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放課後レンジャー  作者: kyo
第3章 異世界に来てみたら

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第60話 黒狼さまとダンジョン①ショートカット

 降りると、少々足がガクガクした。やっぱり少し怖かったんだな。

 わたしたちは黒狼にお礼を言った。

 彼はニヒルに笑い、そして小さくなる。

 そして先頭に立って、みんなを促した。


 ただいまと言っても、なぜかマスターさんが無反応だ。

 もしかして、マスターさんの野良ダンジョンになってしまった?と焦ったけど、プペがプペプペ何か喋っている。アンちゃんとダレン君がそれを見てビクッとしている。

 魔物の独り言、なんか怖いよね。


 それにしても、マスターさんどうしちゃったんだろう?

 と、再び考えた時、瞬間移動していた。部屋のようなところだ。


「なんだ、ここ?」


 健ちゃんも一緒で部屋を見まわしている。


『あなた方、なんて方を連れてきたんです?』


「え?マスターさん? ああ、よかった。野良ダンジョンになっちゃったのかと思ったよ」


『そうではありません。あの強い獣。あれはなんですか?』


「聖獣だって」


『聖獣??』


 マスターさんが悲鳴のように叫ぶ。


「聖獣を知ってるの?」


『詳しくは知りませんが、恐ろしく強いことだけは。高位の魔物が束になっても足元にも届かないお方ですよ』


『ケンとユーリを、ここに呼んだのはお前か?』


 マスターさんが、ぎょえーと叫び声をあげた。

 思わず耳を押さえていた。それぐらいの悲鳴だし、長かったのだ。


『い、いかにもそうですが。聖獣さまであらせられますか?』


 すごい! マスターさんの作り出した空間に、入ってきた!


『森の護り手だ。お前は何者ぞ?』


『私はこのダンジョンを司るのマスターです』


『ダンジョンというものは知っていたが、村人やケン、ユーリからダンジョンのことを聞いて、ずいぶん楽しげなものだと思ってな、我も戦ってみたいと思ったのだ。聖獣が入ってはいけないという決まりはあるのか?』


『いえ、とんでもない』


 そう答えてからマスターさんの雰囲気がガラリと変わる。声だけでだけど。


『誰にでも、選ぶことなく、門戸が開かれているのがダンジョン。ただし、生きるも死ぬも自己責任でございます』


 もし姿があったら、ニヤリとしたんじゃないかと思う。


「マスターさん」


『な、なんですか、優梨?』


 ギクリとしたような声がする。


「小さい子も一緒なんです。もちろん気を抜く気はないけれど、強い聖獣がいてエナジーを溜めるチャンスだと強い魔物を出してきたりする気ではありませんよね?」


『ひどいなぁ、優梨。私たちは苦楽を共にしてきた仲間じゃないですか。それに私はあなたたちの世界の概念を組み込んだ優しいダンジョンなのに』


 泣かしてしまった。


『ユーリは強いのだな』


 黒狼は、驚いた声をあげる。


「穏やかそうでいて、一番厄介だし、怖いやつですよ」


 健ちゃん、聞こえているからね!


「ごめん、ごめん。でもマスターさん、エナジー溜めるためだと見境がなくなるところあるから、言っちゃったの」


『まぁ、確かに、生命力が少なくなったお二人に、追い討ちをかけるようにボス出しちゃったこともありますから、そう言われても仕方ないんですけど』


 うん、あれは、元の世界に帰る前に死んじゃうと思ったから。

 マスターさんに悪気がないのはわかっているけど、言うことは言っておかないとね。


『村人たちが心配しています。元の場所に戻しますね。ダンジョンをお楽しみください』


「おねーちゃん!」


 アンちゃんに抱きつかれた。

 ダレン君もほっとした顔つきだ。

 行きすがら野菜を取っていく。

 帰りに、本気で取っていくけどね。無駄足はしないのだ。

 黒狼がちょっと焦れていたけれど。




 地下一階。魔物がみんな逃げていく。

 え。


『ハハハ、我が強いとわかるようだな』


「ダメじゃないですか。オーラを抑えるとかできないんですか?」


『オーラ?』


「きっと強い気を出されているのでは? だから魔物たちが来ないんです」


『ふむ』


 黒狼はちょっと考えてから、目を閉じた。

 少しすると、スライムが現れた。


「スライム! アンちゃん、ダレン君」


 ふたりは元気よく頷くと、スライムに突撃していく。


「戦うと、それだけ経験値になるから」


 アンちゃんたちと、弱い魔物を戦わせたい理由を黒狼に告げる。

 でも地味に待っている黒狼が可哀想になってきた。


「ねえ、健ちゃん」


「ん?」


「ショートカット、作らない?」


「ショートカット?」


「黒狼には地味すぎるでしょ。だから、さらに地下の強い魔物がいる階にショートカット」


「マスター、いいか?」


 黒狼の耳がピクピク動いている。


『……いいでしょう。でもそれなりに強いのを、思い浮かべてくださいよ。それから言っときますけど、私は生き返らせることはできませんからね。そこは心得てくださいよ』


「はい」


 それだけは何回も言われているもんね。


「じゃあ、何階にしようか?」


「地下21階ぐらいか?」


「そうだね。どんなのにする?」


「優梨、新鮮な刺身を山ほど食べたくないか?」


「お刺身?」


 ここはダンジョン。倒した魔物は、ドロップして手に入る。

 わたしたちは魔物をいっぱい知ってるわけではない。

 けれど、そこを海の階としたら? わたしたちの知っている魚そのものが魔物。倒せばお刺身にできる柵の状態でドロップする。それ、最高なんじゃない?

 それにわたし貝類も好き。帆立とか。あ、海老、イカ、タコも海で獲れる。海藻もいいね。あ、昆布とか出汁になるものがあると嬉しい。ワカメ、もずくとか。天草あったら寒天ものが作れる。すごい、すっごい!


「健ちゃん、天才!」


「よし。海なら、俺イメージできる」


「タンマ!」


「なんだよ?」


「海の魔物どうやってわたしたち倒すの? 海って海でしょ?」

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― 新着の感想 ―
[一言] この海エリアが雪くらげとかもいるエリアになるんですね。 優梨たちはどう攻略するつもりなんでしょう?
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