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21.式神を超強化した。ついでに美女化した

 異世界の魔物から、たまにドロップするアイテム……魔石。

 葛葉くずのはがそれを食うと、存在が進化し、人間への変化が可能となった!


~~~~~~

【名前】葛葉くずのは

【種族】式神

【レベル】100(※一時的レベル上昇中)

~~~~~~


 なんか、一時的にレベルが100になってる……。

 レベル100って言えば、スライム100体分くらいの、まあまあな強さだ。


葛葉くずのはっ。すごいじゃあないのっ。変化を覚えたのねっ。悠仁のおかげで!」


 全裸爆乳狐娘に、ももかが抱きついてる。……目のやり場に困る……!

 俺はアイテムボックスから毛布を取り出して、それを葛葉くずのはにかけた。


「あ、ありがとう……ゆーくん……」


 さしもの葛葉くずのはも、さすがに困惑してる様子だ。

 それは帰蝶、そして咲耶さくやもらしい。


「どういうことなの、お兄ちゃん?」

「俺にもわからん……。こんな現象みたことないぞ」


 すると、俺の隣に人間姿の魔王が出てくる。


「な!? なにこの……強そうな式神!? これ……まさか悠仁の?」

「え、ああ」


「すごぉい! 強そう! かぁっこいー!」


 ほんとかっこいいモノ好きだな、ももか……。

 魔王は、葛葉くずのはをじろじろと見やる。


「なるほどの。どうやら、式神は魔物に近いようじゃ」

「と、いうと?」

「魔物はの、倒した魔物の魔石を食らうことで、存在進化を起こすのじゃ」


 ももかが首をかしげる。


「なにそれ?」

「人間が魔物を倒して強くなるように、魔物は魔物の中にある魔石を食らって強くなるのじ」

「へえ~~~~~~~そうなんだ」


 俺もそこまで詳しくはないが……。まあたしかに、そんな感じのことは聞いたことあるな。


「でも、たかだかスライムの魔石を喰っただけで、レベル100になんてなるもんか?」

「一時的なレベル上昇のようじゃな。時間がたてば元に戻るのじゃ」


 あ、たしかにステータスには、一時的なレベルアップって書いてあった。


 じっ、と魔王が葛葉くずのはを観察する。


「時間が経つとレベルが戻るようじゃ。じゃが、魔石を喰って体内にためておくことはできそうじゃのぅ~」

「なんで悠仁の式神、そんないろいろ詳しいの?」


 俺はももかに答える。


「俺のサーバントも、異世界の魔物の王なんだよ」

「妖魔の王ってこと? すごぉ~~~~~~~~~~~~~~~い! 妖魔の王を従えるなんてっ!」


 まあ、魔物と妖魔って別物だとおもうんだけど……。


「ほんっと悠仁は凄いわね! やっぱうちに来てよ! 一緒に明るい家庭を作りましょ♡ ね、ね、悠仁~♡」


 ももかが俺にひっつく。君、忘れてるようだけど、下着姿だからね……!?


 あと咲耶さくやさん? 血湧肉躍で体を強化して、一体なにをするつもりかな?

 もしかしてお兄ちゃんに攻撃とかしないよね!?


「ねえ、ゆーくん。魔石……もらってもいい? 貯めておきたいの。いざって時のために」

「ん? まあ別にいいんじゃね」


 別に俺魔石必要としないしな。って、あ、そうだ。


「できれば帰蝶にもわけてやってくんない?」

『な!? どうしてわたくしに!?』


「え、強くなりたくないのか? 強くなった方が、咲耶さくやのためになるんじゃあね?」

『そ、それは……』


 帰蝶は俺のことは毛嫌いしてるけど、咲耶さくやのことは凄く慕っている。

 咲耶さくやのために強くなりたいって思ってる……。って俺は思ったんだ。


 帰蝶が強くなれば、妹の妖魔退治も楽になるかなってよ。だから魔石を分けてって言ったのだ。


「私は、ゆーくんに魔石をもらってる立場だから。異論無いわ。帰蝶ちゃん、もらっときなさいな」

『で、でも……この男から施しを受けるのは……』


「帰蝶ちゃん」


 葛葉が、真面目な顔で帰蝶に言う。


「私たち式神の使命は?」

『……契約者である、妖刀使いのサポート』

「そうよね? 式神は物理干渉できない。あなた、いつも悔しいって言ってたでしょう?」


 物理干渉できないってことは、妖魔を倒すことも、妖魔から主を守ることもできないってことだ。


 咲耶さくやが大好きな帰蝶からすれば、歯がゆくてたまらなかっただろう。


「なんでありがたく受け取ろうとしないの? それが……もし個人的な好き嫌いなんてくだらない理由なら……。貴方は式神失格よ」


 ……ずいぶんと厳しいことを言うなぁ。


『あの……その……』


 帰蝶が俺の前にやってくる。


『……いつも、その……ごめんなさいですの。ひどいこと言って』

「きゅ、急にどうしたよ……」


 なんか急にしおらしくされたら、調子狂うぜ。


『お願い、しますの。おねえさまのために……わたくしは強くなりたいですの。だから……魔石、分けていただけないでしょうか?』


 ちゃんと、俺に頭を下げてきた(蝶々なので、下げられないけど)。

 俺への個人的な悪感情よりも、咲耶さくやを守ることを優先させたんだろう。


 ほんとに、妹のことを慕ってるんだな、帰蝶のやつ。


「お兄ちゃん、わたしからも……」

「大丈夫だって、皆まで言うな」


 俺は魔石を拾って帰蝶に向ける。


「ほら。食えよ」

『……はいですの』


 ひら……と、帰蝶が魔石の上に乗っかる。魔石は光り輝くと、帰蝶の体の中に吸い込まれていく。


 カッ……!

 葛葉くずのはのときと同様、帰蝶が……変化した。


 年齢は、13とか14くらいだろうか。

 綺麗な、透明な翅をもつ、小柄な女が立っていた。


 こうなるのはわかってたので、毛布をすぐに掛けてやる。


「凄いですわ……本当に、人間への変化が可能になってますの……」


 と、そのときだった。

 虫怪が、こちらへとやってくる。


「おねえさま、ここは……わたくしにお任せくださいまし」

「帰蝶……?」


 帰蝶が、咲耶さくやの前に立つ。


「今のわたくし……力にあふれてますの」


 すっ、と帰蝶が右手を前に出す。

 ぐっ、と右手を強く握る。


 すると、虫怪が空中でぴたり、と動きを止めた。


 そして、そのままグシャッ、と押しつぶされる。


「「なぁ……!? 式神が……妖魔を滅したぁ……!?」」


 とんでもなく驚いてる妖刀使い達。

 ん……?


「何驚いてんだおまえら?」

「そりゃ、驚くわよ! だって……妖魔は妖刀使いにしか、絶対に倒せない! それが、世界のルールなの!」


 なるほど……。帰蝶は妖刀使いじゃあない。でも妖魔を倒した。だから驚いてるのか……。


「いや、でも妖刀使いじゃあない俺でも、妖魔倒せてるけど?」

「そ、それはたしかにそうだけど……」


 咲耶さくやもももかも困惑してる。俺もよくわからん。

 魔王は「なるほどの……」と訳知り顔でうなずいていた。


「なんかわかったのか、魔王?」

「うむ。どうやら帰蝶ら……魔石を喰った式神たちには、魔力が宿るようじゃ。魔力を持っておれば、妖刀使いで無くても妖魔を倒せる。勇者が、魔力持ちのおぬしが、妖魔を倒せたようにな」


 なーるほど……。ようは、魔石を喰えば式神は、魔力を一時的に得て、妖魔を倒せるようになるってことか。


「え、じゃあ魔石って、実はめっちゃ凄いアイテムなんじゃね?」

「こっちではの。向こうでは、ただの魔道具マジックアイテム作りのための、換金アイテムでしかないがの」


 まじか……。

 すると、帰蝶と葛葉くずのは、二人の美女が、俺に深々と頭を下げる。


「「どうか、我らに魔石を分けていただけないでしょうか。いただけるのでしたら、この体、この命、捧げてもかまいませんので」」


 え、ええー……重い……。


「いや、そこまでガチにならなくてもいいよ。魔石なんて簡単に採取できるしよ」


 異世界から魔物を呼び出し、倒せばいいだけなんだしよ。


「ま、現状それできるのおぬしだけだからの」


 だから俺にこんな風に頭下げてるのか、二人とも……。

 いや、まあ。


「いいよ、別に」


 こいつらも強くなったが、妹の狩りも楽になるだろしな。


「ありがとう、ゆーくん!」

「……ありがとうございます、悠仁様」


 帰蝶が、俺を様なんてつけて呼んでくる……。


「い、いいよ……様なんてつけなくて……」

「いえ、今日からは悠仁様とお呼びしますの」


 ま、まあそうしたいっていうなら、いいけどさ。

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『捨てられ聖女は万能スキル【キャンピングカー】で快適な一人旅を楽しんでる』

― 新着の感想 ―
人間→妖魔を倒してもレベルが上がらす 妖魔→人を倒すと強くなるのもこのあたりが原因っぽいな
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