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34 足を使って人へ会いに行き、面と向かって話をしよう

 市庁舎の屋上に引っ越しはしたものの、移動魔法を用いて高速昇降機で一気に上り下りするので、建物の中はほとんど歩かない。

 せいぜい飲料の無人売り場に赴く程度だ。下界の自動販売機と異なり、常に温度を一定に保つマジックシートの上に、剥きだしで飲料が並んでいるのは、最初見たとき違和感を覚えたが、すぐに慣れた。街中でも同様の無人販売がされている。


 で、休暇を利用して明日から綺羅星町へと向かいたいので、一応アリアに話を通しておこうと、市長室へと向かう。もちろんディーグルとゴージンも一緒だ。基本的にどこ行くときもこいつらは一緒。

 市長室のドアをノックして開くと、アリアだけではなく、黒いローブを纏ってフードを目深に被って顔を隠した女魔法使いの姿があった。鈴木だ。


「よう、兵器製造工場破壊は御苦労だったな」


 にやりと笑い、ねぎらいの言葉をかけてくるアリア。


「御苦労はいいけどさあ。巨大ロボ造るような技術力あるって時点でいろいろとやばくないか? あの工場は潰したが、技術者達には逃げられちゃったし、またどこかで似たようなもの造られるぞ」


 シリンの機転によって、いまいちな成果に終わってしまった。もちろん成果は成果だし、乱す者にとっては相当な痛手にはなっているだろうが。


「んで、また潰しに行くといういたちごっこになりそうだ。今度は工場もわかりにくいところに建造されるんじゃないか? 乱す者はその辺の学習能力も凄いし。工場の発見が遅れれば、兵器を大量生産されてどうにもならなくね? おまけに俺の絵への対処方法も、奴等は学んでしまったし」


 俺はこれまで乱す者との戦いに勝利し続けているが、奴等を見くびる気にはとてもなれない。対応力あるわ、積極果敢に攻めてくるわ、数で不利と自覚しているせいか過信も油断もせず、やることも徹底している。


「他の都市周辺でも、すでにそういういたちごっこになってるのよね。最も警戒するのは、奴等の中にいるコボルトの技術者が提供するテクノロジーだからさー。それを根絶やしにするってのは、中々難しい話なんだわ」


 しかしアリアは笑みを絶やすことなく、余裕を伺わせた。


「悪い方にばかり取りなさんな。良い報告もある。セラが兵器工場で奴らの資料を見つけて、読み漁って、奴等がこっちにどれだけテクノロジーを持ち込んだか、把握してくれたよ。やっぱりこの世界では、部分的で中途半端な知識と、物資不足のせいで、大した兵器が作れないとさ。あの工場で造られているものが精一杯だとよ」


 巨大ロボとかビーム戦車とか、相当大した兵器だろうに……

 ま、そこいらの問題がクリアーされたら、弾道ミサイルだの爆撃機だの量産されて、手がつけられなくなるだろう。奴等の行動力は半端ねーし。一方でこっちは科学技術を放棄しちまっているから、お話にならない。


「ここ一連の流れで、葉隠市周辺の乱す者は結構弱体化している。かなりの死傷者も出しているしね。今まではずっとこちらが押されてたのによ。あんたのおかげだ。感謝してるぜ。で、何か用か?」

「明日綺羅星町行ってくるわ。一応断り入れとこうと思って。そんだけ」


 俺が告げた言葉に、にこにこと上機嫌だったアリアの笑みが消え、おもいっきり不審げに俺を見る。


「おい、そんな目で見るなよ。乱す者の文化とやらにも触れてみて見聞を広めたい。そう思うことまで悪だってんなら、いくらなんでも頭固すぎるぜ?」

「太郎、覚えておきな。この世界は平和だけど、わりと頭固い奴の方が多いんだ。頭が固くなっちまうと言った方がいいかな。特に乱す者に対しては神経過敏になる。この私ですらそうなんだぜ? お前の後ろでディーグルもあからさまに嫌だ嫌だオーラ出してるだろ?」


 言われて振り返ると、確かに嫌だ嫌だオーラ出しまくってるディーグルがそこにいた。俺が顔向けたら露骨に視線そらすし、眉はひそめっぱなしだし、つま先で床を軽くとんとん叩いているし。


「で、駄目なのか?」


 アリアの性格を考えると、ここで駄目と言うわけが無いのはわかっているが、それでもあえてネガティブな言い方で確認を取ってみる。


「滝澤も連れていってくれ。あいつはずっと娘の手がかりを追っている。綺羅星町なら、ヤバい筋で何か手がかりがあるかもな」


 相好を崩してアリアが笑顔に戻り、そう言った。

 そういや滝澤と会った時に、娘を探していると言ってたな。しかも乱す者が奴隷確保のために人さらいをやらかしている噂があるとも。


「ただまあ、そのヤバい筋で手がかりが見つかった場合、娘はヤバいことになってるわけだがな。綺羅星町は表向きこそ、サラマンドラ都市連合にも認められている中立都市だが、裏の顔ってのもある。くれぐれも気をつけて行けよ」


 綺羅星町の見学、シリンとの接触だけでなく、滝澤の娘探しもしなくちゃならんことになったか。事情が事情だし、アリアが滝澤を気遣って便乗させようとしているのを断るのも忍びないから、面倒でも拒否はできんなあ。


「ルヴィーグア様……お待ちください」


 唐突に鈴木が声を発した。


「この者が綺羅星町で乱す者に感化される可能性が、本当に無いと言い切れるのですか? 私は結構な確率で、悪い影響を及ぼされるのではないかと、懸念を抱きます。この小僧からは、壮絶なちゃらんぽらんオーラが出ているのが、私には見えます。見えるんです」


 ディーグルが嫌だ嫌だオーラなら、俺はちゃらんぽらんオーラかよ。つーかディーグルは感情、俺は性質を現されているが。


「すぐに流されるタイプ。影響されやすいタイプです。言うならば、ザ・衆愚其の一。言うならば、迎合主義も持ち合わせてそうなザ・凡夫。言うならば、主体性無きザ・レミング野郎」


 言いたい放題言ってくれる鈴木だが、影響受けやすいタイプってのは当たってるから、下手に反論できん……うーん……


「君子危うきに近寄らず近寄らせず。私は反対です。ルヴィーグア様にとってマイナスとなる要素が、ほんの少しでも見受けられたら、私はみぃぃ~んな反対です。拒絶、廃絶、根絶」


 アリアは以前、自分の周囲にはイエスマンしかいないと嘆いていたが、この鈴木という女はちょっと違うタイプだな。だとしたらアリアが鈴木のような変人を重用するのも、わからんでもない。

 しかしイエスマンではないかもしれんが、鈴木は自分の考えで他人をカタにハメようとするタイプみたいだし、それはそれで問題有るな。しかもその対象は、本人が認めている人物にまで向けられるからタチが悪い。


「君子糞食らえ。私は太郎を信じた。んで、太郎は人に信じられているのに裏切るような真似をするような、仁義に欠ける奴じゃねえ。仮に私を裏切ったとしたら、よほど大変で複雑な事情があったと私は受け止めるよ。以上。他にまだ何か言うことある?」


 淀みなく臆面もなくそう言い切るアリアに、鈴木は絶句する。アリアのこういう所は、本当に聞いててスカっとするなあ。でも話題に挙げられているのが他ならぬ俺であることが、気恥ずかしくてたまらんぜ。


「嗚呼……ルヴィーグア様のこの懐の深さ、心の広さ、器の大きさ、そして何より笑顔の眩しさ。私がこの世で唯一認め、崇拝する御方。まるで太陽の黒点のような御方。嗚呼……言葉に並べ立てると陳腐っ。なのに口にしてしまう私。言わずにはいられない」


 少し間をおいてから自分だけに通じるうわごとをぶつぶつ呟く鈴木。太陽の黒点て、褒め言葉じゃねーだろ。


「まあ、そういうことだ。気をつけて行ってらー。面白い土産話、期待してるよ」


 鈴木を無視し、俺の方を向いて茶目っ気たっぷりにウインクしてみせる。むう……可愛い。

 しかしやっぱりアリアと鈴木の組み合わせって、すげーミスマッチだな。この二人だけでいる時、一体どんな会話が交わされるんだ? 今みたいなやりとりばかりしているとしたら中々シュールだわ……


***


 アリアだけではなく、堀内にも知らせに行くことにした。休暇といっても、堀内は兵舎にいることもあるので、例によってラジコン飛行機とアルーの組み合わせで兵舎に偵察。

 電話が無い世界って超不便だな……。いくら文明の進歩を拒絶しているといっても、流石に電話くらいは設けろと言いたい。こんなんじゃそのうちいつか絶対に、乱す者の方の力がうちらを上回るぞ。

 一応、念話の魔法を用いれば遠方距離の会話も出来るけどな。その魔法の使い手自体少ない。あとは使い魔無線くらいだ。互いの使い魔を交換しないといけないという条件があるが。


 兵舎に堀内の姿は無かったので、ラジコンとアルーを一度消す。そして再び描き、使い魔を呼び出す。使い魔の回収自体が一瞬で済むのは便利だな。んで、堀内の自宅の方に飛ばす、と。


「私が探知魔法を使えればよかったのですけどね。探知魔法は非常に高度で習得に時間もかかりますし、探知魔法の使い手も、範囲や条件をどれだけ広げられるかでピンキリです」

「鈴木はかなりレベル高い方?」

「相当なものですね。アリアが手なずけるのも無理はありません。あれだけの力があれば、いくらでも用途がありますからね」

「確かに……政治家という立場にあっては、途轍もなく有用な存在だろうな。あ、いた」


 ラジコン飛行機に乗ったアルーの視界を通じて、堀内の自宅にて堀内の姿を確認する。ついでだから、そのまま堀内の家へと突っこんで、堀内の前でラジコンを着地させ、アルーを跳びはねさせて、あぐらをかいている和服姿の堀内の足の上に乗せてみた。

 真剣な面持ちになる堀内。やべ……何か誤解させたかもしれん。別にSOSとかじゃねーんだよ……。ちょっとふざけすぎた。


 そんなわけで俺等は堀内の家を訪れたわけだが。

 堀内は自宅を出ることも無かったので助かった。

 俺がふざけたせいでちょっと御機嫌斜めぽくて憮然としていたし、綺羅星町に行くと言ったら難しい顔になっていたが、まあ予想通りのリアクション。


「そんな顔しないでくれ。アリアの許可も取ってあるし、あいつは笑顔で送ってくれたぞ」


 最初はちょっと不審がられたけど、そのことは言わないでおく。


「んで、アリアに滝澤を連れて行ってくれと言われたんだ。あいつの家どこだかわかる?」

「隊長だしな、隊員のデータは当然ある」


 そう言って堀内は立ち上がると、部屋の隅に置いてある鞄の中からブ厚いメモ帳を取り出し、開く。

 堀内はずっと何か言いたそうな顔をしていたが、口には出さなかった。まあ堀内も心配しているんだろうなー。俺が悪影響受けないかと。


 滝澤の住所を聞き、小百合さんにお菓子を沢山ご馳走になってから、堀内の家を後にして滝澤の家へと向かう。もうラジコン飛行機とアルーによる先行偵察はやめておく。


 ベルを押すが出ない。扉のノブを回しても開かない。どう見ても留守でござーい。

 スケッチブックを呼び出し、紙とペンとセロテープを描いて実体化させる。


『明日綺羅星町に行く。滝澤の娘もついでに探してやるから一緒に来るように。朝八時には市庁舎の建物の前にいるように。お優しい新居太郎様より』


 紙にメッセージを書いて、テープで扉に張りつける。もう本当にね……せめて携帯電話くらいは作ってくれと。


***


 繁華街に出ると、あちこちで頻繁にいろんな趣旨のイベントが開催されているのが、よく目につく。娯楽や嗜好物の乏しいこの世界、人々はせめてイベントを起こして楽しもうとしている。


 一方、テレビも無い。ラジオも無い。ゲームも無い。パソコンも無い。携帯電話も無い。インターネットもあろうはずがない。テレビラジオはともかくとして、ヲタ向けのインドアの娯楽が乏しいのが難点だ。

 一応音楽だけはある。魔法仕掛けの古めかしいレコードプレイヤーが。う~ん、レトロ……

 暇な時間は読書で気を紛らわせているが、あっちの世界でどっぷりネットやらゲームやらに漬かっていた俺からすると、元いた世界が恋しくもなってくる。

 科学文明の発達は悪とされている価値観があるため、この世界で生きていくのなら、それらの娯楽は何年経っても期待できそうにない。


 まあ何だ……。やっぱり俺は乱す者の気持ちもちょっとわかるぜ。ディーグルも俺が乱す者寄りだと指摘していたがな。この世界は平和だが、過剰に息苦しい側面もある。


「乱す者の町へと行くのか」


 いつの間にか眠っていたようで、夢の中でネムレスが現れ、声をかけてきた。


 いつもは真っ暗な空間の中にネムレスだけが浮かび上がっているのに、今日は風景つきだ。周囲が山々に囲まれた高地。雲が凄く低い所を結構な速さで流れている。辺り一面は草原で、放牧されていると思われる羊の群れがいる。

 どこで見たことのある、懐かしさを覚える風景。しかし下界でこんな風景見た覚えはない。


「僕が今まで何度か君に見せた、僕と弟が地獄で生まれ育った場所だよ。僕にとっての思い出の場所」


 今日は少女の姿のネムレスが言った。薄い水色のワンピースなどを着ている。何でそんなものを俺に見せるのだろう。何か伝えたいことがあるのか?


「何となく……かな? 僕にとって凄く大事な思い出で、懐かしい故郷だから、君やリザレにも見てほしいな……なんて。いつもそんな気持ちで見せていた」


 俺の考えを読み、ネムレスは心なしか照れくさそうな表情になっていた。微妙に俺から視線を外してるし。


「ネムレスも俺が綺羅星町に行くのは反対?」

「まさか。むしろ行ってみた方がいいとすら思うよ。君が今いる町とは全く異なる場所だからな。いろいろ刺激になるだろう」


 こいつはかなり頭が柔らかいようだな。あのアリアですら難色を示したというのに。


「しかし忘れるな。君の今の役割はあくまで、乱す者の討伐だということを。今は乱す者達の力を少しでも削いでほしいね」


 乱す者に関しては、しつこいくらいに念押ししてくるな。


「ネムレスは乱す者の味方もするって話じゃないか」


 まあネムレスは乱す者と通じるだけではなく、幾人もの善神を滅ぼし、たまに人の世に災いも撒き散らす事をしているから、邪神扱いされているのだが。


「彼等の中にもたまに面白い奴はいるしな。別に乱す者全てが悪いわけではないし、僕とて彼等の考えそのものを頭ごなしに否定する気は無い。しかし僕にとって乱す者はやはり敵と言える存在である。何故なら僕はこの世界が好きだからだ。乱す者の最終的に行き着く所は、この世界の破壊となろう」


 世界の破壊ってのは、本当に世界そのものを壊してしまうという話なのか、それとも世界の在り方を変えるという話なのか、どっちなんだろう。


「奴等の望みは世界にもっと刺激が欲しくて、自分好みな世界にしたいだけだろ。破壊が希望の奴もいるってのは、知ってるけどさ」


 俺の指摘に、ネムレスは首を横に振る。


「破壊になるのだよ。この世界の秘密を知れば、乱す者全員とは言わずとも、彼等の一部は必ず破壊しにかかる。その秘密を知られてはならんのだ」


 ラクチャが口にしていた事を思いだす。


「神々の秘密。知られたくも無ければ、思い出したくも無い恥部。宿命。それのことかねえ」

「いや、それとはまた別の話だ。しかしまさにそれが僕の目的だ。僕が多くの神々と対立し、これからも戦うであろう原因だ。神々という存在を蝕む、病のような、はたまた呪いのようなもの。それを解くことが僕の目的なのだ。結果、僕は神殺しの邪神という扱いになってしまっているがな」


 心を失くした神々の討伐とか言っていたアレのことか。あれやこれや、いろんな種類の秘密があるんだなっ。


「つまり前に話した、この世界――冥府がオリジナルの世界というのが嘘で、神に捨てられた地こそがオリジナル。神々が作った理想の天国がここ。だからこの世界を壊してしまえば、乱す者達の理想である、あっちの世界だけが残るってこと?」


 俺の当てずっぽうに、ネムレスは小さく頷いた。


「そうだ。死後こちらに魂が呼ばれなくなれば、あの宇宙の中だけで転生を繰り返すだけになる。乱す者がそれを知れば、この世界のシステムそのものの破壊を試みる事もできよう」

「ネムレスがそれを警戒しているという事は、そのシステムの破壊自体、特別難易度が高いというわけでもないってことか?」

「そのシステムが如何なるものかまでは知らん。君とリザレがいなくなってから、世界中歩き回ってあちこちの文献を調べ、古き神々の記録をも掘り起こし、推測している段階だ。しかしね、神に捨てられた地がオリジナルの世界であり、元々この冥府と我々の魂は無縁であったこと。二つの世界を魂が行き来するシステムを古き神々が作ったこと。この二つだけは確信している。特に後者は少し本を読んでいる者なら、誰でも知っているだろう」


 神々が魂の行き来をコントロールしている事は、いろんな本に書いてあったが、二つの世界を行き来するのも最初に神々が作ったなんて、書いてあった本はねーぜ。


「そう確信するに至った理由は?」

「赤子の魂と、動物の魂だ」


 ネムレスは即座に答えた。


「赤子でなくとも、あまり幼すぎる魂はこちらにはやってこない。すぐにあちらの中で転生するに至る。ある程度成長した心の持ち主しか、神々が作った冥府のシステムには組み込まれない。動物に至っては多くがあの宇宙の中で転生を繰り返している。もちろんこの世界にも動物はいるし、こちらに来る者もいるということだが、その法則性は不明だ。いずれにせよ魂は元々同じ世界の中で循環するものであり、神々が死後の魂がこの世界へ引っ張りあげるシステムや、こちらの死者の数に応じて宇宙の人口が増減するシステムを作った事を考えると、あくまで我々の基本世界は神に捨てられた地という結論になる」


 うーん、何かこじつけな気もするが……


「死者が少ない分、人口は冥界の方が圧倒的に多いんだろう?」

「うむ、そうだな。だからこそ向こうの文明はどんどん滅んでいた。乱す者が活性化しだしてから、君の星では文明レベルが上がり、人口が爆発的に増えたがな」


 他の誰かからも、似たようなことを聞いたな。誰だったか……ああ、木村だ。


「古き神々は、次元も時間も超越して運命すら操る奇跡の力を備えていたからな。話を戻すが、乱す者がこれらの真実を知れば、彼等の中には確実に、神に捨てられた地と冥府の関係を断とうとする者が現れる。人員を投入すれば、いずれその方法も解き明かすかもしれない」

「だから戦争を仕掛けるような乱す者の過激な勢力は、少しでも力を殺いだ方がいいと?」

「君を乱す者と戦わせている理由はそれとは違う二つの理由だ」


 俺がいくら頑張っても、この途方もなく広大な世界の、あらゆる場所にいる乱す者の勢力を殺ぐなんて、無理ありすぎるしなあ。別に理由があると聞けば、まだ納得がいく。


「一つは君を成長させるため。もう一つは、今は秘密だ」


 秘密な方にすごく嫌な予感が……


「ところで俺の体を大人にしないとかどーとかの件は……」


 肝心な質問の途中に、俺の意識は消え、深い眠りへと落ちていった。

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