさー」
不満げに、ももかが咲耶たちに向かって言う。
「ちょっと、卑怯じゃあない?」
「ひきょー?」
なんか卑怯なことしてるだろうか、二人……。
しかし、おや? 咲耶たちが気まずそうに、目をそらしてる……?
図星って事……?
「あたしはこうして、正々堂々、だーりんのことが大好きって、将来結婚したいって、子どもは100人くらいかなって、公言してるでしょ?」
「100人て……どこぞの物置かよ……」
「だーりんのためなら100人でも200人でも赤ちゃん産んで育てるわっ!」
「そんな面倒見切れないでしょうが……」
そもそも、まだ付き合ってもいないのにさ。
気の早いねーちゃんだこと。
「一方で! あんたらはどうなのよ。え? ゆーじの、何なの?」
「……お、お兄ちゃんの妹、だし」
「ぼ、ぼくは悠仁の友達……だし」
ふんっ、とももかが鼻を鳴らす。
「嘘つき。そんな見え見えの嘘……子どもだって見破れるわよ」
「え、嘘ついてるの咲耶たち……?」
「「「…………」」」
「え、なんでみんな黙っちゃうの……?」
「「「…………」」」
「無言やめてよぉ! ねぇ!」
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