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【書籍化】小さな転生貴族、異世界でスローライフをはじめました  作者: 福音希望
第五章 小さな転生貴族は王都に行く 【少年編4】
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5-12 小さな転生貴族は盗賊と戦う 2


「速攻で行くぞ」

「おうっ」


 右側が声を書けると、左側は応える。

 そして、同時に駆け出した。

 そのスピードは速いが、目で追えないわけじゃない。

 だが、その油断が仇となった。


(ヒュッ)

「っ⁉」


 右側の姿が一瞬で消えた。

 先程までのスピードは俺を油断させるためのものだったらしい。

 子供相手にそこまでやるとは思わなかった。


「隙ありだ」


 左側が片手剣で突き刺してくる。

 消えた右側の方に意識を向けていたせいで、はじくことしかできなかった。


(ゾワッ)


 背後から殺気を感じ、左側に転がる。

 風を切る音が聞こえた。

 確認すると、そこには消えたはずの右側がいた。


「・・・・・・風属性か」


 今までの状況から相手の属性に気づく。

 姿を消したのは風属性の魔法によりスピードを上げたからだろう。

 いくら俺の身体能力が優れていたとしても、魔法による強化を行ったスピードは視認できない。

 【魔力感知】を使わないといけない。

 しかも、おそらく相手はどちらも風属性であり、技量は同程度だろう。

 それをどちらかが使うことでタイムラグを作ることができる。

 同時に攻撃することもできる。

 面倒な相手である。


「「覚悟しな」」


 再び相手が駆け出す。

 今度は二人とも姿を消した。

 双子なので、息はぴったりである。

 だが、対策がないわけではない。


(ダッ)


 片手剣をしまい、俺はその場を駆け出す。

 【身体強化】のおかげでかなりのスピードが出ている。


「なっ⁉」


 いきなり目の前に現れた俺に相手は驚く。

 左右のどちらかかはわからない。

 高速で何度も入れ替わっているので、途中でわからなくなってしまった。

 とりあえず、近くにいた方に接近した。


(ガッ)


 相手の胸ぐらを右手で掴む。

 そして、そのまま右足の裏側で相手の右脚の外側からかける。


(ドオオオオオンッ)


 足をかけられ、顔面から地面にぶつかる。

 自慢のスピードでその勢いはすさまじかった。

 そのまま力なく地面に横たわる。


「よくも弟をっ!」


 相方がやられたことにもう片方が襲い掛かってくる。

 やはり兄弟のようだ。

 双子かどうかはわからないが・・・・・・

 風属性の魔法により片手剣を振るうスピードが上がる。


「【土壁(サンドウォール)】」

「ぐべっ」


 だが、一人になった時点で対処は簡単になった。

 相手の動きに合わせ、目の前に土の壁を出現させた。

 直線的にこちらにむかってきたせいで、避けることが出来ずにそのままぶつかってしまった。

 大きな衝撃とともに変な声が漏れ出ていた。

 壁の向こうで相手が崩れ落ちていた。








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