表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
60/85

60.取り憑いた霊を取り除く

【☆★おしらせ★☆】


あとがきに、

とても大切なお知らせが書いてあります。


最後まで読んでくださると嬉しいです。


 白馬玉姫たまきは、全裸のまま、か細い腕で自分の体を抱きしめてしゃがみ込んでいる。


「あうぅうう……」

「……変な奴だな」

「おまえにだけは言われたくない!」


『クク……。タマキの言う通りじゃな』


 二人から変な奴扱いされてしまった。なんでや?

 俺、至って普通だと思うけど?(※異世界基準)


『くく……。そろそろこの結界から出てはどうじゃ?』

「あ、そうだった」

「人妖の作った領域結界から、ぼくを助けようとしてくれたんだね」


 待て待て。新ワードが二つも出てきたぞ。


「なんだよ、人妖って? 領域結界ってのは?」

「人妖は……人が妖魔化したものです」

「ああ、人間の妖魔か。それで領域結界は?」

「結界術の奥義……。己の心の形を具現化し、自分に有利な世界フィールドを創り出す術です」

「ふぅん……」


 なるほど。まとめると、ここは寮に住んでいた誰かが人妖と化し、その精神世界に囚われている、と。

 で……。


「その人妖は、お前の中にいるんだよな?」

「うん……。もう完全に怖がって、出てこないけどね」


 怖がってる?


「なんでだ?」

「……きみ、本気で言ってるの? それとも天然なの?」

「どっちでもないんだが……。ていうか、いつまで全裸でいるつもりだ」

「~~~~~~~ッ! うるさいうるさい、ばかばかばかっ!」


 目に毒だ、ったく。

 俺はアイテムボックスから上着を取り出す。


「ほれ、これでも羽織っとけ」


 ぱさっ、と玉姫の肩に上着を掛けてやる。


「……きゅん♡」

「きゅん?」

「な、なんでもないっ! ただ、裸の女の子に上着を掛けてあげるなんて、意外と優しいところもあるんだな、とか、ぜ、全然思ってないんだからねっ!」

「あ、そう」

「~~~~~~~ッ!」


 バシバシと俺の腕を叩いてくる。


「痛いだろ。それに、乳が揺れるぞ。さっさと袖を通せ」

「うっさい、ばーーーーーか!」


 やれやれ、口の悪い子だぜ。うちの咲耶や幼卒さんを見習ってほしいもんだ。


『クク……。おぬしは本当に現代日本人かのぅ? ツンデレを知らぬとは……』


 知ってるし。ていうか、お前こそ本当に異世界魔王かよ……。現代に適応しすぎだろ……


 閑話休題。

 玉姫の中に、人妖が潜んでいる。


『勇者よ。どうやら、タマキと人妖の魂が、完全に混ざりきってしまったようじゃぞ』

「あん? 魂が混じりあった?」


 どないこっちゃ?

 すると突然、玉姫が、かくんっ、と意識を失ったようにうなだれた。

 そして、再び顔を上げる。その瞳は、禍々しい光を宿していた。


「――ふ、はははは! そうだ! この女とわたしは、完全に融合したのだ!」


 玉姫に憑りついた人妖が、勝ち誇ったように叫ぶ。


「つまり、どういうことだ?」

「ふん! 貴様にも分かるように説明してやろう! 我らは今、ハムエッグのような状態なのだ!」

「……わけわからん」

『なるほどな。タマキを卵に、人妖の魂をハムに例えたか』

「え、分かるのか、魔王?」

『うむ。ハムと卵、二つを完全に混ぜ合わせて焼いたハムエッグ。そこから、ハムだけ……つまり人妖の魂だけを取り出そうとするとどうなる?』


 混ざり合ったハムエッグから、ハムだけを?

 ふむ。


「そんなの、卵焼きがボロボロになるだけだろ?」

『然り。つまり、そやつをタマキから無理に引き剥がそうとすれば、タマキの魂もろとも傷つき、崩れ去るということじゃ』


 ほぉん、なるほどねぇ。


「そうだ! わたしとこの女はもう混ざりきってしまったのだっ! つまり、わたしをここから引き剥がすのは不可能! よ、よって貴様は、ここからさっさと立ち去るがいい!」


 (……なるほど。なまじ知恵が回るからこそ、こんな手を使うか。多少卑怯だが、生存戦略としては悪くない)


「お前の主張は理解した。が、玉姫をこのままにはしておけん。悪いが、ここで消えてもらうぜ」

「む、無理だと言っているだろうがっ! 混ざりあったハムエッグから、どうやって卵を傷つけずハムだけを取り出すというのだっ!」


 俺は右手を、スッと前に突き出す。


「《反則剣》、起動」


 キラリと俺の手に、白銀に輝く剣――反則剣チート・キャンセラーが出現した。

 聖武具で固めた俺の力の結晶体。

 この剣は、あらゆる異能を無効化し、異能による傷を癒す。

 魔法、妖術、呪い……この世の理から外れた存在、その全てを。

 妖魔によって、玉姫の魂が害されたというのなら……。


「――もーどれ」


 ぽんっ、と。

 俺は剣の柄で、玉姫の額を軽く突いた。

 パァァ……ッ!

 玉姫の体から、眩い光とともに、黒い靄のようなものが分離していく。


『な、なにぃい!? 完全に混じりあった魂が、分離しただとぉおおおおおお〜!?』


 人妖が、びっくらこいている。


『ば、馬鹿な……! ありえない……! ハムエッグを分離できるわけがない……!』

「うん。だから、調理前の状態まで戻しただけだ。混ざる前の卵とハムなら、簡単に分離できるだろ? ほら、簡単だ」


 唖然とした表情の、人妖。

 そして、玉姫。


「な、なんて反則的な存在……」

「あれ? 知らなかったのか? 俺の剣、反則剣チート・キャンセラーって言うんだぜ?」

「いや、剣もそうだけど、それを軽々しく扱えるきみがおかしいんだよっ!」


 おかしい?


「個性的ってことか?」

「規格外に! 化け物じみた強さを持ってるって言ってるの!」

「あ、そ。んじゃ……」


 俺は分離した人妖の魂に、剣先を向ける。


「ちょっくら、死んでみるか?」

『…………』

『クク……。勇者よ。完全に、気を失っておるぞ』


 あらら、根性のない奴だな。


【★☆読者の皆様へ 大切なお知らせです☆★】


新作の短編投稿しました!

タイトルは、


『ループ5回目の悪役赤ちゃんはスローライフしたい~鬱ゲーの悪役貴族に転生したけど、ループで心折れたので、自ら追放されたら聖者と勘違いされてモテ始め、現実でも人気爆発し、おまけに隣には原作主人公がいた~』



広告下↓にもリンクを用意してありますので、ぜひぜひ読んでみてください!


リンクから飛べない場合は、以下のアドレスをコピーしてください。


https://book1.adouzi.eu.org/n4332lf/




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

★新連載です★



↓タイトル押すと作品サイトに飛びます↓



『捨てられ聖女は万能スキル【キャンピングカー】で快適な一人旅を楽しんでる』

― 新着の感想 ―
よーしちょっとハガレン世界に出張しようぜ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ