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放課後レンジャー  作者: kyo
第1章 だってそこにダンジョンがあったから

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第17話 ドローンさん(後編)

 それからも設問は続いた。

 ええと、後から編集をしてアップする、でしょ。

 ペイは受け入れる、で。

 日付と時間、いれる、っと。

 パックでもこんな決める事がいっぱいあるんだ。

 これひとつずつ全部決めるんだったら、どれだけの項目になるのだろう、恐ろしすぎる。



 タイトル? ああ、ヒカルチャンネルとかか。


「健ちゃん、名前どうしよ?」


「お前の好きにしろよ」


「うーーん、じゃあ、わたしかっこいいと思ったんだよね」


「何を?」


「失われたダンジョンってやつ。ロストダンジョン。カッコよくない?」


「意味わかんねー。でもま、好きにしろよ」


「うん」


 わたしは少しだけ調子に乗った。

 〝英語〟だから、できるだけ英語っぽく、少し巻き舌にして言った。


「lost dungeon」


【認証しました】


「お前それじゃぁ、ローストダンジョンだよ」


 うっさいなぁ。

 健ちゃんが爆笑している。発音が悪いことはわかっている。


【撮影を開始しますか?】


「いえ、まだです」


【承知しました】





「ねー健ちゃん、早速、撮影してみようよ。どんなふうに映るか興味あるでしょ?」


「まーな。どこでやるんだ?」


「せっかくだから、ダンジョンで」


「え、ダンジョンで? お前、いいのかよ? ビビってたじゃん」


「右の道だけならスライムもどきしか出ないもん、大丈夫!」


「ま、お前がいいなら、いいんだけどさ」



 わたしたちは用意をして、ダンジョンに赴いた。

 今日はロープも用意する。

 この間は、その準備なく穴に飛び込んだので、登るのが大変だった。健ちゃんが一緒じゃなかったら、引き上げてもらえず、穴から出られなかっただろう。

 今日は小屋の外の柿の木にロープを結び、ロープを垂らした。

 着地すると、何か聞こえた。


『異世界人来訪2回目記念、ポイント追加。情報伝達末端を確認。繋げますか?』


「健ちゃん、聞こえた?」


「ああ、なんかちゃんとは聞こえないけど、もそもそ聞こえるよな」


()()、もそもそ聞こえる」


『了承しました、繋げます』


 水の中で何かを聞いたような、くぐもった何かが響いてくる感じ。時々、単語を聞き取れるんだけど。


『特典により、言語を統一化。神経末端と、情報伝達のスライドを容認します。roast dungeon認証。ダンジョン名はroast dungeonに決定。ボーナスとしてポイントとスキルを付与します』


「なんか、今いっぱい聞こえるね。しゃべってる感じ」


「ああ、聞き取れないけど」


 健ちゃんと少し広くなるスペースまで歩く。


『相互理解、クリア。撮影を開始しますか?』


「今、撮影って言った?」


()()。そう聞こえたかも」


『撮影を開始します』


「優梨!」


 健ちゃんがわたしを呼ぶ。手にしていたドローンがいきなり飛び上がったみたいだ。


『配信を始めますか?』


「なに、どうしたの?」


「わかんね。急に動き()()た」


 遠くに行くわけではなく、わたしたちの側でふよふよ浮いている。


『では、配信を始めます』


「えー、ダンジョンでテンションあがったのかな?」


「機械がか?」


 そんなジト目で見なくても……。




《また、一番じゃなかった。なんでオワリさん、どこにでもいるんですか?》

《気づいた初配信は必ず見るようにしてる》

《……配信っぽくないですね》

《全くしゃべらんな。間違えて配信してるんじゃね?》

《おおーい、配信始まってるよ》



 少し広い空間についた。健ちゃんがわたしを振り返る。


「最初はやっぱ、抱負からか?」


「抱負?」


「ほら、ダンジョンに潜る目的とか」


《なんだよ、種類はレンジャー配信ってなってたけど、ただのカップル配信かよ》

《でもダンジョンっぽいぞ》

《アキバじゃないな。こんな岩が発光しているとこ見たことない》

《それにこいつら装備やばくない?》

《普通の服に見えるな》

《とんだバカップルか? ダンジョン甘く見てる?》

《武器持ってないぞ》

《ちぃーっす。オワリさんとゴンさんだ》

《デーモンさん、ちぃーっす》

《なになに、初心者? 向こうから何も言ってこないね》

《全て焼き尽くして終わりだったりして》

《だからローストダンジョン? そのタイトルなんだよって思って見にきたんだけど》

《焼きダンジョンってどういう意味っすかね?

《おおーい、タイトルの意味、教えて!》

《やっぱ。反応ないな》



「どうした、優梨?」


「なんかさー、もそもそとは違う何かが聞こえるんだけど」


「優梨もか、俺も」


「健ちゃんも?」



《アリスもクマちゃんもインカムつけてない》

《本当だ。え、どうやってドローン動かしてんだ?》

《ふたりとも配信してるの気づいてなさそうだし。なに、これ不思議現象?》



 耳に指を入れてみたけれど、普段と変わりない。


「ええと、抱負だっけ? お金のためもあるけど……。なんでダンジョンに入るって、そこにダンジョンがあったから?」


《そこに》

《ダンジョンが》

《あったから?》

《アリス、いいねぇ。ペイ500!》

《さすがにペイが入れば気づくか……気づかねーな》

《盗み見してるみたいで気が引けるが……》

《タイトルついてるから、配信はする気なんだろう》



「あ、健ちゃん、スライムもどき!」


 健ちゃんは小石を投げた。やっぱり半透明の青いぷよぷよで、透明度の高い青い魔石が残る。

 わたしは拾い上げた。


「サシ、あるかな?」




《あれ、何だ?》

《スライムっぽいけど、半透明って……》

《スライムでも何で小石で倒せるんだ?》

《サシって言ったか? 高エネルギー体?》

《こいつらどこにいんだよ? 日本内のダンジョンか?》

《あんな物語に出てくるような透き通ったスライムがいるって、どこのダンジョンだよ?》

《ダメだ。完璧に情報カットしてる。これ……顔出ししてるのスタンプだ》

《スタンプ? スタンプって絵だろ? これどうみたって生身の……動きだってどこも違和感ない》

《スッゲー技術。でもこの顔も、写真ぽい絵だ》

《アリスとクマってのも配信名だろうしな》

《何なんだ、この焼きダンは!?》

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