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21 準備



話しあいを終えたアリエスたちは決戦の日に向けて各自動き出した。


エリザベスは事情を王妃に伝え、王太子殿下に宝石を飲ませる許可を取りつつ、予め決めた日取りの予定を殿下に開けてもらう。

そしてアリスが如何に無作法なのかを根気よく説明した。

宝石を飲み込ませるまでは全く理解されなかったのにもかかわらず、飲みこんでからはあっさりとアリスの言動が如何に貴族令嬢として相応しくないことかを理解してくれたことでエリザベスは涙を流して喜んだ。


マリアとキャロリンもエリザベスと同様に宝石を飲み込んでほしいと婚約者に伝えたが、あっさりと拒否。

ならば殿下の指示と伝えアリエスたちと決めた日程に来るように呼び出した。

後日裏どりをされることになったが、既にエリザベスから事情を聞いていた殿下はマリアたちの言葉が真実だと認めたことで、マリアとキャロリンはホッと胸を撫で下ろす。

殿下が認めず、そして勝手に王族の名前を使ったことが分かれば罪にとらわれてしまうことだってあったからだ。


アリエスもカリウスに同様のことを伝えたが、同じように宝石は拒否されてしまう。

それでも呼び出すことには成功した為、隠れてとっていた彼らの密会現場を全て印刷していった。

無意味に終わるかもしれないが、それでも今まで溜めてきた証拠写真を彼らに見せつけてやりたかった。

マリアたちをあんたらが傷付けたんだぞと、伝えてやりたかった。知ってほしかった。


そんな姿を両親に見られたアリエスは、一体どういうことだと問い詰めれる。

アリエスは仕方なく事情を話すと両親は驚いた。

ついでに録音していたカリウスの証言音声も追加で聞かせてやると、フルフルと震えながら怒りを見せてくれた。

うまくいっていたと思っていた筈のアリエスとカリウスの関係は、ただの虚像だったことがわかったからだ。

しかも娘を“お前呼ばわり”するだなんてと震え、カリウスの身を案じて宝石を飲み込むようにと伝えた娘に更なる暴言を吐くだなんてと瞳の奥に炎を燃やした。


そのままどこかに行ってしまった両親の姿にアリエスは首を傾げたが、きっとカリウスの両親へ怒鳴り込みに行こうとしてくれているのだろうと考え、それならそれで止める必要もないだろうと放置した。

何故なら話も聞かないカリウスなのだから、親にこってり怒られて欲しいとアリエスは思っていたからだ。


実際その考えは当たっていたが、アリエスから他の令嬢達も同じような目に合っていると聞いた両親は、その令嬢たちの親元に向かい、揃って婚約破棄を叩きつけてやろうと動いていたことをアリエスたちは知らない。

そしてその協力者にエリザベスも参加して、王妃にまで話がいっていることをアリエスたちは知らなかった。


そしてユージンは大量の宝石を買い集めていた。

アリエスから褒められることを期待して、男子生徒分の宝石を集めていたのだ。

勿論魅了が解けた従者と、まだアリスを見たことがないクラスメイトに宝石を手渡し、所持しているだけで効果があるのか確かめていた。

すると宝石の効果は確かで、所持さえしていれば魅了の効果は打ち消してくれることが判明した。

ならば早速動かねばとユージンは騎士クラスを表す剣と、一般クラスを表す筆を宝石に刻み加工した物を、クラスバッチとして学園に提供。

勿論ユージン個人からそのまま渡すとなると受け入れられない可能性があったため、エリザベスを通して王妃殿下から学園へと寄付をする。

王妃殿下からとあれば拒否するわけにはいかなかった学園は、寄付された次の日にはクラスバッチの交換がされた。

対象は男子生徒であるため、黒く輝く宝石はカッコいいと評判になるだけで、怪しまれることはなかった。


そんな感じで各自が決戦の日まで動いていた。


そして当日、約束通り一人できてくれたカリウスを始めとした婚約者の男性たちは食堂に着くなり何故お前がここに?と言葉を交わす。


本来ならば利用していない教室を使う予定だったのだが、万が一に備え、身を隠すために隠れる場所が広い食堂へと切り替えたのだ。


カリウスたちは待ち構えるように静かに座っていた女性たちに気付くと鼻で笑った。

食堂で待っていたのは宰相候補カルンの婚約者マリアと、従者候補のロジェ・ルソーの婚約者キャロリン。

少し前、身に着ける為にあるような宝石を飲み込んでくれと、頭がおかしくなった発言をした婚約者だったからだ。


「まさか一人だと話を聞いてもらえないから、お友達を連れてきたのですか?」


カルンの発言を自身に向けられたと感じたマリアは表情を変えずに視線を合わせる。

そのマリアの態度にたじろぐカルンはフンと顔をそらし、設けられた席へと腰を下ろした。


そして男性陣が座ると二人の女性が食堂の扉を開けてやってくる。





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