魔法使いがシンデレラを訪ねた理由
「それで私が虐められていたと勘違いしていた理由は分かったけど、それが何故、私を助ける理由になったわけ?」
「それがじいちゃんの頼みだったから。じいちゃんはエラのことを孫のように可愛かったらしいから何かあった時は助けてあげて欲しいとのことだったよ」
エラは、自分のことを孫のように思われていたことに大変驚きましたが、家族のように認めてくれていたことを嬉しく思いました。
「どちらにしろ舞踏会には行きたいんだよね」
「ええ、勿論」
エラは勢いある返事をします。
「因みに聞きたいんだけどさ、馬車なしでどうやって行くつもりだったの? まさか、お城まで約30kmある距離を1人で歩いて行こうと思ったりしてるとかじゃないよね?」
「そんなわけないじゃない。ポムと一緒に行くつもりよ」
ヴィオルは聞き覚えがない名前に首を傾げます。
「ああ、ポムはね、私の愛馬の名前なの」
可愛い名前でしょと笑みを浮かべます。
「でも馬に乗って長距離を一飛びで行くなんて無茶だよ。そんな状況で横乗りなんて危険だよ」
「横乗りなんてしないわよ。そもそも何で貴族女性って横乗りなんでしょうね。乗りにくくてしょうがないわ。私は跨いで行くつもりだったの」
「どうしてそんな乗り方を知ってんだ?」
「そりゃ、私の所が貧乏だからに決まっているじゃない。お店に売っているお肉なんかおいそれと買えないから狩るしかなかったの。狩る時に横乗りしながら弓を射ることなんてどう考えても無理でしょう」
「なんとも逞しい」
ヴィオルはまた彼女の行動に驚きましたが、狩りをしているエラの状況がすぐに浮かび上がり、横乗りしているよりも跨がって乗っている方がしっくりきました。
「ねえ、ポム見る?」
エラは前のめりで尋ねました。
ヴィオルは少し気になったため、言葉に甘えて見せてもらうことにしました。
エラは玄関まで行き、外に出て、ヴィオルをポムの所まで案内しました。
ポムは体高150cm程度と少し小さめの馬です。
エラを見るとポムはすぐさま駆け寄り、頬ずりをしました。
エラは笑いながらポムの背中を撫で撫でします。
エラとポムの仲の良い姿をヴィオルは温かい目で見守っていると、急にポムがヴィオルの頬をスリスリとしてきました。
「あら、ポムはヴィオルを気に入ったようよ。私達、なんだか家族になったって感じがするね」
エラがそんなことを屈託のない笑顔で言うので、ヴィオルは反応に困ってしまいました。
その屈託のない笑顔は今まで以上に可愛く見えたのでした。
結局、エラはヴィオルが作り出す馬車で舞踏会に行くことになりました。
普段から長距離を移動しないポムが、長距離を移動するのは大変だろうと言うことと長い間ポムに乗っているとエラも疲れて危ないだろうと言うことの2つの理由からヴィオルはやめさせたのでした。




