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46.妹守るための出演



『勇者よ。妖刀使いは全員女だ。つまり、あやつ──妖刀使いの白馬 玉子とやらは女だろう? 何をそんなにキレておるのだ……?』


 ああああ妹の手の甲にキスしやがったアイツなんだよこの野郎ぶち殺すぞてめえ……!


『聞いちゃいないし……。くく、それほどまでに妹が大事か』


 あっっっったりまえだろうがっ!

 俺は白馬と咲耶さくやの間に割って入る。


「てめえこの野郎、なにしやがる馬鹿野郎!」


「? 挨拶をしただけだが?」


「挨拶で手にキスするなんてどこの国の挨拶なんだ? ああ!?」


 ふぅ~と、白馬がため息をつく。


咲耶さくやくん、誰だい、この男は?」


「……一応兄よ、一応」


 一応ってなにさ、一応って!


「お兄ちゃん、落ち着いて。彼女は……」


「おっと、この場でそれはシークレットで頼むよ」


 ぱちんっ、とキザ野郎が、キザにウインクしやがる……!


『ほら聞いたか勇者よ。彼女だとよ、このハクバとやらは』


「ウインクなんてしてるんじゃねえぞてめえ……!」


『聞いてないし……もう落ち着けってば』


 白馬のやつが、肩をすくめる。


「兄……そうか。君が総監部を潰したという」


「ああ、そうだけどなにか?」


 そういや、妖刀使いの中には、総監部を潰した俺のことをあまりよく思ってないやつがいるって、聞いていたな。


「俺と今ここでやり合うか?」


「いいや。僕は別に、総監部のことをどうも思ってない、中立の立場だからね」


「チッ……!」


「チッ……ってなんだよ」


 こいつが「俺をぶっ倒す!」とか言ってくるなら、遠慮容赦なくぶっ飛ばすところだったんだが……。

 別にそうでもないやつを殴る気にはならない。


「とにかく、妹に近付くな」


「男の嫉妬は醜いよ」


「うるせえ」


 白馬は外国人みたいに肩をすくめる。くそっ。いちいちかっこつけやがって。

 ツラがいいから余計にそういうポーズがお似合いですねぇ(ピキピキ)。


『奴の妖刀はどういう能力なんじゃろうか』


『知らん。が、魔法の下位互換なのはたしかだろ』


 妖刀使いの異能は、妖刀がないと使えない。

 さらに妖刀使いは十八で死ぬという特大の欠陥品を抱えている。

 しかも出力は魔法に及ばない。


 だからまあ、別にたいして驚異ではない。


『あの者、妖刀を身につけてないな』


「そういやそうだな」


 胸にバラ(造花だろう)を挿してるが、それ以外に何か持ってる様子はない。


『主のように異空間に隠してる……いや、そんな力はこの現代異能者にはないか』


 すべてにおいて、異世界の技術に劣ってるからな、こっちのやつらって。

 異空間に収納する、アイテムボックスのような便利アイテムはない。


 だから奴はどこかに妖刀を仕込んでいるんだろう。

 あと式神も連れているはずだ。


「…………」


 咲耶さくやが頬を膨らませながら、俺の脇腹をつねってきた。


「どったん?」


「……白馬さんのこと、じろじろ見過ぎ」


「はぁ? なんで怒ってるんだよおまえ」


「……そんな、なめ回すように見ちゃだめ」


「別にいいだろ」


 戦いにおいて相手を観察するのは重要なことだしな。


 すると咲耶さくやはまた頬を膨らませ、ぎゅーっと俺の脇腹をつねってくる。

 いたたた……。


「……お兄ちゃんは、ああいうボーイッシュな方が好きなの?」


「はぁ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~? 男なんて好きなわけ無いだろ」


「! そ、そっか……女の子っぽい女の子のほうが好きってこと?」


「? 当たり前だろう」


 男より女の子のほうがいいに決まってるじゃあないか。


「そ、そっか。じゃあ……うん。安心」


「はぁ……?」


 何に安心してるんだ……?


『くく……絶妙にかみ合ってないな、会話が。まあ良かったよ』


『なにが?』


『勇者が女子好きでな。しかしサクヤからすれば気が気でないかもしれぬのぅ』


 魔王も何言ってるかわっかんねえわ……。ったく。お兄ちゃんにわかる会話してほしいわ……。


「ゆーじくんっ。そろそろ収録はじめるってー!」


 ユリアが手を振りながら近付いてくる。


「そうか」


「うん!」 がしぃ!


「……なんで俺の手を握ってるのん?」


「え? だから一緒に出演するんでしょ?」


「いやいやいや……しないってさっき言ったよね!?」


 断ったよね、出演!


「でも咲耶さくやちゃんは出るみたいだよ」


「なにぃい!?」


 咲耶さくやがこくん、と頷いている。


「……ちょっ、咲耶さくやさん? なんで出るんすか?」


 すると頬を赤らめて、もじもじしだす。なんやねん……?


「……だって、お兄ちゃんの周り、人気者ばっかりだから……」


 わ、わからーん! どういうこと!?

 俺の周りに人気者がいるから、なに!?


「わたしも、ちょっと……テレビ、出てみたいなって」


「そ、そう……」


 えー、まじかぁ。どうしよう。

 咲耶さくやが出るんだったら俺も……いやいやいや。

 別に俺が出る必要はないだろう。……いや、待てよ?


 あの馬野郎は咲耶さくやと一緒に出るんだよな、番組。

 番組始まる→暗がりにいく→白馬のやろうが咲耶さくやに手を出ァ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!


「出ます」


「ほんとっ?」


「はい、出ます」


 あの馬野郎の魔の手から、妹を守るんだ……!


『くく……相手は女だから完全に杞憂だが、まあ面白いので放っておくか』

【★☆読者の皆様へ 大切なお知らせです☆★】


新作投稿しました!

タイトルは、


『地味な支援職【重力使い】の俺、追放されたけど美少女たちと最強パーティを作って無双する~重力の概念がないせいで、俺を役立たずと決めつけた元メンバーが土下座して「戻ってこい」とか言ってきたけど、もう遅い~』



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★新連載です★



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『捨てられ聖女は万能スキル【キャンピングカー】で快適な一人旅を楽しんでる』

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両刀使いとかいう女の子?だったり
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