閑話9-1 助けられた少女は高校生になった
今回から少し毛色が変わります。
異世界から少し離れ、地球編になります。
一応、最初から考えていた話の大筋のための閑話なのですが、異世界編を書きすぎて現実世界についてはうまく書く自信がありません。
異世界については自分の思う通りに書けばいいのですが、現実は実際にありそうなことを書かないといけないわけですから……
しかも、女性目線となるので、いろいろとおかしい事になると思われます。
できる限り頑張りますが、この閑話については気にしない方向でお願いします。
あと、名づけのセンスないですね、作者。
(ジリリリリリッ)
「ふわぁ……」
目覚まし時計の鳴る音に私は目を覚まし、欠伸をする。
私は目覚まし時計を止めた後、体のこりをとるように体中を伸ばした。
すると、なぜか服から悲鳴のような音が聞こえてくる。
また買い換えないといけないのか、私はため息をつく。
とりあえず、それはおいおい考えるとして、今は朝の準備をする。
洗面所に向かい、顔を洗って、髪を整える。
完全に目を覚ますことができた。
そして、リビングに行くと、そこにはすでに朝食ができていた。
「お父さん、お母さん、おはよう」
「ああ、おはよう」
「おはよう。今日も元気ね」
私の言葉にお父さんとお母さんは嬉しそうに迎えてくれた。
といっても、お父さんの方は表情が変わっていなかったが……
とりあえず、家族だからなのか、嬉しいという感情はわかる。
「今日は豪勢だね?」
私はテーブルの上においてある料理を見て、そう呟いた。
別に普段のお母さんの料理をけなしているわけではない。
むしろ、お母さんは普段からしっかりと朝食を作っている。
だが、それを差し引いても、今日の料理は豪勢だった。
そんな私の言葉に、お母さんは笑顔で答える。
「今日は聖の高校入学の日だから、豪勢にしちゃったのよ」
「ああ、なるほど」
お母さんの言葉に私は納得する。
そういえば、今日は私の高校入学初日だった。
お母さんが喜ぶのも仕方がないだろう。
「はやく席に着きなさい。朝ごはんが冷めるぞ」
「はーい」
お父さんの言葉に私は自分の席に座る。
近くになったことで、さらに料理の豪勢な感じが伝わってくる。
好き嫌いがないとはいえ、すべてを食べきれるかしら?
「聖はトーストは何枚?」
お母さんがそんな質問をしてくる。
私は少し考えてから、答えた。
「う~ん……今日は一枚かな?」
普段は二枚なのだが、流石にここまで量が多いのであれば一枚減らした方がいいと思ったのだ。
私は出されたものを残すことを良しとしていない。
だからこそ、しっかりと食べることのできる量を把握しておかないといけない。
というわけで、この判断だったわけだ。
「そういうと思って、はい、どうぞ」
「え?」
お母さんが焼きたてのトーストの乗ったお皿を私の前に置く。
あまりの早さに驚いてしまった。
そんな驚く私にお母さんは茶目っ気たっぷりに告げてくる。
「聖なら、そういうと思ってね。焼いておいたわ」
「流石お母さんだね」
私はお母さんのことを素直に褒めた。
しかし、それはすぐに間違いだということに気が付く。
「おい」
「はい?」
「私のトーストがいつもより多い気がするんだが?」
「あら、そうかしら?」
お父さんの言葉にお母さんは惚けたような反応をする。
お父さんの前にはトーストが三枚乗った皿が置いてあった。
お父さんが普段食べるのも二枚のはずだが……おそらく、あの一枚は……
「さあ、早く食べてね。新学期早々、遅刻はしたくないでしょ?」
「はーい」
お母さんの言葉に私は従った。
お父さんは何か言いたそうにしていたが、せっかくの娘の喜ばしい日──自分の怒りで邪魔をしたくないと思ったのだろう。
怒りを収めることにしたようだ。
そんな家族たちを見て、私は嬉しい気分になってしまった。
こんな風に過ごすことができるなんて、あの時に命を落とさなくてよかった、と。
しかし、それと同時に後悔の気持ちもあった。
私を助けたせいで、あの人はこんな生活を亡くすことになるなんて……
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