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ex.3 昏

 手摺り越しに見える外は暗く、肌に触る夜風は冷たい。

 学園の寮の五階のベランダへと呼び出された私は、呼び出した本人である金髪の少女と向かい合っていた。

 本来であれば、無用な誤解を避けるためにお嬢様以外の異性からの誘いはどのような用件であっても侍従として止むを得ない場合を除いて断っているのだが、私は目の前の彼女には到底返しきれるとは思えない程の大恩がある。

 連座して死罪になってもおかしくなかったところを弁護して助けられたことや、お嬢様の侍従を続けられるように画策してくれたこと、そして何よりお嬢様の命を救ってくださったことだ。

 私の命などお嬢様のためならどうなろうと構わないが、お嬢様を助けてくれたことに関しては礼を言っても言い切れそうにない。

 そのために、断ることなく(彼女からはお嬢様に内密にという要望だったが、私としてもそれは好都合だった)呼び出しに応じていた。


「早速ですが、何のご用ですか?」

「密偵を雇いたいと思っているのだけれど、心当たりを教えてもらえないかしら。きっと、先日の事件の時にその手の人間とは接触しているでしょう?」


 そう告げてきた彼女の言葉に、私は束の間思案を巡らせる。

 あまりに大きな恩を少しでも返すためだ、もちろん協力するのはやぶさかではないのだが、問題は誰を誰を推挙するかだった。

 事態を把握したり、あの者達の居場所を探すために各地を駆けずり回っていた際にその手の人間とは多く接触したが、単に情報を買うだけでなく密偵として専属で雇うのであれば、既に誰かに雇われている者ではまずいだろう。


「そうですね……王都の路地裏にいた若い情報屋などはいかがでしょうか。先日の事件の現場の近くに住んでいるようですが」


 悩んだが、一見少女にしか見えない容姿をした彼を推薦しておく。

 接触したとは言ってもただ少し会話を交わした程度であり、相手の人物など分かるはずもない。

 そうであるからには誰を推薦しても同じではあるが、彼はもしその場に居合わせたらお嬢様を助けていたと憤っていたし、近隣の子供達にも慕われているようだったのでそれなりにいい人間なのだろう。

 もちろん職業柄、それらが全て演技である可能性も十分にあるが、何か底知れないものを持っている彼女ならばそれを見破ることくらい出来るはずだ。


「ありがとう。休日に尋ねてみることにするわ。―――それと、もう一つ話があるのだけれど」

「……何でしょう?」


 話題を切り替えると同時に彼女の目つきが鋭くなり、目が合った拍子に思わず全身が強張る。

 ただの令嬢であるはずにもかかわらず、その小柄な身体からもっと老練な迫力のようなものを感じてつい気圧されてしまう。


「端的に言うわ。これから王太子殿下が軍を興されます。その際に、私にその武を以て協力してもらえないかしら」

「お断りします。いくら貴女の頼みといえど、お嬢様の身を危険に晒すようなことに頷く訳にはいかない」


 彼女の発言の内容の重大さにさすがに一瞬驚愕を覚えたが、すぐに断りの意を伝える。

 私はお嬢様に常に付き従いその身をお護りする侍従であり、私が武で協力するということはつまり内乱の際にお嬢様が実家の私兵を率いて戦場に出るということだ。

 仮に頷いたとしても私はただの侍従でしかないので兵を動かすことは出来ないが、彼女ならばお嬢様本人を説得するくらい簡単だろうし、間違ってもそんな危険な状況に大切なお嬢様を晒す訳にはいかない。

 彼女から受けた大恩を裏切りたくはないが、それを阻止するために計画を現宰相側に密告するか、最悪この場で斬ることも選択肢に入れる。


「安心しなさい。セリーヌ様を危険に晒す気など無いわ」

「だとしても、侍従である私がお嬢様の側を離れる訳にはいきません」

「どこから説明したものかしら……。そうね、まず、このままでは貴方がセリーヌ様を娶る可能性は万に一つも無い。そのことは分かっているわね?」

「……不本意ながら」


 私の内心を見通したように告げた彼女の言葉を再度拒否する私。

 先日あのようなことがあったばかりであるし、僅かな間であろうとお嬢様の傍を離れようとは思わなかった。

 それに対して束の間考える仕草をし、痛いところを突いてきた彼女に対し私は頷く。

 到底受け入れ難いことではあるが、それが事実であることは認めざるを得なかった。


「貴方が先日の事件で不興を買っていることを差し引いたとしても、現在の継承法では女性であるセリーヌ様に爵位の継承権が無い以上、彼女は政略結婚の駒としてどこかの貴族に嫁ぐか、或いは傍系の誰かを婿に迎えてその者がモンテルラン子爵家を継ぐことになる。貴方の父がセリーヌ様を暗殺しようとしたということは、子爵は恐らく後者を考えているのでしょうね」


 嫡男がいない貴族家では傍流の家系から適齢の婿を取って跡取りとするのが一般的であり、お嬢様には弟がいるもののまだ幼いため、婿が迎えられる可能性が高い。

 例えば食堂でたまに言葉を交わしていたカルロというやたら強い(恐らく第三騎士団長とすら互角に戦えるのではないだろうか)彼女の侍従がそうであるように、この役目は令嬢と歳の近い傍流の男子から選ばれることが多く、故にそのまま侍従が令嬢と結婚して家を継ぐのもよくあることである。

 だが、それはあくまでも傍流という形で血縁があるからであり、単なる(元)重臣の息子である私にはその機会は存在しない。

 学業面でもお嬢様を手助けしてくださったという彼女の推測は否定しようのない程に的確で、ほぼ間違いなくその通りに進むだろうということがよく分かった。

 何も言えずに黙り込んだ私を無表情で見つめながら、そこで一度口を閉ざしていた彼女は再び口を開く。


「けれど、私達が勝利すれば状況は一変するわ。その時には現宰相家によって改変された継承法は正され、昔のように女性でも爵位を継げるようになる。そして長子であるセリーヌ様が爵位の第一継承者となれば政略結婚の駒にされることも、傍系から当主候補を迎えることもどちらの可能性も無くなり、貴方にも彼女と結ばれる可能性が出てくるわ」

「たとえそうなったとしても、子爵に疎まれている現状では私が婿入りすることは無いでしょう」


 確かにそうなれば私にも機会は生まれるだろうが、だからといって先日まで父と呼んでいた男のためにお嬢様の両親から疎まれている私が結婚相手として選ばれるとは思えなかった。

 平民ではあるが、私とて子爵家の家令を勤めていたあの男からそれなりの教育は受けているので、その程度のことは理解出来る。


「貴方が何もしなければそうでしょうね。しかし、子爵はこの先起きる乱において間違いなく現宰相側につくはずであるし、そうなれば現宰相に近い子爵家には当主の引退と領地の削減くらいの罰は与えられるでしょう。でも、もしもこちら側として戦った貴方の功績によって罰が相殺され免じられたとなれば、セリーヌ様の婿が貴方になることはほぼ間違いないわ」

「それは貴女達が勝利した場合でしょう。もしも宰相が勝利した時はどうなるのです?」

「その時は、私が()()処刑されるだけよ。貴方はこのまま時間が進んだ場合の未来と同じく、ただの侍従として誰かに嫁いだセリーヌ様に仕え続けるだけ。今の貴方に、これ以上失うものなど何も無いでしょう?」


 私は彼女の言葉に微かな違和感を抱くが、しかしそれも続く言葉によってすぐに霧散する。

 彼女の言う通り、お嬢様と通わせた相愛以外に何も持っていない今の私には、たとえ王子側が敗れたとしても失うものなど何も無かった。


「有事の最中にもかかわらず遠く離れた場所で、護衛はモンテルラン子爵から信用されていない貴方一人。それらの状況を鑑みれば、戦が始まればセリーヌ様は間違いなく一度実家に戻ることになるでしょうし、彼女自身のためにもその方がいいでしょう。そして、実家に戻ればクラスティリオン様の手前、侍従を解任されたり処断されたりすることはまずないけれど、きっと適当な理由で貴方はセリーヌ様の傍から離されるはずよ。そうなれば貴方はこちらに来て、その武を生かして戦えばいい。どうかしら?」

「分かりました。剣を振るわせていただきましょう」


 言葉を切りそう尋ねてくる彼女だが、それに対する私の答えなど一つしかない。

 彼女もまたそれをよく分かっているのだろう、私が頷くことを微塵も疑っていないような様子でこちらを見つめている。

 そして、一度腰に佩いた剣に目線を遣ってからゆっくりと頷く私。

 お嬢様を娶ることが出来る可能性が僅かでもあるのならば、それに命を懸けない理由は無かった。


「ありがとう。貴方の力、期待させてもらうわ。それと、現宰相は人質を手放すのを避けるためにいろいろと理由をつけて領地への護送に王都の兵を出すことを拒否するでしょうけれど、その時はクラスティリオン様に頼んで第三騎士団に護送していただけばいいわ。道理を重んじるあの方ならば、きっと兵を出してくださるはずよ。貴方からセリーヌ様に助言して差し上げなさい」

「畏まりました」


 治安がいいこの国にも賊の類がいない訳ではないので、お嬢様の身の安全を考慮すれば私がいるとはいえ護送の兵無しに領地を目指すのは実質的に不可能である。

 私にはこれからの起きる出来事など分かるはずもないが、まるで未来を見通したように語られる王都を出るための助言をいざという時のために脳裏に刻みつけておく。


「くれぐれも、このことはセリーヌ様に知られては駄目よ。彼女は芯の強い方だから、もし貴方や私が戦うと知ればきっとご自身も戦おうとされるわ」

「無論です。隠し事をするのは心苦しくはありますが」

「では、私はそろそろ部屋に戻ろうかしら。詳細はまた後日話すわ。お休みなさい」


 お嬢様は普段はあまり自分から前に出る方ではないが、しかし決して意志が弱い訳ではない。

 むしろかなり心の強い方であり、それを理解している辺り彼女はお嬢様のことをよく分かっているらしい。

 最後にお嬢様には内密にしておくことを確認すると、彼女は天井近くから垂れた赤い遮光幕を少し横に開け、廊下の方へと立ち去っていた。









 ルヴジェントの街から運行されている乗り合いの小船を降り、木製の埠頭の上で初めての水上に少し悪くなった気分を落ち着ける。

 学園で彼女から話を聞いてからしばらく時が過ぎ、先王の崩御や王子の逃亡などを経て、私は彼女のいるレールシェリエの街に来ていた。

 第三騎士団に護衛されて子爵領へと戻った私だが、あの時に彼女が言っていた通りに事態が推移し、屋敷へと到着した途端にお嬢様と離されてしまったのだ。

 別れ際のお嬢様の寂しそうな表情は今でも瞼の裏に強く焼きついているが、だからこそいずれ再会出来るように励まなければならないと決意を新たにした私は、そのまま彼女に頼るべく南部を目指していた。

 初めて味わった船特有の不規則な揺れにより悪くなった気分を落ち着けた私は、初めて見る光景に若干の珍しさを覚えつつもそのまま多くの人間で賑わっている港の方へと向かい、二つある城門のうちの民用のものを潜る。

 するとその先には港と比べれば賑わいに劣るもののそれでもかなりの人間で溢れた大通りと、王都程ではないが相当に広大な街並みが見え、私は通りの先に建つこの街の執政府へと向けて歩き出した。

 何かお嬢様が喜ばれそうなものはないだろうか、と思いながら時折通りの両側にある商店を眺めると、やはりここが南部地域だからか、王都において普遍的である翠玉や紫水晶などの宝石の代わりに真珠や珊瑚などの珍しい宝石が数多く並べられている。

 私自身が宝石に興味がある訳ではないし、貴族としての教養を持っていない私には宝石の正確な価値など分からないが、お嬢様には何が似合うかや何を手にすれば喜ばれるかを考えるのは愉しい。

 そうして脳裏に鮮明なお嬢様の姿を思い浮かべつつ進んでいくと、程なくして私は両側に衛兵が歩哨している執政府の城門の前へと辿り着いた。

 兵が護っているとは言っても休暇の兵や使用人が頻繁に出入りしているので門は基本的に開け放たれており、たとえ無関係な人間が通ろうとしても平時であれば咎められることはまず無い。

 そのまま城壁の内側へと足を踏み入れた私は、平民の家であれば数百軒建てたとしても埋まらないような広大な広場の中で休暇中と思わしき兵や訓練をしている部隊とすれ違いつつも奥にある執政府の建物へと進んでいく。


「―――これを。オーロヴィア様に召喚された」


 門は警戒されておらずとも、建物の入り口に関してはそうではない。

 執政府の入り口の前にまで辿り着くと、おもむろに近付いてくる私を胡乱げな者のように見つめていた兵にオーロヴィア家の家紋が描かれた小板を手渡す。

 事態の詳細が私に分かるはずもないが、先王の死から始まった一連の流れは彼女にとっても予想外のことだったのだろう。

 詳しいことは後日と言いつつも説明を受ける前に彼女が王都を脱出したのでどうしたものかと思っていたのだが、あの時言われた通りにお嬢様と離されて子爵家の屋敷で鬱屈していた私の元に、何度か顔を合わせた覚えがあるアネットという名の彼女の侍女がこの小板を持って現れたのだ。

 これをこちらに手渡した後、レールシェリエを訪れるように伝えて立ち去ったその言葉に従って、私はお嬢様に気付かれないように慎重に屋敷を出てここに辿り着いていた。

 私が用件を伝えて小板を渡すと、衛兵の一人は少し待つように言うとそれを手にしたまま建物の中へと姿を消す。

 彼女に確認しに行っているのだろう、その場でしばらく待っていると中から戻ってきた彼が三階にあるという彼女の部屋の場所を口頭で伝え、通行を許可する。

 扉を開けた正面にはしばらく先に二階へと繋がる巨大な階段があり、その周りには遥か頭上の天井近くまで吹き抜けた円状の空間が広がっていた。

 絢爛な照明などの内装も学園と比べれば見劣りがするがかなり豪華で、私は柔らかに沈み込む絨毯の感触を靴底越しに感じながら階段を一段一段上がっていく。

 初めて訪れる場所ではあるが、規模の違いこそあれど貴族の館の構造はどこもある程度共通しているものなので、私は幼い頃よりお嬢様と過ごした子爵家の屋敷の構造を思い浮かべながら上がり終えた正面にある通路を奥へと向かう。

 時折誰かとすれ違う度に侍女らしい者に礼をされたり、貴族らしい者に礼をしたりしながら進んでいくとやがて左手に上階へと続く階段が見えたのでそれを上る。

 右に曲がって三つ目の扉が彼女の部屋であると聞いているので、その前に立つと私は木製の扉を叩く。


「入りなさい」


 するとそう聞き覚えのある声が中から聞こえ、それに従って扉を開けた私は室内に足を踏み入れた。


「ご苦労様。せっかくだから茶を出すわ、こちらに来なさい」


 玄関先には彼女が自ら立っており、私の姿を認めると後へと続くように伝える。

 その場で靴を脱いだ私はそれに従い、彼女が消えていった三つ並んだうちの最も左側の扉を開いて中に入る。

 彼女は既に円卓を囲む椅子の一つへと腰を下ろしており、卓上には高いのか安いのかはよく分からないが茶器が並べられていた。


「座って。先程から準備をしておいたから、ちょうどよい具合に色が出ているわ」


 そう言って私を促すと彼女は急須を手にとってそれを傾け、琥珀色をした液体を器に注いでいく。

 同時に広がった上品な香りが、正面の席に腰を下ろした私の嗅覚を刺激した。

 貴族としての教養など持ち合わせない私であるが、大抵の侍従がそうであるように主であるお嬢様と共に茶を飲む機会が多いので、茶葉の味や香りに関してはある程度の知識を持っている。

 以前お嬢様が彼女の淹れる茶のことを絶賛していたことを覚えているが、甘さを感じる香りは深みがあって素晴らしい。

 知識同様に茶会の場における礼節もそれなりには知っているので、彼女が先に器を手に取って口をつけたことを確認すると、私も続いて持ち上げたそれを傾けて中身を口へと含む。

 同時に口腔に広がった味わいはこれ程のものを飲むのは初めてであるというくらいであり、茶葉の質に優れているのはもちろんだが、単にそれだけではなく彼女が優れた技量を持っていることを窺わせた。


「素晴らしい味わいですね。これ程の茶を飲んだのは初めてです」

「喜んでくれたなら嬉しいわ。……さて、ここまで来てくれてありがとう。とても頼もしいわ」

「いえ、戦勝の噂は聞いています。お祝い申し上げます」


 子爵家の屋敷からここまで移動する道中で、目の前の彼女が数に勝る敵を粉砕して完勝を収めたという噂を何度も耳にしていた。

 噂は既にかなりの広範囲にまで広がっており、あの夜に見せた並外れた洞察力や知力もそうだが、そのような結果を出してみせる辺り彼女が見た目通りのただの少女ではないことがよく分かる。

 だが、だからこそ何故わざわざ私が誘われたのかがよく分からなかった。


「失礼ながら、何故私を?」

「貴方の力を借りたかったというのももちろんあるのだけれど、貴方達の仲を応援したかったのよ。二人で茶を飲んでいた際にも、セリーヌ様は頬を染めて貴方のことを話しておられたもの。相思相愛なのだから、友人の恋を応援しても問題は無いでしょう? ただ貴方の片想いだというならば、私はこのような提案はしなかったわ」

「ありがとうございます。……一連のご恩、どうお返しすればいいものか」


 私が抱いていた疑問に対する彼女の返答を耳にして、ただでさえとても返しきれそうになかった借りがまた増えてしまったことを悟る。

 あたかも、何もかもが彼女の掌の上で動かされているような気分さえ覚えてしまう。


「そうね、ではセリーヌ様を必ず幸せにしなさい。それと、貴方にはひとまず五百の兵を預けるつもりだから、終戦までにモンテルラン子爵家への罰を相殺出来るくらいの功績を重ねておいて頂戴。後の工作は私がするわ」

「たとえ何があろうとも」


 その奥に強い光を宿してこちらをじっと見つめる彼女の瞳を、私は気圧されそうになりつつも正面から受け止める。

 お嬢様を必ず幸せにする、その決意を私も目線に籠めた。

 それによって張り詰めた室内の空気だが、数瞬の後に彼女がふと笑みを浮かべたことにより一気に弛緩する。


「わざわざ確認するまでもないことだったかしら。―――さあ、貴方の部屋を一階に用意させているわ。長旅の疲れが溜まっているでしょうし、数日はゆっくりと身体を休めておきなさい」


 空になった器を卓上に置くと、彼女の言葉を合図に体重を預けていた椅子から立ち上がる私達。

 これからのことに思いを馳せつつ、私は部屋を退出したのだった。


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