プロローグ 小さな転生貴族は無自覚にやり過ぎる
第五章始まりました。
※4月8日に更新しました。
「大丈夫ですか?」
俺は笑顔で問いかける。
しかし、それは表面だけである。
内側は憤怒の炎が燃え上がっていた。
「「ひいっ」」
それに気付いた少年たちは尻餅をついたまま悲鳴を上げる。
半泣きで俺のことを見ている。
年上のくせに情けない。
「いくら綺麗にしていても、地面に座り込むのは汚いですよ? 手を貸しましょう」
俺はニコリと笑い、手を差し伸べる。
周囲が慌て始める。
「や、やめろっ」
「ははうえぇっ」
少年たちはまるで自分たちが殺されると思ったのか、ジタバタと逃げ出そうとする。
ツンとした刺激臭がするが、そんなことも気にならないぐらい怖いのだろう。
それほどまで俺は怒っているのだ。
「やりすぎだ」
(ゴンッ)
「いたっ」
そんな異様な空気もあっさりと壊される。
後頭部に鈍い衝撃があった。
「父さん、痛いよ」
「それぐらいしないと止まらないだろう」
俺の文句にアレンはあっさり反論する。
そんな俺たちの様子を笑う者がいた。
「グレインがアレンに口で負けるのは珍しいな」
「それだけ怒っていたのでしょうね」
「お前らも止めろよ」
「「それは父親の役目だろう(でしょう)?」」
リオンとルシフェルは口をそろえる。
確かに正論である。
「ふ、ふえた」
「な、なんだよ、おまえ」
少年たちはさらに恐怖に震える。
明らかに俺より強い三人が現れ、俺の味方をしている。
絶望しかないだろう。
「ただの男爵家の次男ですよ。権力だけなら君たちに到底及ばない、ね」
ニコリと笑みを浮かべ、最大限の皮肉を言った。
そんな俺を見ても、周囲は何もできない。
誰もこの二人を助けられなかった。
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新作始めました。
二度目の悪役令嬢は期待しない
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