禁書 中盤
ガランガドーさん、そろそろ記憶を封じてくれると有りがたいかな。
ね、ガランガドーさん。私が優しい内に何とかしなきゃと思いませんか? ほら、エルバ部長の秘術とかいうのを中断させるだけでも良いから。
『……主よ、あの小さき者、中々の手練れよのぉ。我、ちょっと焦っておる』
術が解けない?
『……ごほん。ちょちょいのちょいであるから、少し黙って……』
この会話の間にも文章が私の頭の中に浮かんできます。でも、慣れてきました。
気持ちの悪いアデリーナ様がるんるんしている日常と、巫女見習いを襲う不幸が書かれているだけですから、私も慣れてきたのです。
ふん、この程度で数ヵ月前の私は狼狽したのか。不甲斐ない。
「るんるん。小鳥さん、今日も可愛いね」
「ちゅんちゅんちゅん」
「ちゅんちゅん」
「あはは。家族もできたんだ。良かったね」
「あら、アデリーナさん。凄いわね」
「ちゅっちゅちゅちゅっ! ちゅちゅっ!」
「あっ……」
るんるんから始まるのは何かのルールなのか……。それだけできっつい。
小鳥さんがどうなったのかよりも気になる。
「小鳥さんに何をしたの……?」
「アデリーナさんの肩に止まってたから簡単に捕まられて良かったわ。生で美味しく頂いたわよ」
「ッ!?」
「あらあら、怖い目をして」
「……フローレンス巫女長」
「どうしたの?」
「友達を殺されて、怒らないはずがないっ!」
「まぁ、あの小鳥さんはアデリーナさんのお友達だったの? ごめんなさいね。でも、アデリーナさんの一番の友達は私だから許して。はい、今月の報酬」
「許さないっ!」
「まあまあ、アデリーナさん、貴女が怒ったら世界が崩壊するのよ。我慢して」
「もう我慢しないっ!」
「仕方ないわね。あら、どこから剣を出したのかしら」
「覚悟して!」
「……アデ、リーナさん、ゴフッ……強くなったのね」
「フローレンス巫女長……首だけになっても喋れる……」
「気合いで、何とか……生きてるわ」
「……巫女長」
「見事よ、アデ、リーナさん。ガクッ」
首だけになっても生きている巫女長の生命力、凄いなぁ。最後は、地面に立ってた首が転がった音なのかな。
「よくやった、アデリーナ! あの悪魔を打ち倒したんだな」
『その首、食べて良いかしら?』
「世界が崩壊するの……。ごめん、みんな」
「心配するな! 崩壊したのは今までの日常だっ! 苛められていたお前の世界が崩壊しただけさ!」
「そうなんだ。良かった。新しい世界が来るんだね」
―― 完 ――
えっ? 終わり?
さっむっ!! 背筋が凍るッ!!
ヤバッ! 1人で抱え込むには無理な、ゾワゾワとした何かに襲われました! 有る意味、禁書!!
私の頭の中の文字はもう続かない。
終わったのでしょうか? 安心して良いのでしょうか? 完って書かれてましたものね。
冷静になって考えるに、真の歴史と大袈裟に謳っていましたが、多くの歴史書がそうであるように、恐らくは虚実を入り混ぜて造られた話だと思います。歴史書のレベルには全く達しておりませんが。
でも、やっぱり、これだけじゃ私が記憶を失くしたくなるはずがない……。何かが隠されている?
この書は我が偉業を後世に残し、真の歴史を伝える為にアデリーナ・ブラナン本人が記述する物なり。
2週目!?
えぇっ、これ、エンドレスですか!?
『安心するが良い、主よ。しばらく何も書かれていないページが続いていただけである』
安心したけど、安心できないっ!!
ガランガドー、まだなのですか!? まだ私を、この呪われた物語から解放できないのですか!?
『……もう少しかなぁ』
歴史を語る前に主要登場人物の話をしよう。この時代の王国は余剰魔力の過多が発生しており、数々の異能な者達が誕生していた。
○アデリーナ・ブラナン
この物語の主人公。前の物語では子供であったが、立派な大人に成長し、竜神殿の新人寮管理人として活躍中。貴族の集まりでは、気品の高さから白薔薇と呼ばれている。体は大人だが心は子供。いつも心の中ではキャピキャピしてる。もちろん、女性らしく美容にも興味があり、毎晩の乳液のお陰でお肌もツヤツヤぷるぷる。慈愛の塊。とっても博愛主義者。光の戦士。
一日一善をモットーにお仕事を頑張ってる。『今日も良いこと見つけよう。ガンバるぞっ☆彡』。いつも陽気で心根が穏やかな乙女。
誰だよ!! だから、こいつ、誰なんだよ!!
一日一善とか、あの口から聞いたことないからっ! 自己紹介なら自己紹介らしく冷血の悪鬼とか書いておきなさいよ!!
こんなモン、後世に残されるくらいなら自殺した方がマシでしょ!
○メリナ
突然に神殿に現れた風雲児。圧倒的な武力を持つが、基本バカなのでそれほど害ではない。聖竜を愛していると言うが、呪っているに近いとアデリーナは感じている。
強大な力を持つ闇の魔王。人間を演じており、アデリーナだけが気付いている。酒が回ると本性が現れ、広範囲を高威力魔法で無差別になぎ払うので要注意。
神殿で出世を繰り返し、狂犬、野獣、野人と順にランクアップしているが、本人は気付いていない。
友達がいないため、アデリーナが友達になってあげている。好物は蟻の卵。『あ? 私をバカにしたな。ぶっ殺す!!』。口ぐせの通りに何人か殺めていて、アデリーナはドン引き。戦闘スタイルは切り刻まれても心臓を貫かれても前進を止めない狂戦士型。
(追記)様々な出来事を共にし、アデリーナを生涯を通して苦楽を共にする無二の親友と考えるようになる。でも、照れ臭くて口には出さない。
考えてねーよ!!
こわっ!! マジかよ!!
勝手に私の思いを捏造するところがキモッ!! 後世に残させてたまるかっ!!
そもそも友達がいないのはアデリーナ様じゃないですか!!
『主よ、そんなに興奮しては血管が切れて死んでしまうぞ』
死んだ方がマシなくらいの衝撃でしたもの! 後世の奴等に「へぇ、メリナってヤツは友達がいなくて、懐の深いアデリーナ様だけが親友だったんだ。さすがアデリーナ様」って、言われるんですよ! 何ですか、この屈辱!!
ハァハァハァ……。
分かったことはある。これは嘘に塗れた書物です。それだけははっきりと理解しました。そして……アデリーナ様が正気でないことも。
蟻の卵の記載からして諸国連邦留学していた頃に作成されたのだろうか。
○アシュリン・サラン・パウサニアス
竜の巫女。仕事着として巫女服よりも軍服を好むのは巫女長フローレンスへの反感なのかもしれない。
前作よりアデリーナの献身により病気も治った上で結婚と出産を経験し、今は仕事とプライベートのバランスに悩んでいる。
部下であるメリナが全く役に立たないため、仕事が増えており、本気でメリナを追放するか殺すかと悩み始めている。重なる悩みのせいで病気を再発しないかとアデリーナは心配している。『ガハハ! ぶっ殺さ――あぁ、ナウル、そんな所に居たのか……。違うんだ……いや、違う、違うのですよ。お母さんはブッコロさんって言う偉人の名前を叫びたかったのです。何故か? あん? 自分で考えろ! ぶっ殺すぞ!! ……いや、違うんだ……』。子育ては大変そう。戦闘スタイルは素早い身のこなしからの一撃粉砕。
くそ。
ナチュラルに私をディスって来るスタイルか。が、そんなに驚くべき記載は有りませんでしたね。
○ふーみゃん(フロン・ファル・トール)
アデリーナが飼っていた飼い猫。長く生死不明だったが、生きていたのを知ったアデリーナが歓喜したのは記憶に新しい。かわいくて賢い。ふーみゃんもアデリーナに抱かれるのが好き。
アデリーナの友達になるべく、邪法によってふーみゃんの人の姿になったのがフロン。邪悪な魔力の影響で極めて残念な人格になっているので、アデリーナは浄化の方法を探している。『がんばれー、あでりーなちゃん!』『化け物、私のアディちゃんに近付くんじゃない』。ふーみゃんは決して戦わない。フロンは消滅して欲しいとアデリーナは思うことが多い。
まぁ、妥当な内容ですね。
特筆すべきことはない。
○カトリーヌ・アンディオロ
アデリーナの酒飲み友達。魔物駆除殲滅部の部長となる。土木業界では有名で、高速ドリルの異名で呼ばれている。実は芋虫であり、いずれ空を飛べる日が来るかも。なお、メリナは部分的に蛾らしい。
戦闘スタイルは地中から奇襲するトラップタイプ。『メリナさん、あはは、生意気言ったら下半身なくなるわよ?』。
あー、実際に空を飛べる様になりましたね。あと、部長は決して、私を襲うことはしない。
○フローレンス巫女長
死んだはずなのに、ふらっといつの間にか神殿に現れた、人かどうか怪しい人。奴隷商は廃業したらしく、アデリーナにお金をくれることはなくなった。
最近の趣味は主人の居なくなった王城を自由に徘徊して、金品を盗むこと。アデリーナが王城に帰らない最大の理由。いずれ天罰が下ると思う。『うふふ。前の前の前の王様に求婚されたのよ。だから、このお城の物は全部、私の物だとして良いと思うの』。アデリーナに一目置き、彼女を後継者にしたいと思うが、アデリーナ本人は極めて迷惑に感じている。戦闘スタイルは強力な精神魔法で動きを止めてからのなぶり殺しで、魔王の名に相応しい。闇の魔王であるメリナさんにも同類として一目を置いている。
ふざけんな。巫女長と同類なんてご勘弁です。
○メリナとの出会いの一幕
「あなた達は竜の巫女が何たるか、聖竜様のご加護に与るということがどれほどの事か、一から叩き込まないといけないみたいですね」
「グルルゥ……」
「怖がらなくてもよろしいのよ、メリナさん。私から満ち溢れる慈愛を感じて安心して」
「ガルッ!」
「いいですか、メリナさん、マリールさん。あなた達も巫女の一員なのです。巫女である間は皆でスードワット様に身を捧げないといけないのですよ」
「……ガルゥ」
「シェラさんもご自分は関係ないという態度は宜しくないですよ。仲の良くない方々の間を取り持つ程度の事は、礼拝部でもこれからの仕事で行うのですからね」
「はい。至らず申し訳ありません」
「マリールはまだ不満?」
「そこの野犬みたいな生物と一緒の部屋なんて、おぞましさで死にそうです。今も目眩が止まりません。ここは動物園じゃないんですの。父に言い付けて群れごと駆除させてもらいます」
「まぁ、まだそんな気持ちなのですか? メリナさんはどう思います?」
「ガルル、ガル、ト、モダチ、ガル、ダイジ。マリール、ト、モダチ」
「まぁ、メリナさんが喋ったわ。今日はパーティーね」
「「あぁ! アデリーナ様はとんでもないクズで野蛮なメリナさえも救うのね。慈愛の塊!」」
「うふふ、もう。そんなに褒めても何もでませんよ」
ひどい内容……。
慈愛の塊とか、人は自分に無いものに憧れるのですよ。読んでいると、アデリーナ様が哀れで悲しくなります。
しかし、アデリーナの狙いはあの王位簒奪記念動画の時のように私を貶めて自分を上げるみたいな目的か。
ふふふ、怒りがふつふつと込み上げて来ました。
○暴走フロン討伐中の一幕
「ガルルル! マ、ガルル!」
「なんだっ! 何て言ったんだ、メリナっ!?」
「お待ちになって、メリナさん!!」
「マジでやばいぞ、アデリーナ! メリナの前に立つな!」
「そうだぞっ! ここはオロ部長か巫女長の到着を待つんだっ!」
「いいえ。力ではなく愛が勝つのです。世界は慈愛です」
「ガルルル……」
「おぉ、アデリーナ、よくもメリナの暴走を防いだなっ!」
「そうだな。マジでアデリーナは凄い。慈愛の塊だ。いや、慈愛をそのまま人間にしたかのよう。まるで神。暴走するメリナの前に立ち、進むのなら私を殺しなさいってマジで偉いな」
「うふふ、それほどでも。メリナさんも落ち着きましたか?」
「ガルッ!」
「なっ!? どうした、メリナ!? マジで意味不明だぞ! 唐突にアデリーナの高貴な矢を拾って自分の太ももにグサっと深々と刺して、一体全体どうしたんだ!? それはアデリーナが何故か落としていた矢だぞ! アデリーナは全然攻撃していないぞ! マジだぞ!」
「エルバ部長、その通りです。巷で噂になっているとも聞きますが、私が矢を射るはずがないことを宣言しておきましょう。あれは血に飢えたメリナさんが自分の血でも良いから見たくなっただけのこと。一応書いておきますが、それを否定する者は虚偽風説流布誣告罪、もしくは内乱首謀罪で死刑です」
「メリナっ!? 回復魔法を掛けるが、良いかっ!?」
「ガルルル!!」
「そうか。要らんのだな。さすが狂犬。いや、まだ止まらず私を襲うのかっ!? アデリーナの慈愛に打たれていないのか!?」
「メリナさん! そのアシュリンは味方ですよ。落ち着いて。大丈夫、私の広い心を感じなさい。全ての過ちを許しましょう」
「ワ、タシ、マ、チガッタ?」
「色々と間違えてますよ。ガンバ♪」
「ワタシ、マチガッテタ。アデ、リーナ、アリガ、トウ」
くそ。
書きたい放題じゃないですか……。
私を貫いた矢の件を、エルバ部長の不自然な説明調のセリフと自身による脅迫染みた弁明で誤魔化そうとしていますね。
この文章の裏に事件を正当化したいというアデリーナ様の本心が隠されていることを、私は看破していますから。
くそ、戦闘中に後ろから太股を貫かれた屈辱と不条理を思い出してしまった。
○シャール鎮圧に向かう王都軍討伐の前日の一幕
「ふーみゃん、ふーみゃん、かわいいにゃー」
「たべたい。わたし、ふーみゃん、タベタイたいぷ」
「メリナさん、ダメですよ。ふーみゃんが怯えています」
『そうですよ、メリナさん。そんなことを言うと私が貴女を食べちゃうわよ』
「ヒ、ヒ、オロ、ブヂョー。ゴカン、ベンヲ。ごめんなさい。すみません!」
「ガハハ! メリナも謝罪だけは流暢になってきたなっ!」
「コロス、アシュリン、コロス」
「うふふ。メリナさんもだいぶ私の慈愛のお陰で言葉が上手になりましたね」
「あでりーな、てんさい。わたし、かんしゃ。だから、おうとのやつら、ぶっころす」
「まぁ、メリナさん、そんな汚ない言葉を覚えてはお嫁さんに行けませんよ」
「ははは! アデリーナはいつでもお嫁に行けるな!」
「まぁ、アシュリンたら。そうです。私はいつでもお嫁に行けるのです。適した男性が見つからないだけ」
「あらあら、私と同じね」
「フローレンスとアデリーナは全然違うぞ、マジで」
「「あはは」」
私は疑問に思う。
これは後世に残す書物。アデリーナ様自身がそう書いていました。
これを読んだ後世の人々はどう思うか、小賢しいアデリーナ様が想像できないはずがない。
このままでは「こいつ、結婚したいけど出来なかったんだ!」と大笑いされるはず。大変な屈辱ですよ、それ。
なのに、アデリーナ様はこの酷い自慢風自虐文章を残している。不思議です。どんな意図が隠されている? それが不気味です。
○王殺しの一幕
「やめて、メリナさん! そんな卑劣な人でも、私の叔父なの! 命は助けてやって!」
「ならぬ。我が闇に掛けて、この者の命は奪う」
「お、お助けをー、何卒! 王位は本来アデリーナ様であったのを私が奪っていたのです。反省します。だから、メリナ様ー。悪いのは私ですが、命だけはお助けをー」
「グハハ、我が魔力の前では人の命など蝋燭の炎よりもか細い物よ! さぁ、全身から体液を撒き散らして死ぬが良い! スペシャルデスブレス!!」
「ギャーーー!」
「メ、メリナさん、やってしまわれたのですね。分かりました。これは私達だけの秘密にしましょう。私がメリナさんの王殺しの汚名を被ります」
「ふん。アデリーナ、お前の慈愛は世界を覆うほど。さすがは我が親友。でも、本当に良いのか?」
「王位簒奪という汚名なんて、私達の友情を考えれば大したものじゃない! 私は慈愛の塊、アデリーナ・ブラナンなのだから!」
……ヤバイな。
るんるん話くらいのキツさを感じ始めました。
○諸国連邦留学の前日の一幕
「アデリーナ様、私は怖いのです」
「やっと人間らしく喋れるようになってきましたね、メリナさん」
「はい。アデリーナ様のお陰です。ご指導ご鞭撻、いつもありがとうございます。日々、感謝しております。部屋にはアデリーナ様の絵を飾るくらいです」
「まぁ、ありがとう。それでどうしたのですか、メリナさん? きれいなお顔を悩ませて、若いのに小皺が増えてしまいますよ」
「明日から諸国連邦に留学するんです……。気弱な私は異国の人達に苛められてしまうのではと……。ううぅ」
「大丈夫ですよ、メリナさん。慈愛と博愛は万国共通です。私の教えを守れば、貴女は立派に友達をお作りになるでしょう」
「アデリーナ様のようにですか……?」
「そうですよ。私のようにいっぱい、いっぱいお友達ができますよ」
「……はい。このメリナ、頑張って慈愛の心で勉強してきます」
「よろしい。頑張りなさい」
「あの、お願いがあるのですが……?」
「なんでしょう?」
「アデリーナ様のことをお姉様と呼ばせてもらって、今晩は一緒に寝てもらって良いですか?」
「うふふ、構いませんよ。メリナさんは甘えん坊さんですね」
「アデリーナ様……私は寝巻きを着ない主義なんですけど……色々と良いですよね……?」
「まぁ、そんなに顔を赤くして。照れてるの?」
「…………はい」
……おい……。
マジか……? これか……?
私、とんでもない闇に飛び込んだんじゃないですか、これ? 全ての人間を震撼させる記述でしたよ……。
アデリーナ様が書かれた本の中で、私はアデリーナ様と一緒に寝ることになる?
背中に冷や汗が吹き出ます。
えっ……マジ? フロン系のお話?
思えば、アデリーナ様は私と聖竜様との仲を邪魔していたように感じます。
こんな穢れた欲望をアデリーナ様は私に感じていたのでしょうか。
これは強烈。記憶を失くしたい気分になりました。これが原因……ですよね。
ねぇ、ガランガドーさん、これが原因かな? 教えて欲しいなぁ。私、記憶を失くしたいってよりも、あのアデリーナとかいう気持ち悪い害虫を物理的な意味で駆除したくなってきたんですけど?
『主よ、アディにその気はない。それは断言しておこうぞ』
信じますよ!? お前のその言葉、信じてしまいますよ!? だって、私、そう信じたいんですもん!!
……でも、どうしてこんなの書いたんだろう……。
『主が読んだ後の反応を楽しむとかであろうか?』
悪趣味が過ぎるし、自分にも被害があるじゃないですか。あり得ない。
しかし、冷静になって考察するか。もう文字が浮かんで来ませんしね。
『主よ、もう少し続くのである』
ハァ!?
疲労困憊なんですけど!? リアルな本なら投げ捨ててますよ!!
『前回もそんなことを言っておったな。ハハハ、主は成長しておらぬ』
貴様っ!?
貴様こそ、私の反応を楽しんでいやがるな! 許さない!!




