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放課後レンジャー  作者: kyo
第3章 異世界に来てみたら

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第52話 始まりの村③歩み寄り

 出かける前に、畑のことを聞いた。今、ただ土があるだけだそうだ。

 でも獣にはそんなことはわからない。

 食べ物を探しに来て村に入ってくるかもしれない。作物がなかったら、人を襲う危険性もある。

 わたしたちは獣が入ってこれないように柵をもっと高くする提案をした。残っている人たちでもそれはできるとのことなので、柵を作ってもらうことにし、その柵の外に害獣対策の超音波の出る機械を置いた。あと3つ、同じように設置することをお勧めして機械を渡した。

 みんなに超音波は聞こえないし、よくわからない物であるから心配だったろうし、後から高額請求されるんじゃないかと心配していたみたいだ。

 動ける人をしばらく借りるので、その間守ってくるれるものを置いておくだけだとは言ってみた。

 でも、獣が襲ってくるかもしれないから、重々気をつけて欲しいことも言っておく。




 わたしたちは、バーカードさんと5人の成人した人たち、それからアンちゃんとダレン君で村を出た。

 マントを支給したら暖かいと喜ばれ、1時間歩いたところで休憩を入れて、朝ごはんのバーガーを出したら、さらに喜ばれた。

 ユオブリアはこの島とは全く違うんですねと驚かれた。

 ユオブリアとも違うかもしれないけど……。


 わたしがおにぎりを食べていると、アンちゃんに何かと聞かれて、一口食べてもらったら躊躇うことなくパクついて、美味しいと言った。

 一番小さいアンちゃんが大丈夫なんだから、お米もみんな食べられるかも。どんどん食事に取り入れていこうと思う。お米の方が腹持ちがいいと思うんだよね。


 狩りをしていただけあって、獣がいればすぐに気づく。

 案外強い人たちかもと、わたしと健ちゃんはニヤリとしてしまった。

 今、ダンジョンでは、進化した掃除機のガーちゃんと炊飯器のカマちゃんが、魔物を倒して、エナジーを集めている。マスターさんが野良にならないように、早く人を送り込んで、エナジーを集めなくては!


 あ。なんか近くにいる。

 5人がピクッとして辺りを窺うと、ダレン君も足を止めた。

 木々の間。濃い茶色だから同化しがちだけど、動いたのでわかった。

 おっきい。熊みたいな生き物だ。まだこちらには気付いていない。

 村を襲ったやつかな?

 5人はアイコンタクトで、散って行く。

 わたしたちにはその場で待機しろと手で示した。

 ひとりが輪っかを作ったロープを熊もどきに向かって投げかけた。

 カウボーイか!?

 熊もどきはそれを手で払い、向きを変えたけど、うまいこと輪っかが足にハマる。

 ひとりがハマった瞬間ロープをひいた。

 重心がズレて驚いたようだけど、熊が足を動かすだけで、ロープの人は吹っ飛んだ。健ちゃんが、わたしを見て頷く。

 わたしはダレン君とアンちゃんを引き寄せる。

 健ちゃんがタタっと走って行って、熊を蹴り上げた。

 首のところに気持ちいいぐらいの蹴りが入った。

 一発ダウンだ。

 みんな呆然として健ちゃんを見る。


「お疲れ」


 わたしは労う。


「これ、捌ける人いる?」


「……ああ、できる」


 それじゃあと、捌いてもらうことにした。

 みんな放心状態から、黙々と捌く作業へと移っていった。

 ダレン君とアンちゃんは食い入るように見ている。


「ケンはつえーな」


「ダンジョンに入るわけだから、最低限はね。でも捌いたりはできないから、できる人がいて助かったよ」


「……この肉を塩漬けしたら、冬、かなり助かるな……」


「これはケンが仕留めたんだ」


 バーカードさんが念のためという感じで、みんなに言う。


「世話になってるから、村の食糧にしてくれ。ただ大荷物になるだろ、村についてから渡すよ」


「ひょっとしてそのバッグ」


「ああ、見た目よりずっと入るんだ」


「お姉ちゃんのも?」


 健ちゃんとおそろだからわかったのだろう。わたしはアンちゃんに頷く。


「すっごーい!」


 アンちゃんやダレン君だけじゃなく、成人組の5人にもキラキラした目を向けられる。


 捌き終わり、後片付けを終えると、お肉や売れる爪などバッグに納めてまた歩きだした。




 夜はテントと寝袋を支給。5人組にはテント2つ。拡張などしていない普通のものだ。それでも風も入ってこないし暖かいと感動していた。

 焚き火を利用して、熊のお肉と野菜とでごった煮を作りそれを夕飯にした。お肉自体が久しぶりだったようで、売れ行きがいい。みんな大満足したようだ。

 夜は成人組が見張りをしてくれるという。

 ありがたく、お願いすることにした。


 アンちゃんたちにはテントの中のことを秘密にしてねと言って、それぞれの部屋に別れる。

 明らかに見た目より広いテントの中、そしてふた部屋もあり、ふたりは困惑していた。アンちゃんとわたしの部屋に入ると


「ベッド?」


と大興奮だ。


「ダンジョンで長く籠ることもあるから、居心地を追求したの」


 とわたしは言葉を濁しておいた。

 アンちゃんを含めて村の人たちは、わたしたちをちょっと変わった貴族のお金持ちではないかと推測したようだ。

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