5-12 小さな転生貴族は盗賊と戦う 2
「速攻で行くぞ」
「おうっ」
右側が声を書けると、左側は応える。
そして、同時に駆け出した。
そのスピードは速いが、目で追えないわけじゃない。
だが、その油断が仇となった。
(ヒュッ)
「っ⁉」
右側の姿が一瞬で消えた。
先程までのスピードは俺を油断させるためのものだったらしい。
子供相手にそこまでやるとは思わなかった。
「隙ありだ」
左側が片手剣で突き刺してくる。
消えた右側の方に意識を向けていたせいで、はじくことしかできなかった。
(ゾワッ)
背後から殺気を感じ、左側に転がる。
風を切る音が聞こえた。
確認すると、そこには消えたはずの右側がいた。
「・・・・・・風属性か」
今までの状況から相手の属性に気づく。
姿を消したのは風属性の魔法によりスピードを上げたからだろう。
いくら俺の身体能力が優れていたとしても、魔法による強化を行ったスピードは視認できない。
【魔力感知】を使わないといけない。
しかも、おそらく相手はどちらも風属性であり、技量は同程度だろう。
それをどちらかが使うことでタイムラグを作ることができる。
同時に攻撃することもできる。
面倒な相手である。
「「覚悟しな」」
再び相手が駆け出す。
今度は二人とも姿を消した。
双子なので、息はぴったりである。
だが、対策がないわけではない。
(ダッ)
片手剣をしまい、俺はその場を駆け出す。
【身体強化】のおかげでかなりのスピードが出ている。
「なっ⁉」
いきなり目の前に現れた俺に相手は驚く。
左右のどちらかかはわからない。
高速で何度も入れ替わっているので、途中でわからなくなってしまった。
とりあえず、近くにいた方に接近した。
(ガッ)
相手の胸ぐらを右手で掴む。
そして、そのまま右足の裏側で相手の右脚の外側からかける。
(ドオオオオオンッ)
足をかけられ、顔面から地面にぶつかる。
自慢のスピードでその勢いはすさまじかった。
そのまま力なく地面に横たわる。
「よくも弟をっ!」
相方がやられたことにもう片方が襲い掛かってくる。
やはり兄弟のようだ。
双子かどうかはわからないが・・・・・・
風属性の魔法により片手剣を振るうスピードが上がる。
「【土壁】」
「ぐべっ」
だが、一人になった時点で対処は簡単になった。
相手の動きに合わせ、目の前に土の壁を出現させた。
直線的にこちらにむかってきたせいで、避けることが出来ずにそのままぶつかってしまった。
大きな衝撃とともに変な声が漏れ出ていた。
壁の向こうで相手が崩れ落ちていた。
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