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2. 軍議

 康寧。

 目指していたカスタニエ子爵家の屋敷の近くにまで辿り着いた私の瞳に写った風景を形容するには、その言葉がぴったりだった。

 少し先に建った領主の館と、それを囲むようにして城下町のように立ち並ぶ王都とは違い木造がほとんどの民家などの建物。

 更にその外側には、視界のずっと向こうまで青々とした麦畑が延々と続いている。

 街並みは村と町の中間のような規模であり然程活気がある訳ではないものの、小貴族の領地であれば大抵は同じだろう長閑さの中を生きる人々の表情は、しかし決して暗いものではなかった。

 元々このベルフェリート王国自体がかなり豊かな国であるということもあって、誰も日々の食事に苦しんだりはしていないように見える。

 領地こそ広いもののその生産力を遥かに上回る程の私兵を持っている辺境伯家などは例外だが、基本的に領民の食べるものはその領地の中で賄わなければならない(大貴族である辺境伯家とは異なり小貴族は貧しいので食糧を輸入するのも困難だ)にもかかわらず例えば私の実家は百人規模の私兵を維持していると言えば、いかにこの国が豊かかが分かるだろう。

 国土自体が比較的温暖な気候の場所に存在していることに加え、全体的に農地に適した平地が多く、内陸国であるものの大きな河川が何本も流れているために魚介類もそれなりに獲れ、ここからずっと南に行った最南部では川を伝って南方諸国との貿易も行われており、更には歴史が長い国なので開拓と間伐により程よい具合に管理されながら広がる森からも恵みが受けられる。

 もっと国土が広い国やより豊かな国も世界には存在しているものの、しかしそれでもこの国の反映ぶりは少なくとも私が知る限りでは上から数えた方が早いくらいだ。

 だからこそ、二百年もの間技術面において進歩も退化もせず硬直を続けてきたベルフェリート王国は滅んだり国土を蚕食されたりすることなく存続することが出来ているのだった。

 そんな豊かな国の一部であるカスタニエ子爵家の領地は、軽く見た限りではありふれた小貴族の領地といった感じの印象であり、とりたてて特筆すべきようなことは見当たらない。

 ということは保持する兵力も実家と同じ百人程度だと思われ、近衛隊と合わせてもせいぜい二百人にしかならないのでいささか心許ない。

 ただ一つだけ違和があるとすれば、街並みの外側に鎧を着て武装した兵士達が館に背を向けて立っていることだろうか。

 当然だがこちらの到着を知らせる旨を先駆けとして既に送ってあるので、支度をして出迎えに出てきているのだろう。

 私兵達は王子を出迎えるように子爵と思わしき騎乗の男を中央にしてこちらの正面に並んでおり、私達が先に進んでいくとその場に跪いて王子へと拝礼する。

 ただ一人馬に乗っていた子爵のみは、馬上の身のまま拝礼をした形だ。


「殿下、よくぞご無事で!」

「出迎えご苦労。早速だが、どこか建物を貸して兵達を休ませてやってくれ。皆、強行軍で疲れている」

「おお、配慮が至りませんで申し訳ございませぬ。早速屋敷に案内致しますので、殿下も御身をお休めくだされ」

「俺はいい。このような状況で悠長に休んではいられんからな。どこか、軍議を開ける部屋に案内してくれないか」

「畏まりました。……ルギオ、お前は近衛隊の者達を営舎に案内してやってくれ。殿下、どうぞこちらへ」


 ここまで来るのに通常の行軍であれば四日は必要だろう距離を、極力休息を減らしたかなりの強行軍により三日弱で進んできている。

 さすがに皆訓練を受けているだけあって隊列が乱れたりはしてないが、しかし彼らの顔に浮かぶ疲労の色はとても鮮明なものだった。

 元よりかなり急なことであり、事前に準備など全く出来なかったのだから仕方のないことだろう。

 休息の必要があることを王子も分かっているらしく、早速子爵にそのことを命じていた。

 子爵は自らの私兵の隊長と思わしき男に指示を下し、それに従った男に先導されて近衛隊と私兵が護衛のために残った近衛の一部を除いて街並みの中へと向かっていく。

 やがて彼らが建物の陰に姿を消して見えなくなると、王子がふとこちらを振り向く。


「サフィーナ、お前も休むといい。女の身でここまで駆けるのは辛かっただろう」

「いえ、殿下がお休みになられる前に私だけ休む訳には参りませんわ。微力ではありますが、私も同席して殿下のお力になりたいのです」


 休むように伝えてきた王子の言葉を拒絶する。

 確かに貧弱なこの身体ではこれまでの行軍はかなり辛いものがあったし、実際気を抜けば眠ってしまいそうなくらいに疲れ果ててしまっているが、それでもここで休む訳にはいかない。

 ここで休んでしまえば、最悪の場合今後出席する貴族が増えた際に難癖をつけられて軍議に顔を出すことが出来なくなる可能性もある。

 これから軍議があるのであれば、何としても私も出席して勢力の一角としての立場を今のうちに既成事実にしておかなければならないのだ。

 心の中で今も暗く燃える憎しみの炎だけを支えに、どうにか意識を繋ぎ止めて身体を動かす。


「そうまで言うなら構わんが、決して無理はするなよ」

「殿下にご心配いただけたこと、身に余る光栄ですわ」


 前世の私は、そもそもクーデターを起こされるような隙があったから死ぬことになったのだ。

 ただの令嬢でいられた今まではともかく、これからはもう決して誰にもどんな形でも隙など見せるつもりは無い。

 疲労の色など絶対に表に出さないように、普段通りの様子を演じ通さなければ。


「殿下、失礼ながらそちらのお二方は何方ですか?」


 当然のように殿下の傍に控える私と近衛隊長を見て、訝しげに尋ねるカスタニエ子爵。


「この少女はオーロヴィア家の長女のサフィーナだ。王都を追われていた俺の下に一番乗りしてくれた」

「サフィーナ・オーロヴィアですわ。微力ですが、殿下のお力となるために参りました」


 馬上なので、軽く頭を下げるだけの礼をする私。


「こちらは新たな近衛隊長として選出したディートハルトだ。前任は宰相の一門だったからな」

「ディートハルト・クレヴィングです。無作法者ですが、宜しくお願い致します」

「いえいえ。私はフェリシス・カスタニエ。お二方とも、共に殿下をお支えする者としてよしなに頼みますぞ。では、案内致しましょう」


 互いに名乗りを交わし合うと、子爵は馬首を翻して館の方へと私達を先導する。

 館とは言っても現代日本にあるようなそれではもちろんなく、櫓が建っていたり周囲に堀や壁が張り巡らされたりしていて、地球で言うところの西洋式の城に近いような軍事拠点となっていた。

 絶対的に兵数が足りないし規模も小さいので頼りないとはいえ、やはり拠点の中で護られているという安心感は大きいので、皆今夜はゆっくりと休むことが出来るだろう。

 そして、王子を館に迎え入れたカスタニエ子爵の功績はかなり大きいものになる。

 一番乗りで参じた私の功績もかなりのものになるはずだが、彼の功績もまたそれと同じくらい膨大なものだろう。

 もちろん王族であるからには自分が最初に向かった先の領主が大功を得ることになることは分かっているはずだ。

 不測の事態でありさすがに誰が最初に参じるかまでは王子も予想出来なかっただろうが、しかしそれとは違いどこに向かうかは現実的に考えた選択肢の幅はあるにせよ自らの意思によって決めることが出来る。

 その上でここをひとまずの落ち着き先に選んだということはそれだけ王子が子爵を信頼しているということであり、つまりはこの先起きるであろう王子陣営内での主導権争いにおいて私の有力な政敵になり得る人物だということだ。

 今が初対面であるしあまり著名な人物でもないので能力までは分からないが、少なくともこうして王子を迎え入れている時点でただ私欲だけを追求する小人物ではないことは明らかである。

 軍服を纏った男の背中を見つめながら、私は彼の動向を警戒することにしておく。

 私にとって幸いなのは、彼が百人程度の兵しか持たない小貴族である点だろうか。

 仮に王子を受け入れたのが数千人から万単位の私兵を抱える中級貴族であったならば、私は為す術も無く主導権を奪われることになっていただろう。

 或いは、自らの力が弱い段階であまり貴族達に大きな力を持たれ過ぎることを嫌って、王子は敢えて小貴族であるカスタニエ子爵の元を選んだのかもしれない。

 そのようなことを考えているうちに、門の近くへと辿り着く。

 城壁の周囲に掘られたそれなりの幅の堀には近くに流れる川から引かれた水が満ち、その上に掛けられた木製の橋の上を私達は渡っていく。

 開け放たれたままであった門を潜り館の敷地内へと入ると、子爵の私兵が扉を鎖す。

 右手の方向には営舎と思わしき建物があり、近衛の兵達もそこで休んでいるようだ。

 さりげなく周囲の様子を観察している間にも馬は歩を進め、程なく館の入り口の前まで来ると馬上から降りて馬を預ける。

 ここまで運んでくれた感謝を込めて首筋を撫でてやると、黒馬はどこか嬉しそうに身を震わせながら馬小屋へと引かれていった。

 恐らくこれからも私の助けとなってくれるはずなので、軍議が終わり休み終えたらあの子の名前も考えておかなければならないな。


「こちらでございます」


 閉ざされていた扉が両脇に歩哨していた兵によって開かれ、私達は石造りの建物の中へと足を踏み入れる。

 内装は、家が違うのでデザインこそ異なっているものの、用いられているものの格などはおよそ私の実家と同じ程度だ。

 母がデザインした実家の館はそれ程高級なものを使っていないにもかかわらず優雅さや気品が感じられたが、この屋敷の場合はいい意味で落ち着いているような趣が強い。

 床に敷かれた絨毯を踏み締めながら、子爵の背に続いて歩き進んでいく私達。

 敵に侵入された際のことを考えてか入り口から遠い廊下の端に作られている階段を昇り三階へと向かうと、彼は並んでいる扉のうちの一つの前で足を止めた。


「お入りください」


 貴族は私兵を率いて戦わなければならないため、当然軍議のための部屋も持っている。

 ここがその部屋なのだろう。

 開かれた扉の先に広がる広い部屋を視界に収めつつ、私は王子の後に続いて入室したのだった。









王子と子爵が先に室内へと入った後、私は自らも続く前に背後を振り返る。

そこに立っているのは、カルロとクララの二人。

もちろん中には入れないものの、彼らは私の護衛の役目を負っているために扉のすぐ外で待機していることになる。

だが、その役割は侍従であるカルロ一人で十分だ。

密偵であるクララには、別に頼みたいことがあった。


「クララ、今のうちにカスタニエ子爵の動向について調べておいてもらえないかしら。万が一現宰相と繋がっている気配があれば報告して頂戴」

「お嬢様のお心のままに」


周囲に聞こえないような小声で命を下すが、しかしかなり小さな声量であったにもかかわらず密偵である彼は耳がいいのか、或いは読唇術でも使っているのかきちんと聞き取ってくれる。

彼は同じく周りに悟られない形で頷くと、カルロと同じように扉の脇に立つ。

そのまま、何食わぬ顔で室内へと入っていく私。

背後で扉が閉まる音を聞きつつ周囲を見回すと、皆既にそれぞれの席に腰を下ろそうとしていた。

指揮官が座る場所には、当然王族である王子。

そしてその次に地位が高い者が座る席には近衛隊長が腰掛ける。

近衛隊の兵は騎士扱いであり、そのトップに当たる近衛隊長は騎士団長と同格、つまり貴族に換算すれば最高位である公爵に当たるのだ。

言うまでもなく私や子爵よりも高位になるので、新任とはいえ彼がそこに座るのは当然だろう。

だからこそ、私が一時的に任命権を預かり彼を任命出来たことは願ってもない程の僥倖だった。

実際の兵力ではともかく、格で言えばこちらの陣営で最も高い近衛隊長に対して一定の影響力を確保することが出来たのだから。

次の場所に子爵が座り、私は最後となる。

私は爵位持ちではないのでこの中で一番格が下であることは確かであるし、宮中とは違い戦地では序列によって発言権が低くなったりはしないので別に構わない。

これから功績を重ねていき、内乱が終わった時王子に次ぐ場所に私がいればいいだけだ。


「まず、近隣の諸侯に使者を送ってくれ。何人が集まるかは分からんがな」


全員が腰を下ろすと自然と軍議が始まり、初めに王子が口を開く。

従軍した記録が無いので(そもそも王子がある程度の年齢になって以降この国では戦争自体が起きていない)これが初陣になるであるはずだが、指揮官の席に座るその姿は不思議ととても馴染んでおりどこか軍勢を率いる者としての貫禄のようなものも感じられた。

とりあえず味方を集めるということで、檄文でも配るというのはなかなかにいい発想だろう。

このような形で事態が動き出し、計画の存在が露見した可能性があるからには、参加していた貴族達は日和見など出来ないので嫌でも挙兵せねばならない。

なので策謀の進行度に応じてそれなりの数は集まるだろうが、しかしそうではない貴族達が応じるかといえば疑問だった。

確実に敵に回るだろう現宰相の一派だけでもこの国の総兵力の過半数を占めるのだ。

家名を守るため、ほとんどの貴族はあちら側につくだろうし、それを責めることも出来ない。

だが、それでも少数派ながらも王室に忠誠心を持つ貴族であればこちら側についてくれる者が出てくる可能性も皆無ではない。

こちらの正当性を主張するという意味合いもあるし、ぜひやっておくべきだろう。


「檄文は如何なさいますか?」


案自体には反対のしようがないので、そこから一歩踏み込んで尋ねる。

功績はもちろん、こういった場面で執筆を任されるというのはそれなりの名誉なので、誰が書くのかという問題が出てくるのだ。

もっとも、その役を出来る人間が子爵か私しかいないので、必然的にどちらかに役目が回ってくることになるのだが。

昔は宰相としての仕事をしていたので文章にはそれなりに自信があるし、どうせなら私が書きたいところだ。


「二人とも草案を明日までに用意しておいてくれ。推敲している時間など無いからな、出来がいい方を採用する」

「畏まりました。きっと殿下にご満足いただきますわ」


王子の答えは、およそ妥当な落とし所だろう。

答えを返しつつも、早速頭の中で文を組み立てていく。


「何か提案はあるか?」


本来であれば参謀もしくは副官が場の進行役を務めるのが普通であり、国王による親征となればその役割は宰相の地位にいる者が果たすはずなのだが、今回はその宰相が敵であるために王子が自ら行っていた。

僅か二百人の兵ではまだ軍事行動など起こせようはずもないし、ある程度貴族達が集まるまでは特にすべきことも無い。

それは子爵の側も同じらしく、王子の問いに対し沈黙する私達。


「無いようなら終わらせようか。子爵、俺とサフィーナを部屋に案内してくれ」

「少々お待ちくださいませ」


王子が子爵の方を見て口にすると、彼は席から立ち上がり部屋の隅にあった二本の紐のうちの片側を引く。

通常の部屋であれば使用人達が控える部屋に繋がる紐のみがあるものだが、こういった部屋では軍人を呼ぶ要件もあり得るので紐が二つ用意されているのが普通なのだ。

天井裏を通りどこかの部屋の鐘に繋がっているであろう紐が引かれると、その一分弱程の後に入り口の扉が外から叩かれる。

子爵が入室するように声を掛けると扉は開かれ、この家の使用人らしき男が姿を現す。


「こちらのオーロヴィア嬢を、空いている部屋に案内して差し上げろ」

「はっ。ではオーロヴィア様、ご案内致します」

「ありがとうございます、カスタニエ様。……では、お任せするわ」


一度子爵に礼を告げると、声を掛けてきた使用人に言葉を返す。

彼の背に続いて外に出ると、扉の側に立っていたクララは既にどこかへと姿を消していた。

きっと今頃は調査に取り掛かっているだろう。

王子は信頼しているようだが、その根拠が私には分からない以上無条件に子爵を信用するつもりなど無い。

近衛隊も城壁の内側にいるのでそうなったとしてもどうにかはなるだろうが、最悪の場合迎え入れた振りをして捕らえて公爵に引き渡そうとする可能性もある。

戦いの中で死ぬのならまだしも、そんな前世と同じような最期など迎えたくはないので、もしも現宰相との間に何らかの連絡を交わした痕跡があったならば対処しなければならない。

無論、そのような事態にならないのが一番なのだが。

依然として残っていたカルロはこちらに礼をすると、そのまま私の後ろに続いて歩を進める。

やや殺風景ではありながらも最低限の家具や美術品は置かれているために落ち着いた雰囲気を纏わせる廊下。

幾何学的な意匠で装飾された窓枠の向こうからは陽光が差し込み、床に敷きつめられた薄いブラウンの絨毯を照らしていた。

それを踏み締めながら行きと同じ道を逆方向に歩き進むと、突き当たりにある階段を昇り三階へと向かう。

万が一門を突破された際の戦闘に備えてか特に無骨だった一階とは異なり、視界に入ったそこは先程見た二階と特に変わらぬ様子だった。

数歩ごとに陽射しに横顔を照らされつつもすぐ前を歩く男の背に続いていくと、彼は豪華でこそないもののかなりの長さを持つ廊下の中央近くにある部屋の前で足を止める。

そして扉を開くと、私の方を振り向いて礼をした。


「此方でございます」

「ありがとう。しばらく使わせていただくわ」


そう言うと私は室内へと入り、履いていたハイヒールを脱ぐ。

次にカルロが入ると外から扉が閉められ、彼はドアノブの少し上部にある鍵を掛ける。

軍議の際にしばらくの間座っていたために、足に溜まっていた疲労が痛みへと変わりつつあり、脱ぐために身体を屈めた際に太腿に走った筋肉痛に少し表情を顰めてしまう。


「カルロ、貴方も休みなさい。クララが戻ったら、彼にも休むように言っておいて」

「畏まりました。失礼ながら、酷くお疲れなのではないかと存じます。どうか存分にお休みください」

「ありがとう。貴方もゆっくりと休まなければ駄目よ」


成人していようとも貴族の女性には侍従が護衛として付き従うので、どんな貴族の屋敷にも女性貴族を出迎える時のための侍従用の部屋が付属した部屋が用意されている。

この部屋もそんなものの一つであるらしく、入って右側には小部屋が二つ用意されていた。

クララはこの場所を知らないが、彼であれば自力で見つけることくらい容易だろう。

私はカルロに休むように告げつつクララへの言伝を預けると、そのまま奥へと進み大きなベッドの淵へと腰を下ろす。

……もうこれ以上耐えられそうにない。

倒れ込むように背を白く柔らかなシーツに預けると、強い眠気と勝手に閉じていく瞼に意識を委ねた。

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