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22 呼び出し※アリス視点






ユージンとの出会いを果たしたアリス・カルチャーシは歓喜に震えていた。

何故なら「癒して☆愛されて」のゲームに出てくる隠しキャラクターが遂に出てきたからだ。


アリス・カルチャーシ、基、神田 梓はトラックに轢かれた記憶を最後に、西洋系のファンタジー世界によくあるような外観をした場所で目を覚ました。

転生物定番らしく赤ん坊からスタートしたわけではなかったが、鏡に映る自分の顔を確認した梓は自分がよくやっていたゲームの世界に生まれたことを悟る。

よくやっていたといっても攻略が簡単なキャラクターから順番にクリアしていって、最後は隠しキャラクターだと張り切っていた時にトラックに轢き殺されてしまった為、隠しキャラクターの攻略は一度も出来ていない。

だがTUBEという動画サイトで隠しキャラクターの存在を見た瞬間、マジでタイプ!絶対クリアしたい!と叫んでいたくらいにそのキャラクターが好きだった。

攻略するという夢が叶うことはなかったが、ゲームの世界に入り込んだということはつまりはそういうことなのだろうと、梓はアリス・カルチャーシとして、隠しキャラクターと出会うまで奮闘することを決めたのだ。


TUBEでは他のキャラクターを攻略し終えた時、隠しキャラクターも現れると解説していた為アリスは頑張って一人一人を攻略していった。

だが王太子である王子だけが出会いシーン以外全く見つけることが出来ず、このままだと攻略した中から誰か一人だけを選ぶストーリー展開になってしまうと焦っていた時だった。


TUBEで見た美しい男性がアリスの前に現れたのだ。

しかも最初から笑みを向けてくれるということは、好感度もあるということ。

ゲームと違ってアリスは癒しの力が使えないが、魅了の力はそのままあるということに気付いたアリスは、隠しキャラクターも簡単に攻略できるかもしれないと意気込んだ。





隠しキャラクターと出会えたんだから、再開するのだって簡単でしょーとテンション上げ上げで学園を彷徨っているアリスは一人の女性に声を掛けられた。


(あ、こいつカリウスの婚約者じゃん)


暗めの茶髪を束ねることなくそのままに、意志の強そうな瞳は真っすぐアリスを捕らえていた。


(ぶっちゃけ見た目からしてダメなのよ、アリエスは。カリウスは可愛いものが好きなんだから)


キツい印象を与えるアリエスの見た目は、可愛い見た目のアリスにとってプラスに働き、簡単に婚約者を奪える結果に終わった。

ゲームのようにアリスに直接文句を言いに来たりはしなかったが、それでも婚約者のカリウスには伝えたらしい。

アリスはカリウスからその話を聞いたとき、変だなとは思ったが、実際に文句を言いに来られても対応が面倒だった為、来なかったらそれはそれでいいと思っていた。


「えっと、……ナニカ用ですか?」


少しだけ片言になってしまったアリスはアリエスに尋ねると、アリエスは気にすることなく答える。


「あなたにお話がありますの。時間をいただけますか?」


「あー、はい、……いいですよ」


ぶっちゃけアリスは面倒くさくてたまらなかった。

だがこれも攻略のためと割り切ることにした。

今まで対立する婚約者相手となんのイベントも起きていなかったのだ。

運良く隠しキャラに会えたとしても、王子のように出会えないバグが発生するかもしれないと考えたのだ。


アリスは適当に返事をして、前を歩くアリエスの後ろをついて行った。

こんなイベントあったかな?でも今までだってイベントそのままだったわけじゃないし、とアリスは悶々と答えの出ない疑問を考える。


そしてついたのは食堂だった。


中には攻略した三人の男性と、その婚約者たちが向き合うように座っている。

なんだか嫌な予感がしたアリスは一番頼もしそうな肉体をしているカリウスのもとへと駆け寄ろうとした。






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