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74.芸能人デビュー

【☆★おしらせ★☆】


あとがきに、

とても大切なお知らせが書いてあります。


最後まで読んでくださると嬉しいです。



 御嶽山みたけやま監督は、潜在的術師っていう存在らしい。


「異能者 (妖術師) はみんながみんな、最初から自分が異能を使えることを自覚してる訳じゃあないんだ」


 玉姫が俺に説明してくれる。


「浅間家みたいに、異能者の家系ならともかく、そうでない一般家庭に生まれると、そもそも自分に異能があるかどうかわからないんだよ」


「あ、そっか……。親も異能者じゃあないんだもんな」


「そう。それに、妖刀使いじゃあない場合、異能ってそんなたいしたものではないからね」


 火を出す、血を操るといった派手な異能は、妖刀がないと使えない。

 それ以外の、結界を張ったり、妖魔を操ったりっていう異能は、地味だもんな。

 異能者だと自覚を持つのはムズいかもしれん。


「潜在的術師は、異能者の家系でないかぎり、放置される。あんまり強い異能を持たないからね」


「ほーん……。御嶽山みたけやま監督も、じゃあ放置されていたわけだ。潜在的術師なのに」


「そうなるね。で、話し戻るけど……」


 現在、テレビでは、絶賛こないだの八王子での戦いが放映されてる……。


「悠仁の魔法で記憶と記録を消去したはずだった。でも……潜在的術者である御嶽山みたけやまさんは、無意識に異能を使い、記憶が消されるのを防いだんだろうね。まあ、悠仁の魔法が強すぎるから、記憶が不完全な形でしか保存されなかったんだと思う」


「不完全な形?」


 どゆこっちゃ……?

 すっ、と玉姫は近くに置いてあった夕刊を手に取って、俺に渡してきた。


 テレビ欄を見るように指示してくる。


「えっと……『白馬玉姫主演 最新ドラマ 【事故物件住んでみました】』……ドラマ?」


 「そう」と玉姫がうなずく。


「これ、ドラマ……つまり作り物ってことになってる」


 ドキュメンタリーじゃあなくて、ドラマ、つまりフィクションとして作られ、放映されてるってことか。


「曖昧な記憶と記録をつなぎ合わせて、一本のドラマを作ったんだね、監督は」


「……なるほど。これなら誰も、これがほんとにあったとは思わないね」


咲耶さくやちゃんの言うとおりさ。だから……まあ安心して。ぼくらの戦闘が、実際にあった妖魔退治だって、世間に知られることはない」


 まあ……一応安心した……けど。


「わ、わ、すごーいなー」


 親父はテレビにかじりついてる。


『主よ、ぬしらの会話、父上に聞かれておらんか?』


「あ、大丈夫。俺が風魔法で、声が聞こえないように防いでたから」


『なんと。そうであったか。すごいな、会話しながら魔法使うなんて。右を見ながら左を見るようなもんじゃぞ。難易度激高じゃ』


「え、それのどこがムズカシイの?」


「「難しいからそれ……」」


 と玉姫と咲耶さくやがため息をつく。


「悠仁君、咲耶さくやちゃんすごいじゃあないっ! いつの間に芸能人になったのー?」


「いや芸能人て……違うから……」


「でもテレビドラマに出演してるんでしょ? 芸能人じゃーん! ご近所さんに自慢しないとっ! 自慢の息子娘が、芸能人デビューって!」


「「ほんとやめて」」


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※11/15 

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