10.超人気アイドルと同じ学校だった件
駒ヶ根アイラ。16歳。
【NGN12】という人気アイドルグループの元センターだ。
【NGN12】は、人気アイドルプロデューサー・贄川零美氏が立ち上げた中学生アイドルグループで、二年前にデビュー。
その後、爆発的な人気を得て武道館ライブまで果たした、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いの存在だった。
……そう、“だった”。
武道館ライブの直後、なぜかアイラ以外のメンバーが全員脱退。
その後、アイラはソロ活動へ移行し、歌手としてだけでなくドラマや映画にも出演。人気はさらに加速した。
だが半年前、突如として芸能活動を休止。
――で、今に至る。
……以上、スマホで調べた情報だ。
俺も「なんかすごい有名なアイドル」くらいしか知らなかった。
そんな超人気アイドルから、なぜか好かれてしまったのである。
「どうしてこうなった……」
俺は学校に来ていた。教室には俺と、妹の咲耶。
咲耶は朝からずっと無言で、不機嫌そうにこちらをにらみ、ぷいっと顔をそむける。念話を送っても無視。……なんだよもう。
『しかし、さっきのアイラとかいう女、すごい人気じゃったな。あっという間に人だかりになったぞ』
魔王が脳内で話しかけてくる。
アイラの正体が知れ渡るやいなや、周囲は騒然。すぐに黒服の男たちが現れ、彼女を連れて行ってしまった。
『めちゃ人気のアイドルなんだよ』
『あいどる? なんじゃそれは』
『吟遊詩人……的なやつ』
『ふぅん。こっちの世界では吟遊詩人が流行っておるのか。面白いのぉ』
ちょっと違うけど説明が面倒なのでスルーした。
『しかしどうするんじゃ勇者よ。あのアイラに告白されておったが、付き合うのか?』
『いやいや、ないない。俺は一般人、相手はアイドルだぜ? 付き合えるわけない』
『そういうもんなのか』
『そういうもんなの。第一、連絡先も知らないし、もう二度と会うこともないって』
……そのとき。
「あー! いたぁ……!」
どこかで聞いたことのある声。
振り向くと、教室の入り口にショートカットで目も胸もやたらデカい女が立っていた。太陽みたいに明るい笑顔――。
「こ、駒ヶ根アイラ……」
『なんじゃ、さっきのやつではないか』
アイラはふにゃりと笑い、「だーりーん♡」と手を振ってくる。
な、なんでここに!?
「アイラたん!?」「久しぶりに登校してきたと思ったら……ダーリンって何!?」
……久しぶりに登校?
「クラスの人に聞いたんだっ。だーりん、隣のクラスだったんだね♡」
「は? へ……? 隣のクラス……って、お前もこの学校の生徒なのか?」
「うん! アイドル活動が忙しくて、ほとんど通えてなかったけどねぇ~♡」
そういやこの学校、有名人が通ってるんだった。VTuberとか、小説家とか。
てか……近い! 鼻先が触れそうな距離! 胸も当たりそう……!
「……ちょっと」
咲耶が割って入る。
「ん? あ、今朝の!」
「……どうも」
「ありがとね、今朝は」
「……いえ。それで、【わたし】の兄に、何かようですか?」
「だーりんの妹さん!? ってことは……将来の妹ってこと!?」
「…………どうしてそうなる」
咲耶は頭をかきながらイライラしている。
「将来の妹?」「どういうことだ?」「見ろ、氷の令嬢と陽気妃がそろったぞ」
――なんだよその二つ名。
『おぬしでも知らんことがあるのじゃな』
『……異世界行く前は学校嫌いで、寝てばっかだった』
『悲しい情報が開示されたのじゃ……』
「……で、なんの用ですか?」
「ゆーじくんに、お礼言いたかったの」
「……そうですか。お礼は聞いたので、帰ってください」
「むー。もっと話したい……っていうか、ゆーじくんとお話ししたいんだけど?」
「……お兄ちゃんはコミュ障のボッチなので、陽キャは苦手なんです。ね?」
「そうだったの?」
「あ、いや……」
――そのとき気づいた。アイラの体から、ものすごい光があふれている。
『我も見える。とてつもないエネルギーじゃ』
『……生命エネルギーよ』咲耶が念話を送ってくる。
『妖魔がほしがるやつだな』
『そう。こういう人は妖魔を引き寄せやすいの』
……と、その瞬間。
【怨ォオオオオオオ……】
教室の外に、頭だけ異様にデカい人型の妖魔が立っていた。
『咲耶、アレ見える?』
『何もいないけど?』
……咲耶でも見えない妖魔もいるらしい。
『おねえさまっ、妖魔ですわっ!』
「【風刃】」
ズバンッ!
「うぉ!」「突風!?」「窓閉めて!」
風魔法で妖魔を切り払う。
「もー! だーりん聞いてるのっ?」
「え? ごめん聞いてなかった」
チャイムが鳴る。アイラは笑顔で言った。
「放課後、時間ある? デートしないっ?」
…………えぇ。
「「「なにぃいいいい!? 駒ヶ根アイラとデート!?」」」
教室騒然。そりゃそうだ。
「じゃ! あとで!」
アイラは去って行き、クラス中が俺に押し寄せようとする。
その中で咲耶が俺の胸ぐらをつかむ。
「咲耶さん……?」
「ちょっとツラかして(ぴきぴき)」
「あ……でも授業……」
有無を言わさず教室の外に引きずり出される。
「今度は氷の令嬢が霧ヶ峰を連れ出したぞ!?」「なんなんだよあいつ!」「陰キャのくせに!」
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