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【書籍化】小さな転生貴族、異世界でスローライフをはじめました  作者: 福音希望
第七章 成長した転生貴族は冒険者になる 【学院編2】
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閑話9-11 助けられた少女は高校生になった


「あら、どうして?」


 企みが否定され、私は思わず問いかける。

 たしかに普通ではないことかもしれないが、だからといって簡単に否定されるとは思っていなかった。

 何を持って、高田くんは反対をしたのだろうか?


「このままじゃ、このクラスで棗の立場が悪くなっちまうだろ?」

「……どういうこと?」


 高田くんから帰ってきた言葉に私は首を傾げる。

 一体、何を言っているのだろうか?

 どうして、須藤さんに弁当を作ってもらうだけで丸山くんの立場がなくなるのだろうか?

 まったくわからない私は吉田さんに視線を向ける。

 だが、彼女も困惑の表情を浮かべていた。

 どうやらわかっていないようだ。

 そんな私たちの様子に気づいたのか、高田くんが説明を始める。


「棗は委員長たち4人と仲が良いからな。それだけで周囲からは嫉妬されているんだよ」

「私たちと仲が良いだけで? そんなことが嫉妬する理由になるの?」

「それがなるんだよ。委員長はもっと自分の価値を理解した方がいいと思うぞ? ついでに言うと、残りの三人も……」

「?」


 呆れたような高田くんの言葉に私は首を傾げる。

 彼の言うようなことが起こっているとは、私には到底思えない。

 現に吉田さんも理解していないようだ。

 須藤さんはというと、近くに丸山くんがいるせいで意識がぼんやりとしてしまっている。

 仁川さんは……なぜか呆れたような視線を私たちに向けていた。

 彼女だけは理解しているということだろうか?


「正直、委員長を含めた四人はこのクラス──どころか、学年・学校でもトップクラスの美少女だろ。そんな四人と話したいと思っている男子生徒は多いけど、恐れ多くて話しかけることができないわけだ」

「そこまでなの? たしかに、あまり男子生徒と話したことはないけど……」


 高田くんの指摘に私は考え込む。

 自分にそこまでの価値があるとは思えないのだが……

 別に自分のルックスが整っていないとは思っていない。

 だが、高田くんの言うように男子生徒が話しかけることを躊躇するほどのルックスだとは思えない。

 過大評価をしているのではないだろうか?


「現に委員長は何度も告白されているんだろう? 棗を含めて」

「まだ一桁よ?」

「入学してまだ2か月も経っていないのに二桁に届く可能性がある時点で、察してくれよ。その時点で委員長はかなりのルックスの持ち主ということだ」

「……なるほど」


 高田くんの説明でようやく納得することができた。

 たしかに、彼の言う通りなのかもしれない。

 入学して2ヶ月も経たないうちに何度も告白をされる……これでルックスが整っていないわけがない。

 自分で言うのもなんだけど……

 別に告白される理由が「ルックスが整っている」という理由だけではないことはわかっている。

 しかし、入学して2ヶ月も経っていない短い時期に告白されている時点で、「性格の良さ」で選ばれたとは考えにくいわね。


「ちなみに、須藤と仁川も告白されてるよな」

「ええ、そうね。二人とも、断ったけどね」


 高田くんの質問に仁川さんが答えた。

 どうやら彼女たちも告白をされていたようだ。

 まあ、彼女たちのルックスもタイプは違えどかなり整っているので、告白されるのは当然だろう。

 そんな話をしていると、吉田さんが会話に入ってきた。


「私、告白されたことないんだけど?」

「え?」


 吉田さんの言葉に私は驚いてしまった。

 なぜなら、吉田さんが告白されていないことが信じられなかったからである。

 正直、この四人の中で彼女のルックスが一番整っていると思っている。

 私たちが告白されているのであれば、彼女だって告白されていると思っていたのだが……

 そんな私の疑問に高田くんが答える。


「吉田さんは、まあ……一番、話しかけづらいからなぁ」

「何それ」


 高田くんの言葉に吉田さんが睨みつける。

 綺麗な彼女が鋭い視線を向けるので、どこか冷たい空気を感じる。

 美人だからこそ、そういう雰囲気が似合っている。

 だが、その光景で私は理由が分かった気がする。


「もしかして、綺麗すぎるから?」

「それも理由の一つだな」

「え?」


 私の言葉に高田くんが頷く。

 そして、そんな私たちの会話に吉田さんが驚いた。

 そんなことを言われるとは思っていなかったのだろう。


「吉田さんが綺麗すぎるがゆえに、男子どころか女子も話しづらいのね」

「しかも、ほとんどの時間を一人で勉強をしているだろう? しかも、かなり集中しているから、周りも話しかけづらいんだよ」

「あぁ、なるほど……私も隣の席じゃなかったら、話しかけてなかったかも」

「吉田さんが勉強をしていると、クラスメートが少し静かになるぐらいだぜ」

「それは、また……」


 高田くんの言葉に私は何とも言えなくなってしまった。

 美人すぎるのも考え物だな。

 まあ、吉田さんの場合はそれ以外にも理由があるけど……


「うぅ……」


 そんな私たちの会話を聞き、吉田さんはむくれてしまった。

 けなされていると思ったのだろう。

 いや、けなしてはいないよ?







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