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放課後レンジャー  作者: kyo
第2章 相棒

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45/65

第45話 進捗87%からの……

 期末テストが終わり、やっと一息つけた。

 久しぶりにウチダンジョンに潜る。


『優梨も健太も嘘つきです。ダンジョンで暮らすというから、換金機能までつけたのに、1週間来なかったですね?』


「プペぺぺぺぺ」


『私は優しいですからね、怒りませんよ。ええ、耐えてみせます』


「プーペッペ」


 プペが誰かとお喋りするように反応している。

 何なんだろう?


『配信しますか?』


「どーするよ?」


「え? あー、うん、いいんだけど」


『了解です』


 マイケルさんたちにダンジョンに泊まりで潜らないかって誘われたみたいなんだよね。

 ウチダンジョンに入るとドローンさんが飛んできて青いランプがつく。

 また撮影を始めたみたいだ。テストが終わったから、どんな風に撮れているかまとめて確認してみよう。

 強くなると決めてから、配信のことはあまり頭になかった。



《お、一番乗りか?》

《お先してまーす》

《1週間のご無沙汰だったな!》

《待ってたぜ、焼きダン》

《ヤラセって声も大きくなるのに、視聴者は増えてってるよな》

《オモロイもんな》




「ダンジョンへの泊まり方の練習にはなるよね。……健ちゃん、わたしたち絶対強くなってると思うんだけど、どう思う?」


「うん、一角ウサギ小石で倒せるもんなー。絶対、力ついてるよな」




《え、一角ウサギを小石?》

《嘘だろ》




「泊まりで潜ったら、短期間で強くなったのバレるよね」


「あ、そっか」


「マイケルさんたちにはバレるの覚悟でガンガン強くなるのがいいのか、それともウチダンジョンがどうにかなるのがはっきりしてから、バラした方がいいのか考えちゃうんだけど」




《新しい名前でたぞ》

《マッチョさんって名前か?》

《焼きダンは秘密ダンジョンなんだな》




「まー、アキバに通ってるだけで強くなってるのは変だよな。調べられそーだし。ウチダンジョンで出たもの換金もしたし、それで武器とか買ったもんなー。話していたら芋づる式にバレそうだよな」




《え、え、え、情報過多!》

《何ダンジョンって言ったんだ? 聞こえた?》

《いや、ムリ》




「そうでしょ? まだ税金払ってないうちにバレたら、やっぱまずいかなーと思って」




《焼きダンって、申告してないダンジョンだったんだ……》

《納得、だから隠してんだ》

《それで配信してる矛盾》

《だから徹底的に秘匿なんじゃん》





「じゃあ、夏休みに是非って先延ばしにしておくか」


「そうだね」




《学生みたいだな、夏休みっていった》

《1週間の休み、試験だったんだ……》





「あと、ヒカルからもまた出演してくれって言われたぞ」


「それ、健ちゃんだけじゃないの?」


「え、なんで?」


 それはもちろん、顔にスタンプ出てたのに、そのシルエットだけで健ちゃんがかっこいいといっぱい書き込みがあったらしいからだよ。

 芽衣とりっちゃんが教えてくれたのだ。




《他の配信に出たことあるんだな》





「それとさ、真由から配信に出てくれないかって言われた」


 わたしは息を飲んだ。





《また新しい名前、今度は白雪姫か……》





「なんて答えたの?」


「優梨にも聞いてみる、って」


「それこそ、健ちゃんだけを誘ったんだと思うよ」


「え?」





《え、これ何? 痴話喧嘩?》

《アリスと白雪姫でクマの取り合い?》





『ひょっとして喧嘩ですか? もしかしてこれが噂に聞く痴話喧嘩ですか!?』


「プーペ」


「そうだとしたら、お前、どうする?」


「……健ちゃんが誘われたんだから、健ちゃんの好きにすればいい」


 わたしは踵を返した。

 布団叩きをギュッと握る。


「おい、優梨」


 肩をグイッと引っ張られる。


「……お前」


 !


『いいところだったのに、空気の読めないゴーレムですねぇ』


「プーペ」





《うわ、でかい!》

《これは流石に》





 わたしは布団叩きでぶった斬り、健ちゃんもボールを蹴って粉々にした。





《瞬殺かよ》

《しかも、あの武器、本当どーなってんの?》





『1週間の休んでも体は鈍らなかったようですね。いいことです。ウォーミングアップは完璧。いいでしょう。この1週間分のエナジーを集めていただきましょう』


「プーペ!」


 地下2階に降りると、立て続けに魔物がやってくる。それはもう湧きじゃないの?と思えるくらい。虫系が出ないので、順調に倒していけた。

 プペに助けてもらったところもあるけど、強さが実感できるって、モチベーションが上がる。体も早く動くようになったし、その魔物がどう動くか見えるっていうか、わかるっていうか。

 どれだけ倒しただろう。汗だくになって額の汗を拭いたときに、ウチダンジョンに初めて入った時に聞いたメロディー音が聞こえた気がした。

 レベルアップしました。

 レベルアップって聞こえた!


『おお、一気にレベルアップしましたね、健太、優梨。おめでとうございます!』


 …………………………。


「健ちゃん、聞こえた?」


「優梨も聞こえたか?」


「うん」




《何が聞こえたんだ?》

《めちゃくちゃ真剣な顔してるぞ》




『優梨も健太も真剣な顔してどうしたんですか?』


「プ〜ぺ」


『ふふふ、まさか私の声が聞こえるようになったとか? あ、100% なんてことだ、もう通じているのですね?』


「だ、誰ですか?」


『ああ、かっこよくご挨拶したかったのに。

 初めまして、優梨、健太。私はこのローストダンジョンのマスターです。どうぞ、お見知り置きを』


「「ダンジョンマスター??」」



《ダンジョンマスターって叫んだぞ?》

《もしかしてダンジョンマスターと話してんの?》

《ダンジョンマスターって本当にいるんかい?》


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