64.全裸バトル
魔剣、芒月を手に持って、玉姫が外を駆けていく。
気付いたら元の寮の中になっていた。
さっきまでは独房だったんだが。
「多分、人妖が僕の式神になったことで、領域結界が解除されたんだろうね」
「ほぉん……」
玉姫は寮の外に出る。
俺らもその後に続いた。
「なんじゃありゃ……でけえ蜘蛛?」
なんか、ヤバいくらいデカい蜘蛛が居た。
蜘蛛相手に、咲耶が魔剣 桜幕を手に持って戦ってる。
「くっ……! 数が多い……!」
咲耶の周りには小型の蜘蛛が何匹も居た。見た目が同じことから、あいつの眷属だろうと思われた。
咲耶は眷属、そしてあの馬鹿でかい蜘蛛の相手に苦労してる様子。
そんなところへ……玉姫が突っ込む。
「いくよ、芒月!」
玉姫の手に持っていた、1本の長い棒。
彼女が気合いを入れると、棒の先端から、刃が出現した。
光の刃だ。
『なるほど、普段は棒形状をしているが、仕様の際は先端から光刃がでるようになってるのか』
玉姫は大鎌を構えて、くるくると振り回す。刃が煌めくと……その光に照らされ……玉姫の体が増えた。
「分身?」
『影を用いた分身のようじゃな』
影分身ってやつか。芒月を手に、分身とともに玉姫が敵を倒していく。
「咲耶ちゃん! ここはぼくがやる! デカいの倒して!」
ぎょっ……! と咲耶が玉姫を見て目をむいていた。
「た、玉姫……ちゃん……その格好」
ん……? その格好……?
「いいから! 今は集中」
「わ、わかった!」
桜幕を手に、咲耶がデカいのの相手をするようだ。
『で、主はなにを?』
「見学。やろうと思えばワンパンできるけど、まあ、たいした相手じゃなさそうだし。それに……玉姫に言われてるからな。見ててって」
玉姫は大鎌を手に、宙をかける。
ぶるんっ、とそのデカすぎる旨を揺らしながら……。
全裸で。




