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【書籍化】小さな転生貴族、異世界でスローライフをはじめました  作者: 福音希望
第四章 小さな転生貴族は暴走する 【少年編3】
80/618

4-16 暗き闇をもつ妹は理解できない

※3月18日に更新しました。


(クロネ視点)


 つれてこられたのはひろいへやだった。

 みたことのないこうけいにわたしはおどろいてしまった。

 うちはきぞくなのでふつうのいえよりこうきゅうなものがおかれているとらしいけど、ここにあるのはうちにあるものよりもたかいようなきがする。

 だからといって、わたしはここにあるものをあまりすきになれなかった。

 おおきい、たかそう、というふうにじっさいにつかうことをかんがえられていないきがするからだ。

 しょうじき、そんなものなどあってもいみがないとおもう。

 そんなことをかんがえながらあるかされていると、とつぜんとまらされる。

 どういうことかときになったが、すぐにどうしてとめられたのかをしることになった。


「クロネっ!」

「ハクア」


 すこしはなれたところにはふわふわないすにすわらされたハクアがおどろいたようなひょうじょうをむけていた。

 そんないすにすわれてうらやましいとはおもえなかった。

 だって、ひとりですわるにはあまりにもおおきすぎる。

そんなことをかんがえていると、ハクアにしろいふくをきたおじいさんがはなしかける。



「おじょうさん、【せいじょ】になってくれませんか?」

「……わたしはならないっていったよね? それよりもクロネになにもしてないわよね?」


 ハクアはおじいさんのことばにいやそうなかおでへんじした。

 そして、わたしのことをしんぱいするようなそぶりをみせる。

 さすがはハクア──このじょうきょうでわたしのことをきにすることができるぐらいやさしい。

 すなおにすごいとおもう。

 だけど、それとどうじにねたましくおもってしまうこともある。

 だって、ハクアがそれだけやさしいことがわかれば、それとくらべてじぶんがやさしくないとおもってしまう。


「もちろんですとも。こちらのおじょうさんにはまったくてはだしていませんよ」

「……たしかにけがはしていないようね。でも、すこしめもとがあかいんだけど?」

「ああ、それはここにつれてくるときにどこかぶつけたのでしょう。ぶかにはあとでちゅういしておきます」

「……それはてをだしたんじゃないの?」

「いえいえ、それはちがいますよ。ふかこうりょくですので、ごようしゃを」

「……わかったわ。そこはおいておくわ」


 おじいさんのことばにハクアはけげんそうなかおをうかべながらもしかたなくといったようすでひきさがる。

 ここでくいさがってもいみがないとわかっているのだろう。

 むしろ、じぶんのせいでわたしにひがいがおよぶことをさけようとしているふしがある。


「それより、クロネだけでもかえしなさいよ。あんたたちのねらいはわたしなんでしょう?」

「たしかにそうですが、あのおじょうさんはあなたを【せいじょ】にするためにひつようなどうぐですよ」

「……クロネをどうぐあつかいしないで」

「それはすみません。ですが、かのじょがいるおかげであなたとおはなしができるのもじじつです。もし、わたしどもがおじょうさんにきがいをくわえるといえば、したがってくれるのではありませんか?」

「きずつけたりしたら、わたしはぜったいにいうことをきかないわ」

「……きもにめいじておきます」


 ハクアとおじいさんがなんかよくわからないかいわをしている。

 いや、なまえがでていることからわたしのことをはなしているのはわかるが、まったくはなしについていけない。

 これもわたしがれっとうかんをかかえるりゆうだ。

 ハクアはやさしさとあたまのよさでかぞくたちとじしんをもってなかよくできている。

 わたしにはそれがない──だから、すなおにあまえることができないのだ。

 ハクアとくらべて、わたしはいるいみがあるのかな?──そんなぎもんをかんじてしまうのだ。

 ハクアはそんなことはない、といってくれる。

 けれど、ハクアのことをみつづけていると、じょじょにそんなきもちがこころのなかでおおきくなっていく。

 げんにこのひとたちだって、わたしではなくハクアのことをしかみていない。


「しさいさま、どうしてこむすめのいうことなどきいているのですかっ!」


 とつぜん、ふとったおとこがそんなことをさけぶ。

 おそらくこむすめというのはハクアのことだろう。

 なぜかこのおとこはとてもおこっていた。

 そんなおとこにおじいさんはこたえる。


「それはひつようだからですよ。せいじょさまはおじょうさんをきずつけなければわたしたちにしたがってくれるといっているのです。これをつかわないてはないでしょう」

「ですが……」

「なにごともちからだけではかいけつすることはできません。ときにはこういうてをつかわなければ……」


 おとこにいろいろとせつめいするおじいさん。

 だが、そんなおじいさんのことばをきり、おとこがはなしはじめる。


「こちらのむすめは【やみぞくせい】ですよ? そんざいそのものがきんきじゃないですか?」

「たしかにそうですが……」

「そんざいそのものがきんき──ならば、すぐにだんざいしなければ……」

「なっ!? やめなさ……」


 おじいさんのひょうじょうがあわてたようなものにかわる。

 わたしはどうしてそんなひょうじょうになったのかがわからなかったが、すぐよこからのけはいになっとくすることができた。

 なぜなら、わたしのとなりにいたおとこははものをふりあげていたからだ。

 わたしをこうげきしようとしている。

 さきほどまでわたしにはてをださないというはなしをしていたはずなのに、いったいどうして……

 わたしがこたえをだすまえに、おとこははものをふりおろす。


(ヒュンッ……バキッ)

「がっ!?」


 くるとおもったいたみがなく、わたしはかおをあげる。

 どうやらたすかったみたい。

 でも、なにが……


「クロネ、ハクア。またせたな」


 すこしはなれたところからわたしのききたかったこえがきこえた。

 ずっとあやまりたいとおもったひとのこえ。

 きたいにむねをふくらませ、こえのしたほうをふりむくと……


「えっ!?」


 わたしはおもわずことばをうしなってしまった。

 そこにはみおぼえのあるかっこうではなく、へんなかめんをつけたよにんがたっていたからだ。







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嬉しくてヒャッハーとなるのでw

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