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ハルカの季節  作者: 杞憂
13/23

ハルカの春;昔話

私は今母と二人暮らしだ。

父は私が小学生だった時に離婚した。

理由は家庭内暴力のせいだ。

初めは良い家庭が続いていたけど、父はつとめていた会社をクビになった。

理由は社員削減の為だろう。ニュースで最近よくそういうのが流されるからワタシはそう思った。何より自分には直接関係無いと思っていた。

でも、直接は関係無かったが父がそのせいで人が変わってしまったのだ。


酒に溺れ、母に暴力を振るい、酒が切れたら母に買ってこさせ家計は赤字続き、部屋にこもり出てきたと思ったら直ぐに母に暴力を加える。


その繰り返しだ。


父は私に気付かれない様に母に暴力を加えてたが、私は気付いていた。

母の悲鳴や父の罵声、父は私に気を使っていたのか本当に良くは解らなかった。それとも私だけには嫌われたくなかったのか良く解らない……



そんなある日、私は父が心配でこもってる部屋の前に行ったら父が悲しく泣いている声が聞こえてきた。


『何で俺が……』と言っていて、聞いてる此方も悲しくなってきた。


『パパ、大丈夫?』


『!、あぁ、大丈夫だよ。』


『元気出してね。』


『あぁ』


それから数日後また父が悲しく泣いている声がしたので励まそうと部屋に入り声をかけると


『パパ、大丈――』

『うるさい!!』


平手で叩かれた。バチンと良い音を室内に響かせた。叩かれた瞬間何が起こったのか解らなかった。しかし、状況を理解した時痛い余りに私は涙を出してしまい泣きわめいた。


『うるさい!黙れ!』


『痛い!……痛いよパパ!グスン、止めてよ!』


平手で叩かれる。何度も何度も叩かれた。

叩かれる内に平手から拳に変えて殴られていた。


平手で頬が真っ赤になり、殴られたせいで頬に痣が出来、口内からは血を吐き出していた。



そんな中、母が私の悲鳴を聞いた母が来て父と私を引き離してくれた。


その日を堺に私は父に近付くのはやめた。

暫くして母は父と離婚した。


父が会社をクビなってから約三年間の出来事だ。


そしてその三年間の何処かでワタシが産まれた。

『産まれた』と言うより『表に出られる様になった』かな。


多分父に暴力を加えられた際現実を見ない、見たくなくなったせいであろうとワタシは思う。


これが桜七瀬とワタシの出来事。



……………………………



「………」

僕は何も言えなかった。いや、言える筈がなかった。いつも明るい表情を見せる七瀬が過去にそんな事があったなんて。



「いや、説明してくれたのはいいけどキミが良く解らない。」


「と、言うと?」


「キミは七瀬の何なの?」


「ワタシは七瀬の中に元からいるもう一つの私。」


「元から?」


何か引っかかる。元からって何なんだ?ますます解らない。


「悠自身も実は何人もの人格が存在するの。それは人間なら例外は無い。その内の一つがワタシ。解った?」


「はぁ……。じゃあ、今七瀬はどうしてるんだ?」


「基本肉体は一つだから表に出てて来れるのは一つの人格。もう一つの人格は心から、というか、ただここから見ているの。でも、それは見たくないと思えば閉じ籠ることも出来る。七瀬は今籠っているわ。」


「七瀬はキミの存在に気付いているんだよね?」


「勿論。」


彼女の目は真剣であった。信じられないけどきっと全て本当なのだろう。


「ところで、キミの名前は?」


質問を聞いた途端彼女はキョトンとした顔をした。その後直ぐに微笑みかける。


「答えたくても答えられない。」


「何故なんだ?」ときくと彼女は表情を変えずにつまらないそうに応えた。


「だって、ワタシには答えれる名前が無いから。」


それじゃ困るな〜。名前解んないと何て呼んで良いか解らないじゃないか。

そこで彼女は考えを察したのか話しをした。


「はぁ〜。良いわよ、何でも好きに呼んで。例えば、裏七瀬、アナザー七瀬略して『アナセ』とかは?」


「………」


僕は暫く黙って裏七瀬?を見つめる。少し悲しい物を見るみたいに。

するとそれを悟った彼女は顔を真っ赤に染め上げて文句を言う。「悠の為に具体例を挙げてあげただけなのに。」的な事を言って彼女は頼んだコーヒーを少し口に含んで喉に流し込む。

彼女も美味いと言いパフェとコーヒーを交互に口に入れる。本人曰く意外とイケルらしい。



♂♂♂♂♂♂♂♂♂♂♂



「じゃあ、ワタシはもう行くね。」


裏七瀬は席を立つと通学用の鞄を持ち出口に向かう。僕も一緒に出ようと思い席を立つと彼女が振り向き此方に戻って来た。


「ワタシ一人で帰るから暫くコーヒーでも飲んでてよ。」


そう言うと

―チャリン。

自分のパフェとコーヒー代と同じ額の金をテーブルの上にに置いた。

更にコーヒー一杯分の代金も置かれた。



「あ〜と、僕に何しろと?」


「だから一人で帰るの。付いて来ないでって事。だからコーヒー飲んで時間潰してなさい。」


彼女は『察しろバカ』とだけ言い出口に向かう。

成る程な。テーブルに金が置かれた時点で気付くべきだって事か。


「そうそう、言うの忘れてたんだけど。」


また振り返って此方に戻ってくる。しかし、その表情は真剣その物だった。


彼女は僕の頬に手を這わせて僕の肩に顎を乗せる。

耳に吐息がかかる程近付いた彼女は小さな声で話す。


「『七瀬はワタシの事は知ってる事になってるけど、悠はワタシの事は知らない事になってる。』この事は忘れない様にして七瀬と付き合ってよね。」


「なっ!!!?」


慌てて彼女を引き剥がし距離をとる。彼女はそんな僕を見て、フッと微笑む。


「あと、この事は他人に話すのは駄目だからね。」


そう言い残すと体をくるりと反転させ小走りで店を出ていく。

僕から遠ざかっていく彼女の背中は何処か嬉しそうにも見えた。



♀♀♀♀♀♀♀♀♀♀♀



彼女と別れて数十分程経った今、僕は一人店に残り、貰った金でコーヒーを飲んでいる。


僕は彼女――裏七瀬についてを考えていた。

彼女は何故僕に七瀬の昔の過去を話したのか、何故僕に本当の事を話したのか全く解らない。

僕は彼女に何をしてあげられるのか、どう言葉を掛けてやればいいのか解らない。


コーヒーカップを手に取り少しずつ口に含ませる。


…………苦い。―――


この味が好きだった筈なのに、さっきより苦さが増し口の中に残留している気がする。正直、不味い……。


「はぁ〜。気が滅入ってくるな。よし!気分転換に帰ってゲームすっか!」


一人で何か言って勢い良く一人で立ち上がり店内にいた客人が僕を痛い目で見た来た。だが、その時僕は勢いが良かっただけで家に帰ってからも七瀬と裏七瀬の事しか考えてなくて他の事など手につかなかった。



※※※※※※※※※※※



次の日の朝、七瀬は僕を迎えに来なかった。

いつも家を出る時間を五分ずらして登校したけど彼女を見ることは無かった。

彼女の教室を訪れても彼女の姿は無かった。

クラスメートに聞いたら休みだと聞かされた。

理由は不明。

連絡無し。


昨日の事もあって心配なので帰りに御見舞い行こ。

行って元気付けてあげよう。

そう軽い気持ちで放課後に七瀬の家に訪問しようと考えていた。

だいぶ遅い投稿になりすみませんm(__)m



次回も投稿が遅くなります

合間をぬって書いたりはしますが活動は続けてます

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