11. 雲蒸竜変(1)
軍議を終えた貴族達はそれぞれの私兵を取り纏め、単独、或いは規模の小さい者はどこかと連合した上で味方の救援へと赴いていた。
そして、それは当然王子より千の兵を預かっている私も例外ではない。
千人といえば小規模な中級貴族の私兵と同程度の兵力であるので私は単独でエヴァンジェリスタ伯の救援に向かうことになり、カルロの訓練により精強さを増した兵を率いて少し前にレールシェリエを出陣している。
エヴァンジェリスタ伯爵家は中級貴族の中でも平均的な広さの領地を持った家であり、動員可能な私兵の数は領地の場所や面積から推測するにおよそ二千人程度だろうか。
当主のセラフォンテ・エヴァンジェリスタは王子達の逆クーデター計画に加わっていたのでやむなく挙兵したのだが、領地がこちらの進路からは大きく離れているので途中で合流することが出来ず、こうして救援に向かう必要が出ているのだ。
戦いになるか、或いは敵が到着する前に合流してレールシェリエへと撤退することが出来るかは分からないが、もし戦うとすれば相手は周囲の現宰相側貴族だろう。
現宰相当人はまだ悠然と軍を編成しているとの報告をクララから受けているので、出てくることは無いと見ていい。
あちらの編成など分からないが相手にするのは多くても五千、少なければ二千程度であると思われるし、その程度の戦力差であれば勝利は容易い。
むしろ、私が見据えているのはその後のことだ。
私が率いる部隊の内訳は歩兵が六百に騎兵が四百。
この機動力に優れた編成を生かし素早くエヴァンジェリスタ伯を救援してレールシェリエへと送り出した後、各地を転戦して局地戦での勝利を重ねるつもりだった。
私の名声と功績を高めつつ、現宰相の求心力を下げられるのだから一石二鳥であるし、相手側についた貴族の領地をいくつか落とすのもいいかもしれない。
クララの力によって最新の情報を常に手に入れられる私ならば、敵の動きの裏をかくことも不可能ではないのだ。
なので彼にはレールシェリエに留まって敵の状況を集めて逐次伝えるように命じており、その可憐な姿はここには無かった。
一定時間おきにカルロ配下の密偵が情報を報告に来ているが、現在の目的地であるエヴァンジェリスタ伯爵家の付近では、彼らと現宰相側の貴族それぞれの私兵が断続的に干戈を交わしているらしい。
互いに軍勢の規模が小さいので戦闘そのものは小規模のようだが、とはいえ戦場では何が起こるか分からないので急ぎ救援しなくてはならないだろう。
自らの軍勢を率いて進軍する私の身体を通り過ぎていく風が、そして戦闘を控えた兵達が放つ張り詰めた空気がひどく懐かしく感じる。
軍勢の規模は比べ物にならないとはいえ、かつての私もこうした感覚を味わいながら戦場へと出ていたのだ。
とうに南部から出て現在は王国の中央部、目的地であるエヴァンジェリスタ伯爵家の付近にまで差し掛かっており、前世でも何度か通ったことのある周囲の景色もまた懐かしい。
青々と葉を茂らせた木々の枝に身を休める彩やかな体色の鳥達が目を楽しませ、風に揺れる緑の絨毯がその度に色合いを僅かに変える。
たとえ二百年が過ぎようとも、この国の自然の美しさは何一つとして変わっていなかった。
「敵の様子を探って参りました」
「ご苦労様。それでは、早速報告してもらえるかしら」
懐かしい景色、そして感覚の中にいる私に、今しがた隊列の中へと入ってきた一人の男が声を掛けてくる。
あらかじめ敵の位置や陣容を探らせていたクララ配下の密偵の一人だ。
通常偵察には斥候の兵を出すのだが、それでは敵の斥候に目視されてしまうので、こちらの存在が向こうに把握されてしまう。
普段ならば把握されても問題は無いものの、今回はそれを避けるために姿を隠すことを得意とする密偵に偵察を行わせていた。
「敵はバルトシュ伯とベドナーシュ伯の連合軍およそ四千二百、現在はこの先馬で二時間程の平原にてエヴァンジェリスタ伯の軍勢二千と散発的な戦闘状態にあります」
「そう、分かったわ。では、こちらが馬で一時間程の距離まで近付いたら敵に攻撃を仕掛けるようエヴァンジェリスタ様にお伝えしなさい」
「畏まりました」
進軍を続けながらも、馬上から密偵の報告を聞いて指示を伝える私。
馬で一時間ということは徒歩であればそれ以上の時間を必要とするということであり、そこまでであれば敵の斥候に発見される危険は無い。
指示を耳にして再び隊列から離れていく男を木々の陰に消えるまでの少しの間見送りながら、私は戦場へと近付いていく。
そして騎兵には負担にならないが歩兵にとっては若干の強行軍となるような速度で進軍し、二時間程をかけて私達はひとまずの目標としていた地点に到着していた。
やはり周囲には敵の斥候の姿は見えず、こちらの存在は敵に把握されていないだろう。
「歩兵は半数が左手の森に、残りは前方右手の丘の陰に伏せなさい。二、三時間後に退却する敵をここまで追い立てるから、適宜機を見計らって襲い掛かりなさい。歩兵の指揮は貴方と貴方に任せるわ」
疲労していればそれだけ力が落ちてしまうことは言うまでもないが、にもかかわらず歩兵に負担を掛けてでもここまで進んだのは、伏兵として配置するつもりだったからだ。
この場所で敗走、もしくは後退する敵を待ち伏せている間に十分に休めるだろうという判断だった。
私がこの場にいない間にそれぞれの部隊を指揮する者を将校の中から二人指名し、簡潔に指示を伝える。
ここ数十年この国では戦争が無かったので実戦経験はあったとしても賊徒の討伐程度だろうが、二人ともバルブロの下で育った将校なのできっと上手くやってくれるだろう。
指示を受けた二人は頷くと、早速任された三百人ずつの兵を取り纏め、素早く姿を隠していく。
「騎兵は私と共にこのまま進むわ。ついてきなさい」
特に伏兵の手際や方法に問題が無いことを見届けると、私は残っている騎兵達に命を下す。
そしてヴァトラの首筋を撫でると、戦場を目指して軍勢は疾駆を始めたのだった。
ロープウェイに乗っているような速度でゆっくりと後方へと流れていく景色を眺める。
疾駆とは言えども、別に全力で駆けさせている訳ではなく小走り(もちろんヴァトラ基準の小走りではない)程度だ。
無論これは馬に必要以上の疲労を与えないためだが、速度をかなり緩めているために、普通に疾走して残りおよそ二十分の距離に到着するのにここまで倍の四十分程度を要していた。
馬で二十分の距離であればそろそろ敵の斥候が姿を現してもいいはずだが、しかしそれらしい姿は全く見当たらない。
恐らくこちらからの要請通りに少し前から戦闘が始まっており、そのために周囲への警戒が緩んでいるのだろう。
別に気付かれたとしてもそこから速度を上げればいいだけの話なのだが、とはいえなるべく近くまで接近しておいた方が都合がいいのも確かだ。
ひとまず、ここまでは計算通りだった。
「さあ、ここからは一気に進撃するわよ。皆、私に続きなさい!」
振り返ってそう大きくはない声量を振り絞るように号令を掛けると、私はヴァトラを疾駆させる。
もちろん彼女が本気で走ると並みの馬など遥か後方に置き去りにしてしまうので七割程度の力だが、それでも全速を出す他の馬と変わらない速度を出してみせるヴァトラに引っ張られるように、騎馬隊は最高速に到達した。
軍が通れるような街道は整理されているものの、この辺りには森が多く、疾走する私の左右では緑の木々が高速で後ろへと流れ去っていく。
さすがに両軍が交戦している場所は平地なのだが、そのかなり近くにまで森は続いている。
つまり、見通しがよくないので伝令からの報告を受けない限りはかなり接近するまで敵はこちらの存在に気付かないということだ。
この勢いそのままに、無防備な敵の後背に突撃すれば勝利は容易い。
連射が可能な銃火器が存在していたり、それが無くとも数十万を率いるようなもっと大規模な軍事行動になれば話は別だが、銃火器そのものが未だ存在しないこの世界において、こういった規模での戦いで最も有効な戦術は機動力を生かした各個撃破だ。
恐らく地球史上最高の指揮官の一人であろうアレクサンドル・スヴォーロフはそうして生涯不敗という不世出の偉業を成し遂げたし、フランス革命の落とし子であるかのナポレオン・ボナパルトも敵の集結前を狙った素早い進撃によって最終的に没落したとはいえ一時は皇帝にまで昇りつめてみせた。
要は敵が戦闘に備えていない隙を狙って奇襲すればいいのであるし、今はバルトシュ伯爵とベドナーシュ伯爵の軍勢が合流しているが、そうであるならば奇襲による優勢を生かして上手く両者を各個撃破出来る状況に持ち込めばいい。
そうしているうちに森が遂に途切れ、こちらに無防備な後ろ姿を晒した四千の軍勢が見えた。
左右に二つ並ぶようにして二つ陣があり、向かって右側にはバルトシュ伯爵家の、左側にはベドナーシュ伯爵家の家紋が描かれた旗が翻っている。
「旗を掲げなさい!」
隠密性を重視するためにこれまで旗を掲げていなかったが、この距離にまで近付いてしまえばもう関係ない。
後ろを向いた私が旗手に旗を掲げるように命じると、それに従った彼の手によってシックなベージュ地に彩やかに紅いダリアの花が描かれた旗が大きく翻った。
旗というのはその下で戦う兵士達の誇りや心理的な拠り所となるだけでなく、こちらが誰の軍勢なのかを敵味方に示したり、乱戦の中で兵に味方の場所を教えたりと、かなり重要な役目を持っている。
だが、あくまでこれは前世を引きずった私の復讐であり、間違っても無関係な両親を巻き込む訳にはいかない。
万が一私が敗れたとしても両親に累が及ばないようにアネットに命じて手は打っているが、そうであるからには実家であるオーロヴィア家の家紋を描いた旗を使うことは出来ないのだ。
しかし軍勢を率いる以上旗は必要なので、私は何かと思い入れが深い花であるダリアをモチーフとした紋を使うことにし、レールシェリエで染物師に図案を渡して作らせていた。
軍勢の誇りである旗を預けられる旗手は名誉ある役目であり、決して誰にでも出来る訳ではない。
当然ではあるが旗を持っていればそれだけで片手が塞がってしまうし、単純に遠くからでも見えるような巨大な旗にはそれに比例した重量が存在している。
つまり旗手には旗を片手で掲げ続けられるだけの膂力の強さと、片手を塞がれながらもう一方の腕だけで敵と戦えるだけの腕前が求められるのだ。
その両方を満たした男によって天に突きつけるように高く掲げられた旗は、こちらの存在を敵陣の向こうにいるエヴァンジェリスタ伯爵の軍勢にまで示す。
ヴァトラが一歩進む度、こちらの接近に気付き動揺を見せる敵兵の姿が次第に大きく見える。
だが、ここまで近付いたのだから今更慌てたところで遅い。
私が馬首を向かって左側のベドナーシュ伯爵家の旗の方へと向け、少し速度を緩めると、四百騎は私を囲むように少し前に出て敵陣に突入する。
大きな衝撃を受けて、瞬く間に壊乱する陣形。
「カルロ、このまま真っ直ぐに突撃するわ。貴方はベドナーシュ伯爵を捕らえて」
「お嬢様の仰せのままに!」
傍らで先日プレゼントした剣を振るうカルロにそう命じ、戦場の懐かしい雰囲気を全身に感じながら私は直線状にヴァトラを駆けさせる。
まるで矢のように敵陣を抉り、微塵も勢いを落とさぬままあたかも無人の荒野を進むように進み続ける私達。
カルロがこちらに向かってきた敵の騎兵を、肩の辺りから鎧ごと斜めに斬り捨てる。
いくら温まっているとはいえ鉄で作られた鎧を切り裂いてみせる彼の腕は並外れているし、そのように使ってなお微塵も欠けの無い剣もまた素晴らしいものであると言えるだろう。
一人、二人と彼の凄まじい剣技によって前方に道が切り開かれ、瞬く間に敵陣の中央近くにまで辿り着くと、少し先に馬に乗った身なりのいい中年の男の姿が見える。
間違いなく視界の先で顔色を真っ青にして慌てふためいている彼がベドナーシュ伯爵だろうと判断し、そちらへと向かっていく。
数秒後には彼の元へと辿り着き、カルロが鏡のように研ぎ澄まされ陽光を反射して輝く剣の腹で首筋を打つと、その衝撃で気絶して崩れ落ちる。
力が抜けた身体が地面に触れる前に後続の兵が腕を掴んで馬上へと引きずり上げ、身柄を確保した。
これまで、前後から挟み撃ちにされて壊乱状態となった中でかろうじて陣営を保っていたベドナーシュ伯爵の軍勢は、指揮官を失ったことで完全に瓦解する。
武器を捨てて降伏する者、そのままどこかへと逃げ出す者、或いは隣で未だ健在であるバルトシュ伯爵家の陣へと逃げ込む者。
抵抗が急速に止んでいくのを見計らい、私はその場に停止した。
バルトシュ伯爵家の兵は友軍が無力化されたために単独でエヴァンジェリスタ伯爵の軍勢に対処しなければならなくなったが、真横に私達が位置していることにより大きな圧力を受けている。
そこに横合いから味方が突っ込んできたことにより大きく陣形を乱しつつも、どうにか後退していく敵軍。
こういった場合勝利を収めるには双方の指揮官を捕らえる必要があるが、こちらは四百騎しかいないので軍を分けて双方に突入することは出来ない。
背後からの奇襲で潰走させられるのは片方だけであり、その頃には残りの一方はある程度混乱から立ち直っているので、無理にこの場で戦えば勝利することは出来るが犠牲がかなり大きくなってしまうだろう。
向こうも踏み止まって徹底抗戦しようとはせずに撤退を試みるだろうと思っていたが、これもまた予想通りの展開だ。
こちらから攻め掛かることはせず、兵を束の間休ませるのも兼ねてじりじりと追撃するエヴァンジェリスタ伯爵家の私兵が近付いてくるのをその場で待つ私。
そして横合いにまで前進してくると、騎兵に守られた伯爵本人と思わしき男へと馬を近付けて隣に並ぶ。
「お初にお目にかかります、エヴァンジェリスタ様。殿下の命により救援に参りました、サフィーナ・オーロヴィアですわ」
「おお、此度は救援を感謝しますぞ! どうにか支えていたが、オーロヴィア殿が来られなければどうなっていたことか……おっと失礼、私はセラフォンテ・エヴァンジェリスタです」
口を開き、馬を並べた彼と挨拶を交わす私。
兵数で上回られた敵軍を相手に苦戦を強いられていたのだろう、その口調には安堵の色が濃く現れている。
「まだ敵は残っておりますわ。引き続き追撃致しましょう」
「しかし、仮に領地にまで押し込んだとしても奴の館を落とすだけの兵力はとても……。だからといってこのままぶつかったとしても犠牲が大きくなり過ぎるであろうし」
「ご安心ください、このままの速度を保ちながら進んでいただくだけで構いません。後はこちらでどうにか致しますし、そちらに無用な犠牲は出させませんわ」
どうせやるからには誰の目にも鮮明な勝利を飾らなければ私の目的は達成出来ないし、こちらが劣勢であるという人々の印象を変えることも出来ないだろう。
鮮烈な勝利が伝われば、兵力差によってこちらにつくことを躊躇している者達の心を少しは揺さぶることが出来るかもしれない。
そのためにもここで派手な戦果を上げておきたいが、戦いによって数が少し減っているとはいえ、この状況においてセラフォンテの持つ二千の兵は相手にとっては大きな脅威に映るはずだ。
無いなら無いで単独でどうにかはしてみせるが、敵の意識を引きつけるための囮として動いてくれた方がより楽なのは確かだった。
「分かりました、そういったことならば協力致そう」
「感謝致します。では、距離を保ち圧力を掛けつつこの先の街道の先に押し込んでください。無論、私も同行させていただきます」
そう伝えて、開戦前から全く数の減っていない騎兵の元へと戻る私。
エヴァンジェリスタ領軍の横に並ぶように位置し、同じ速度を保ちながら私達も敵軍の後ろを進む。
こちらの存在を強く警戒しているために速度はかなり緩やかであるが、しかしバルトシュ伯爵の軍勢はじりじりと着実に退いていく。
それが数十分程続き、やがて敵軍があらかじめ歩兵を伏せさせておいた辺りに差し掛かる。
私達の方に注意を取られているために伏兵の存在に全く気付いていないらしく、無防備な横腹を見せながらその近くを通り過ぎていく彼ら。
いつ襲い掛かるのかについてはそれぞれの指揮を委ねた将校に任せているので、混乱に乗じてすぐに動けるように備えておく。
そして、敵の縦に伸びた陣形の先頭が私から見て右側奥の森を通ったタイミングで、そこに伏せていた歩兵達が立ち上がり襲い掛かる。
いきなりの襲撃に再び混乱をし、僅か三百の兵に押される敵軍。
しかし、動くにはまだ早い。
先頭から伝わった混乱が次第に後方へと伝わっていくのを見計らって、丘の陰にいた伏兵がすぐ横の本陣を狙い左側から攻め掛かった。
再びの不意打ちを受け、しかも本陣の付近がかき乱されているために混乱が止められなくなり、敵の陣形は崩壊寸前にまで陥っている。
素晴らしい指揮を見せてくれた将校達により見計らっていた絶妙な好機が訪れたとなれば、これを逃す理由は無い。
「これより突撃するわ。真っ直ぐに敵陣を突破しなさい」
疾駆を開始した私達はエヴァンジェリスタ領軍の前に躍り出ると、勢いをそのままに敵陣へと突入する。
既に算を乱していた軍勢はとても脆く、ほとんど抵抗らしい抵抗も見せないままに蹂躙を許す。
逃げ回る間もなく打ち倒されていく敵兵。
中央を突破して反対側に出ると、その一撃によって止めを刺された形となり敵の陣形は完全に崩壊した。
近くにいる初めに襲い掛かった三百と合流して共に再び攻め掛かると、勝利を確信したらしいエヴァンジェリスタ領軍も前進して攻撃を開始する。
前方には私達の七百、後ろにはセラフォンテの二千、そして右には伏兵の三百。
半ば包囲され、未だ本陣に攻め掛かられているせいで崩壊した陣形を立て直すことも叶わず、しかも唯一こちらの兵のいない左側には丘が逃げ道を塞ぐ。
兵達が次々と武器を捨ててこちらに投降していく中で、まさしく八方塞がりの状態に陥ったバルトシュ伯爵は降伏を決意したらしく、本陣の辺りを中心に続いていた抵抗が完全に止む。
こうして、私の現世における初陣は完全な勝利に終わったのだった。




