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【書籍化】小さな転生貴族、異世界でスローライフをはじめました  作者: 福音希望
第二章 小さな転生貴族は領地を歩く 【少年編1】
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2-11 死んだ社畜は潤う (改訂)

ポケモンGOでマクノシタの色違いを見つけた。

めっちゃ嬉しいわ。

バトル向きじゃなかったけど……



 両親たちとモスコが話した結果、【リバーシ】はミュール商会から売り出されることになった。

 値段は俺たちが帰り道に話していた通り、庶民には銀貨1枚、貴族相手には金貨1枚ということになった。

 そして、取り分はカルヴァドス家が4、ミュール商会が6となった。

 これについてはミュール商会にはいろんなところに売ってもらいに行くのでもう少し取り分を多くした方が良いかという案が出たのだが、モスコにとってはこれはかなり儲けが見込めるのでその感謝の意味を込めてこの割合になったのだ。

 今後とも長い付き合いをよろしくお願いします、という意味も込められているそうだ。

 商人というのはもっと自身の利益を追求する人が多いと思っていたのだが、意外とこういう風に人づきあいを大事にする人がいて少し驚いてしまった。

 いや、商売をするうえで人づきあいは大事だろうな。

 あと、ついでにチェスを作って、それも売ってもらうことにした。

 リバーシのように白黒だけで戦うのではなく、様々な駒を動かしていろんな戦略を立てることができるチェスはリバーシでは物足りない人にとってはかなりいいものになるはずだ。

 これについてはリバーシの5倍の値段──庶民は銀貨5枚、貴族には金貨5枚で売り出されることになっている。

 意外とチェスの駒を作るのが面倒で、その手間賃ということでこの値段になったわけだ。

 一番難しいのはナイトである。

 馬の鬣を躍動感のあるものにするのが意外と難しい。

 何度作ってもしっくりとこないのだ。

 ちなみにチェスの方はある程度リバーシが浸透してから、時機を見て販売を開始するらしい。

 まあ、いきなり同時に二種類のボードゲームが発売されても、それをする人がばらけてしまうわけだから本来出るはずの売り上げまで伸びない可能性があるわけだ。

 これも商売の手法の一つである。

 ただただできたものを販売するのではなく、適度に時間を空ける必要があるわけだ。


 その後、1ヶ月ごとにモスコは俺たちの取り分を持ってくるようになった。

 屋敷に来るたびに俺に対して感謝の言葉を告げてくる。

 なんでもリバーシは王都だけではなく、周囲の貴族の領地や隣の国でも大人気になっているらしく、彼の懐が潤いまくっているそうだ。

 他の商会たちもあの手この手でリバーシを作ろうとしているそうだが、うまくいっていないそうだ。

 材料が土から作っていることはすでに既知の事実だそうだが、どうやったらあんな風に綺麗に成形することができるのかがわからないそうだ。

 まあ、あれは俺が造っているので、普通ならばできないのが当然なのだが……


 4か月経った頃にはそろそろチェスを売り出そうかと思っているという話を聞いた。

 少し早いのではないかと思ったのだが、なんでもリバーシの人気が高まりすぎて、王都ではリバーシの大会が開かれているらしい。

 この数か月の間に人気が高まったリバーシは様々な作戦が立てられており、自分たちの知らない作戦が次々と現れることによって大変盛り上がったらしい。

 ちなみに初代優勝者は王都に住む一般男性──に扮した国王様だったらしい。

 なんでも王都で一番リバーシにはまっているのは国王様らしく、リバーシが発売された当初は政務を放ったらかしにしてリバーシにのめり込んでいたそうだ。

 それを大臣たちが怒り、政務をしなければリバーシは禁止ということになったらしい。

 最近では政務を真面目に取り組み、今までより早く終わらせることでその分の時間をリバーシに回すようになったようだ。

 良い事なのだろうが、どこまでリバーシにはまっているのだろうか?

 そんな人がこの国を治めて大丈夫なのだろうか、と心配になってしまう。

 まあ、仕事をしている分には問題はないか。


 あと、最近王都ではこのリバーシを作ったのは誰かを探し始めているらしい。

 まあ、これほど人気になったものを作った人間が誰かわからないのであれば、そうなるのも仕方のない話だ。

 ちなみにモスコについてはカルヴァドス家が出所であることは伏せてもらっている。

 別に秘密にする必要はないかもしれないが、欲深い人間などに知られると確実に面倒ごとに巻き込まれるのでできる限り秘密にしてもらおうと思ったのだ。

 多くの人たちがミュール商会からリバーシの製作者が誰かを聞こうとしているが、当然情報を得られるはずがない。

 あと、なぜ人々がミュール商会から情報を得ようとしているのかというと、それは発売されているのがミュール商会からだけだから製作者の情報を知っていると思ったためだろう。

 さらに、リバーシの人気が高まったころ、リバーシにはまった国王様が製作者に対して何か恩賜を与えようという話が出たらしい。

 その際に王都と周囲の貴族の領地でリバーシの製作者を探しているというお触れが出されたそうなのだが、実際に集まったのは偽物ばかりだったらしい。

 まあ、製作者がここにいる時点で集まるのは偽物ばかりだとはわかっていたのだが、なんでも数百人単位で偽物の製作者が現れたらしい。

 そいつらは何をもって製作者を名乗れると思ったのだろうか?

 ちなみにその偽物たちは王族に虚偽の情報を渡したということで投獄をされている。

 まあ、誰に迷惑をかけたわけでもないので大した期間ではないのだが、投獄をされたということで嘘をつくことはなくなるだろう。

 そして、製作者を名乗ることを諦めたことで、次に製作者探しをすることになったそうだ。

 それが始まったころ、モスコは何度か城に呼ばれることがあったらしい。

 中堅の商会ではほとんど見ることができないほどの白金貨と貴重な物品が並べられ、リバーシの製作者が誰かを聞かれたそうだ。

 だが、モスコは商人としての信頼を優先し、国王様の質問には「答えられない」と告げたそうだ。

 そんな不敬の塊みたいな行動をして周囲の貴族たちは騒ぎ立て、モスコを処刑しろとまで言い始めたのだが、それを止めたのが国王様だった。

 モスコにどうして答えられないかを聞き、商人としての信頼のためという理由を聞いた末に笑いながらモスコを許してくれたそうだ。

 かなり懐の広い人のようだ。

 まあ、国王を相手に嘘をついた人を投獄だけで済ませたのだから、その時点でそれはわかっていたことかもしれないが……

 普通ならその場で頭と体が永遠にさよならとなってもおかしくはないはずだからな。

 というわけで、俺の情報が周囲にバレることはなかったらしい。


 ちなみにミュール商会は今後、獣人の国【ビスト】と魔族の国【アビス】に商売の幅を広げることになったらしい。

 国王様にリバーシを人気にさせたという功績により、褒美を頂けることになったそうだ。

 あと、命の危険にさらさせてしまったことも原因だそうだが……

 モスコはその褒美として、それらの国に対する商売の権利を得ようとしたらしい。

 これは人間同士の他国に行くのとは違うため、ごく一部の商人しか得ることのできない権利だ。

 数十年前まで戦争をしていたのだから、できるかぎり問題が起きないように商売を制限するのは仕方のない事だ。

 もし万が一に問題が起きて、戦争が起こってしまったら目も当てられないからだ。

 そのため、ごく一部の王族からも信頼が厚い商会にしかその権利が与えられていないわけだ。

 モスコはその権利を欲したわけだ。

 ほとんどの商会が行くことすら叶わない場所──つまり、儲けるチャンスだと思ったのだろう。

 しかも、自分たちにはリクール王国で大人気になったリバーシがある、勝算があると思ったのだろう。

 結果として、ミュール商会はその権利を得ることができた。

 その報告をモスコは嬉しそうにしてきて、同時に感謝の言葉を伝えてくれた。

 これで先祖代々受け継いできたミュール商会を続けることができる、と。


 そんな感じでミュール商会が潤うことでカルヴァドス家の暮らしも豊かになった。

 リバーシが売れることにより収入が増え、それをもとにミュール商会からいろんなものを買うことができるようになったのだ。

 といっても、元々そこまでいろんなものを欲しがる家族たちではないので、増えたのは本当にごく一部の物だけだったが……

 具体的に言うと、本と家具、調理器具と食材、あとは訓練用の設備といったところだ。

 本については俺とシリウスが読みたいので買ってもらい、家具については母親たちが欲しいということで購入が決定した。

 調理器具や食材に関しては前世の記憶を頼りにおいしいものを作りたいと思ったのと王都で人気の料理とかも作りたいと思ったので買うことが決まった。

 ちなみに本の中には料理の本も入っている。

 最後に訓練施設についてはもちろん希望したのはアレンとアリスだった。

 まったく、二人の訓練好きには困ったものである。

 まあ、別に構わないのだが……

 こんな感じで商売に関してはうまいこといっていた。


 そんな風に平和に過ごしていたカルヴァドス家にとある情報が伝えられたのはリバーシを売り始めて半年経った頃だった。

 エリザベスとクリスのお腹が目に見えて大きくなり、そろそろ子どもが生まれるんじゃないかと思われたころ、領民からとある情報が伝えられた。


『森が騒がしい』、と。







次話から追加の話になります。

楽しみに待っていてください。


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