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放課後レンジャー  作者: kyo
第3章 異世界に来てみたら

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第54話 始まりの村⑤イメージ

「お願い? なんだ?言ってくれ」


「このダンジョンこの階は魔物が出ないけど、下に行けば魔物が出る。魔物が出ても強そうなのがきたら、俺たちが補佐するから、だから少しだけ、一緒に倒してくれないかな?」


「……それはなんだってまた?」


 そう聞きたくなるのが普通だ。


「ちょっと、待ってくれ」


 バーカードさんが制した。


「ケンとユーリと会って、3日一緒に過ごした。確かにともに魔物を倒して欲しいと言われて戸惑う気持ちもあるが、数々のしてくれたこと。とりわけ、村の獣よけだとか言ってたあれも、俺たちだけじゃなくて村のためにしてくれたんだよな? それにケンもユーリも獣を倒せるぐらい、俺たちより十分強いのに、俺たちと一緒にって何か理由があるんだと思う。でも、いいやつで、俺たちにひどいことをするような奴らじゃないから、俺は何も聞かずに願いを聞きたいと思う」


「うん、賛成」


「そうだな」


「うん、信じるよ」


 これはじーんとくる。

 さあ、下の階へ行こうモードになったけど、わたしと健ちゃんは正直に話すことにした。



「言えないとも違って、信じがたい話かなと思って、言いづらかったんだ」


 と健ちゃんが前置きした。

 わたしたちは、この世界の住人ではなく、他の世界からきたことを告げた。

 ダンジョンに入っていたら、界渡りしてしまったことを。


「ってことは二人はテンジモノか?」


 テンジモノ?


「あれは記憶を持ったまま生まれるってやつだから、ちょっと違うんじゃないか? ケンとユーリはすっごく遠くから移動してきたってことだろ?」


 まあ、そうだなと頷く。

 でもみんな却って合点がいったと言う。

 服とか布のレベルでもう知らないものだし、テントも凄いし、料理においても見知ったものと開きがありすぎた。


 だけど、その不可思議さと便利なものを持っている点で、貴族とかに囚われたりしないよう気を付けた方がいいと言われた。


 脱線したが、わたしたちは元の世界に戻るために、このダンジョンを活きのいい状態にしなくてはいけなくて、そのために、現地の人にこのダンジョンで魔物を倒してもらう必要があり、冒険者を探しに行ってたんだと言う。


 わたしたちが強いから、わたしたちで倒せばいいのではと不思議顔をしたので、どうやら異界の者が倒すのだとあまり活性化できないのだと実情を話した。

 みんな成人していないわたしたちが、故郷から突然飛んできてしまったことに胸を痛めて、自分たちは強くはないけれど、協力すると言ってくれた。




 では地下1階に。1階はわたしが作らせてもらったので、地下1階は健ちゃんに任せた。だから何が出てくるかはわたしも知らない。

 階段を降りていくと、石造りの迷路のような通路が続いた。幅は2メートルぐらい。今まで広いところにいたから、窮屈な感じがする。

 みんな足運びが遅くなる。ちょっと怖いよね。

 わたしはアンちゃんと手を繋いだ。


「アオーン」


 遠くで鳴き声が聞こえる。


「健ちゃん、あれ、何?」


「ん? アオーンって鳴いたからアオーンでいいんじゃね?」


「って言うか、力加減大丈夫?」


「そりゃ、もちろん」


 シシッと歯を見せて笑う。小学生の頃の悪戯をしかけたときみたいな顔。

 本当に大丈夫かな?

 あ、スライム!


「ダレン、倒してみろ」


 健ちゃんが言った。

 ものすごく小さな水まんじゅうサイズだ。

 ダレンくんは躊躇わず、足で踏んだ。

 おーーーーーー。

 小さな水晶のような魔石が残る。


「それが魔石だ」


「拾っておけ、買ってもらえるかもしれないから」


 買ってもらえなければ、わたしたちが買いとってもいいもんね。

 大ネズミも出た。これはバーカードさんが難なく倒す。危なげなところはない。全然平気だね。

 他の5人も強いじゃん。わたしたちのフォローは必要なかった。


 健ちゃんが命名したアオーンは真っ黒の狼みたいな感じ。素早そうで怖かったけど、連続して攻撃すれば倒すことができた。

 っていうか、麻呂眉がおかしくて。すっとぼけた顔に見えるんだもの。よだれを垂らした口から覗く牙は立派で、アンちゃんがわたしの足に捕まってきた。

 でも、こいつGみたいなやつで、最初の1匹は見張的な子だったみたい。その後から後から湧いて出た。驚いたけれど、みんな焦らず攻撃していった。魔石や時々毛皮などがドロップして楽しくなっているぐらい。度胸も二重丸だ!


『健太、優梨! いい感じです。彼らが倒すとエナジーが溜まります』


 その他、虫のような生き物も出た。これは素早かったけどダレン君が倒す。

 七色に輝く砂みたいなのが入った瓶がドロップした。鑑定してみると毒なんですけどっ。ちょっと健ちゃん? 毒をドロップする、どでかシャクトリ虫みたいの出すなんてどういうつもり?と詰め寄る。それもさっきの麻呂眉といい、グリーン地にピンクの水玉模様のシャクトリ虫なんて、気持ち悪いっていうか、色のセンスを疑うんだけど!

 健ちゃんの横っ腹をエルボすると、健ちゃんは舌を出した。


「俺、イメージするの苦手みたいだ」


「え?」


「アオーンもさ、真っ黒い狼って思ったんだけど、アンが怖がるかと思ってすっとぼけた顔って思ったら、ほら昔のコメディアンがやってたやつあるじゃん、〝アイーン〟って。あれ思い出して、多分あの顔になったんじゃないかと……」


 シャクトリ虫は健ちゃんがどうも苦手な虫らしい。あの身を縮めてまた伸ばすってのがどうもなんとも言えない気持ち悪さを感じるという。それで気持ち悪い色のドットと毒を付け加えられたのかもしれない、と言った。

 ドデカシャクトリ虫を見て、顔を青くしているし。元々、アンちゃんのことを思ってだったり、優しい健ちゃんを垣間見れたので許してあげることにした。


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