弓の威力
エラは左手に持っている弓を新たに握り直し、後ろに背負っている弓入れの中の弓を1つ取り出し、その矢を弓に添えます。
何処から狙おうかと少し迷いましたが、やはりここは右端から撃っていくのが1番だと思い、右端の大砲に向けて、弓をゆっくりと大きく引きました。
構えている位置は完璧ですが、やはり飛距離や威力に不安しか感じません。
しかし、もうこのまま行こうと思いきって矢を放ちました。
すると、矢は空気抵抗をものともせずに、綺麗に真っすぐ伸びて行きます。
また、本来なら放した直後が1番速度が速いのですが、今回はなんと矢が進むに連れてだんだん速くなっていきました。
本来なら決して届かない距離までどんどん伸びていきます。
そして、地上まで届いた矢は、見事にエラが狙いを定めた大砲のど真ん中に当たり、大砲はヒビを真っすぐ入れながら、綺麗真っ二つに割れていきました。
大砲が割れた勢いで、その大砲を扱っていた軍人とその隣にいた軍人が共に倒れていきます。
「やったわ!」
最初のショットが見事に成功し、エラは思わず右手でガッツポーズをしてしまいます。
ここまで華麗に成功すると、先程までの心配は何だったんだと、エラは逆に少し呆れてしまいました。
それにしてもまだ倒したのは1つの大砲と2人の軍人のみ。
これから先はどんどんリンネ国の軍隊達を倒していかなければなりません。
勢いに乗ってきたエラは、早速後ろにある矢を1本取り出そうとした時、先程大砲を撃った矢がこちらに飛んで来て、エラが後ろに背負っている弓入れに入って来ました。
まさか矢が綺麗な状態のまま、元の場所に戻ってくるなんて大変驚きです。
これは矢の残りの数を気にすることなく、撃つことが出来ると、エラは意気込んで後ろにある矢を取り、再び弓にかけました。
そして、次は先程撃った隣の隣にある大砲を目掛けて矢を放ちました。
今度も先程のように無事成功し、大砲も軍人も倒したのでした。
それからと言うもの、エラは次々と矢を放ち、次々と大砲と軍人を倒していきます。
後になるにつれ、エラの矢を恐れて、現在の戦いを放棄し、この戦場から逃げ出そうとする軍人達が続出しましたが、ヴィオルが作り上げている結界により、逃げ道がなく、結界に触れた軍人達は、結界から流れる大きな刺激によりそのまま倒れていきます。
ヴィオルの結界は、周りの建物に被害を出さずに、人や物の出入りを遮る役割だけでなく、さり気なく攻撃の役割を果たしていたとは驚きです。
エラは、ヴィオルは攻撃が苦手と言う言葉が嘘のように感じてしまいました。
軍人や大砲が少なくなっていくと、前公爵夫人はバリアを張るのやめて、彼女とそのバリア内にいたオルガ国の軍人達が、リンネ国の軍人達と戦い、見事に戦っていたその軍人達を全員倒すことが出来たのでした。
エラ達は、次に先程よりは軍隊が多いものの、次に少ないところに移動します。
こちらも死者はいないものの、怪我人は少しとは言え出ておりました。
これは本当にマズイと、エラは早速弓を構えて狙いを定めます。
しかし、気持ちが焦ったため、狙ったところから大きく外れてしまい、オルガ国の軍隊に向かって放ってしまいました。
「しまった!!」
エラは撃ち間違えて大混乱。
早く前公爵夫人のバリアに入ってとエラが願った時、矢はリンネ国の方に急変更して、そのまま弓が進んでいきます。
そして、その角度が斜めからになったため、最初狙いを定めた大砲を壊すだけではなく、その先にある大砲を5つも壊して、それと同時にその周りにいた軍人達が共倒れしてしまいました。
なんと、戦いが始まるまでにたった1日の間に必死になって前公爵夫人と練習した、標的に合わせて弓を操る魔法がここになって役に立ったのです。
エラは、オルガ国の軍人達に当たらなくて良かったと心の底から安心しました。
また、この弓の飛距離は本当に飛んでもなく凄いことを実感しました。
この方法ならより効率的に矢を放つことが出来ると言うことをエラは新たに学んだのです。
それから、エラは一気に多くの大砲を撃てるように、最初のように完全に1つにだけ綺麗に狙いを定めるのではなく、1つの標的を定めつつも、その先の標的も同時に狙えるように、エラ自身の体を斜めに傾けて、弓を持った左腕を真っすぐにして構えて、矢を放ちました。
「見事だわ」
エラは先程の撃ち方に自画自賛してしまいます。
自信満々に放った矢は、先程と同様に大砲と軍人を多く倒すことができ、無事成功しました。
しかし、先程とは違って気持ちは落ち着いて撃つことが出来たのでした。
またエラは、体の態勢を変えてでも、箒に安定して乗ることが出来るようになった上に、それと同時に攻撃の魔法もしっかりと両立して使えていたことに、成長を感じ嬉しくなりました。
こうして、エラは弓で攻撃し、前公爵夫人は杖を使って守ったり攻撃して、またオルガ国の軍隊達は少しだけある大砲とそれぞれが携帯する剣で攻撃することで、見事に少人数のところは全て死者や大きな怪我人なく、リンネ国の軍隊を倒すことが出来たのでした。




