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【書籍化】小さな転生貴族、異世界でスローライフをはじめました  作者: 福音希望
第五章 小さな転生貴族は王都に行く 【少年編4】
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5-13 小さな転生貴族は盗賊と戦う 3


「てめぇ、何者だ?」


 リーダーの男が問いかけてくる。

 部下達が次々とやられているのに、落ち着いている様子だった。

 もっと慌てると思っていたのに・・・・・・


「言いましたよね? 通りすがりの旅人だって」

「んなもん、信じられるわけないだろ」


 俺の答えにリーダーの男は吐き捨てるように言う。

 本当のことなのに、どうして信じてもらえないのだろうか?


「とりあえず、お前が化け物だということはわかった」

「普通の人間ですよ」


 とんでもないことを言われたので、反論はしておく。

 少し離れたところで笑いをこらえている者たちがいるが、気にしないようにする。


「てめえみたいな人間がいるかよ」


 怒ったようにリーダーは駆け出す。

 人間であるのは事実なのに、そこを否定はしないで欲しい。


「僕以上に強い人はざらにいますよ」


 とりあえず、化け物扱いは強さの部分だと思うので、自分以上におかしい存在がいることは伝えた。

 まあ、他にいたとしても、俺自身がおかしいことには変わりないのだが・・・・・・


「おらぁっ」


 リーダーは左腕を振るう。

 首元を狙っているようで、俺ははじこうとする。


(ピタッ)

「っ⁉」


 だが、直前にその腕が止まり、俺は驚いてしまう。


(ブンッ)

「くっ」


 腰の辺りを狙って蹴りが来る。

 ギリギリのところでどうにか回避に成功する。

 だが、安心はできなかった。


「ひゃはあっ」


 相手は右脚を軸にして回転しながら、地面にしゃがみこむ。

 そして、そこから一気に地面を蹴る。 

 下側から直線的に突っ込んでくる。

 俺は再び下がろうとするが・・・・・・


(ビュッ)

「うっ⁉」


 何かが目に入り、思わず片手で押さえてしまう。

 投げる仕草をしていたので、しゃがみ込んだ際に土を持っていたのだろう。


「おらあっ」

(ギインッ)

「うぐっ⁉」


 上から声が聞こえ、片手剣が振り下ろされる。

 ギリギリのところで攻撃を受け止めるが、重量差に苦しげな声を漏らしてしまう。

 こいつは魔力を使っていない。

 純粋な身体能力で戦っているようだ。

 そのせいで【魔力感知】で相手の動きを掴めなかった。


「どうした? さっきまでは余裕だったじゃねえか」


 リーダーは次々と攻撃をしてくる。

 目を覆っている俺はどうにかその攻撃を捌いていく。

 だが、片手で目元を押さえている状況ではそれで精一杯だった。

 まさかこんなに手こずらされるとは思っていなかった。

 たかが盗賊と侮っていたが、その考えは改めないといけない。


(ブワッ)

「おっ⁉」


 魔力を周囲に撒き散らす。

 リーダーは驚いたような、嬉しそうな反応をする。


「本気でくるみたいだな。だが、その前にやらせてもらうぞ」


 何かしようとしていることを読み、リーダーは一気に駆け出す。

 しかも、様々な場所を動き、的を絞らせないようにしている。

 視界を塞がれた俺ではどこにいるのか把握するのは難しかった。


(ドスッ)

「がはっ⁉」


 腹部に強烈な一撃を受け、リーダーは苦しげに息を吐く。

 そのまま力なく、膝を突く。


「な、なにをしやがった。見えてなかったはずだろ」


 苦しげな声で質問してくる。

 冥土の土産に教えてやるのもいいだろう。


「撒き散らした魔力は魔法を使うためじゃない。あんたの動きを感知するためだよ」

「そんな使い方をっ⁉」


 説明すると、驚きの声が聞こえてくる。

 まあ、普通はできない芸当だろう。

 これはあくまで俺が持つ魔力量が膨大だからできたことだ。

 普通は撒き散らした時点で魔力切れを起こすだろう。


「話してくれて、ありがと──よっ」


 話を聞いていたリーダーが動こうとする。

 流石に俺の体格では魔法を使わなければ、気絶させることもできない。

 おそらく持っていた武器で攻撃しようとしたのだろう。


(ガッ)

「なにっ⁉」


 だが、俺はその動きを読んでいた。

 気づかれないレベルで魔力を地面に流し、動こうとした瞬間に相手を拘束した。


「これでチェックメイトだ」


 リーダーに向かって指を差し、宣言した。

 目は見えないが、大体いる位置はわかっていた。








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